第41話 コボルト殲滅戦、開始です!

 さてと。

 ローラー作戦の始まりです。

 ここの軍が恩呼知真おんこちしんを知っているというわけではないのですが、フィーの存在やアンドロイドが2名もいるということで、抜刀隊に参加させていただくことになりました。

 抜刀隊はここの切り札。超強い戦力を集めて巣に苦戦しているところへ向かって救援するという存在です。

 それに配属だって。あー緊張する。思わず敬語になっちゃうよね。


 巣の中に突っ込むこともあるので、その場合は槍は使えないかな。ショートソードなどで対応するしかなさそうです。


「巣の中に入ったら、僕は上手く動けないな。ウルフコボルトのチャージを食らったらまた再生のために資源集めたりしないといけなくなるかもしれない。バックスを上手く使ってくれ、あずき」

「千切れた部分さえ残っていればルカさんが回復してくれるよ。コボルトは私が処理できるけど、ウルフコボルトはキツいからバックスの火力に期待してるね」


 アタッカーチームはこんな感じだったけど、ミカさんが渋い顔をしている。


「どうしたんですか?」

「今回は完全に持ち出しやねえ。ガラルトの弾すら持ってないって。あるのは弓と後装式ライフルだけ。古すぎて使い物にならないわあ」

「Rライフルじゃ駄目なんですか?」

「ここあみたくエネルギーを自由にチャージできるわけじゃないから、ウルフコボルトには完全に役に立たないと思うわあ。弱すぎる。ビームとか、プラズマライフルがほしいわねえ」


 なんか、セミオートのM101ガラルトでも厳しくて、フルオートで撃てるM105ガラルトがほしいって言ってた。

 今これより大口径の弾っていったらフィーの30ミリ機関砲しかない。巣の中には入れない。

 ミカさんは外で30ミリを撃ってもらうしかないか。コボルトにはガラルトが効くかな。鋼鉄鎧の厚さによるけど。ガラルトは腐ってもライフル弾だから抜けるかな? やってみないとわからんね。


 30ミリといえば、ついにおかーさんに敗北しました。履帯――戦車が移動するときに使うキュラキュラしたアレ――を取り付けることになったのです。


「森の中を進軍するのに8輪駆動でどうやって移動するのよ! 普通の足なら歩けるけど、機関砲撃つには主力砲モードにならないといけないのよ!? ホバーで行動させるつもり!? ( ・`д・´)キリッ 」

「はぁ……そうだね。岩はどれくらい使うの?」

「でかい奴一個くらい (΄◉◞౪◟◉`) 」

「めっちゃ喰う……。残りの岩、でかい奴あと一個くらいしかないような? 全部使うよ……」

「高角砲で砕いたやつ集めれば中くらいにはなるから ₍₍ ◝(•̀ㅂ•́)◟ ⁾⁾₍₍ ◝(•̀ㅂ•́)◟ ⁾⁾ 」

「まあ、外見てから考えようよ」

「り・た・い・! り・た・い・! ₍₍ ◝(•̀ㅂ•́)◟ ⁾⁾₍₍ ◝(•̀ㅂ•́)◟ ⁾⁾ 」


 主力とはちょっと遅れて外に出る。日光の光を浴びて、通信を入れる。


「おいババア、この地上が見えるか」

「いや、その (΄◉◞౪◟◉`;) 」

「そうだよなあ、10万人都市を支えるには莫大な農場とか水田とかが必要だもんなあ。木だって薪にするために伐採しまくり、逆に攻めるよなあ」

「まって、でもね、使える場面がね (΄◉◞౪◟◉`;;) 」


「どこにあるんだよこの平原によお!!」


 そ、ここは平原地帯なのだ。大平原。だから10万人都市が存在できるってわけよ。

 ババアは手術室に引きこもって外を見ていなかったのである。

 あの村は森があった。

 でもかなーり遠いんだよね。

 履帯計画中止。


 で、コボルトは鉱山を嗅ぎ分ける力があるので、平原を掘って巣穴にすることもあるんだって。

 それは斥候が見つけて地図にしてあるそうだ。そこにローラー作戦だから、一掃できるってわけ。

 残った鉱山跡は一度爆破して、中に居るコボルトを一掃してから掘るそうだ。鉱山資源。

 鉱山の所に巣を作って良いのかなって思うけど、コボルトは雑食なので小麦や米食い荒らしたり、牛やうしブー、豚やぶひぶた、うさいこーあたりを捕食するんだろう。


 よし、準備オッケー、待ちますか。

 厳しいところを応援しに行くのが討伐隊だからね。

 フィーを6輪モードにして待機。これなら砲塔の上部に全員乗れるくらいの土台が出来るのだ。


「あの、なんで8輪じゃないの? おかーさん8輪つくった「燃費と速度が落ちるんだよ! この草原なら4輪4駆動で十分だわい!「じゃあ4輪つくるわね「いらん!もう岩がないんだよ!あれだけ腐ゆっきーからもらってきたのに! 岩を勝手に置換してゴミばっかり手術室にため込みやがって!「ゴミじゃないもん!! 。゚(゚´ω‘゚)゚。 」」」」」


 ギャアギャア騒いでますが討伐隊は全員馬騎乗。武者装備に弓、なっげえ槍数本、そして太刀を大小揃えてる。細い打刀じゃなさそうだ、鞘がすごい太い。

 馬もほっそりしてない。足、っつーか、全体が大きく太くて、長距離走れそうだし突進時の威力もありそう。うちJUNAならではの馬だねえ。


 お、伝令兵が来たようだ。センサーで感知した。


「展開始まりました。右翼2ヶ所接敵、問題なしとのことです」

「了解、随時情報求めるとだけ返してくれ」


 そして伝令兵が帰っていく。とんでもねえ速さで。専門職だ。


「すごい速さですね、伝令兵」

 応答した部隊長に声をかける。恐れ知らずである。

「ん? ああ、伝令は命だからな。そっちもチームワークが乱れたら壊滅するだろ、軍のチームワークは伝令に掛かってると言っても過言ではない」

「確かに。うちもバックが乱れるとフォワードが動きにくくなります。一度戻るときもある」

「そういうもんだ。それをコボルトもやってくる。30日間準備してたことをあっちも知っているだろう。必死で来るぞ。右翼も大丈夫だろうが損害はでかいはずだ」


 そして話を打ち切る。


 次々と伝令兵が来る。頭の中で整理できるのかな。ウルフコボルトはまだ出てない。くらいしかわからない。


恩呼知真おんこちしん、前出るぞ。今のところ被害が出ているが順調だ。ローラー作戦は継続している」

「了解。フィーちゃん、付いていって。今回フィーの食料庫にめちゃくちゃ詰んできてあるから主力砲10回は撃てるからね。ここ物価が安くて買いこめたのよ」

「ばう」

「コマンダーの時はミカさん色気ないね」

「戦闘に色気は要らねえんだわ」


 被害が出ているものの、順調に前に進んでいく主力部隊。被害が出ているってことはコボルトみんなフル装備なんだろうね。

 こいつらと争ったら槍の刃先が傷ついちゃう。抜刀隊はこいつらが敵ではないのだ。


「そうか。わかった。そろそろ要請がかかるな」

 去って行く伝令兵。

「ウルフコボルトが出始めたんですか」

「1拠点に1体くらいな。これだけなら1小隊の弓と銃、槍そして勇敢な傭兵でなんとかなる。2~3体になったら出陣だ。小隊と傭兵じゃ相手にできん。心の準備しとけよ」

「弓でなんとかなるんですか?」


 部隊長はたばこを吸うと、話を続ける。


「我が町、我が城、我が領地は、電気すらまともに通ってない弱小領地だ。だから今ある道具を徹底的に強化して使う。一般兵士でも弓で鋼鉄の鎧5ミリ程度なら楽々に貫通すると聞いて驚くか?」

「フル装備であるコボルトが撃破されていっている現状を考えると、驚かない、かもしれないですね」

「仮にフル装備のウルフコボルトと出会っても、10ミリの鋼鉄であっても、隙間はある。我々なら狙える。そして改良に改良を重ねた我らの銃なら貫通する。槍はフルプレートでも効果的に叩けるように改良されている。一体なら負けない。ただ、ウルフコボルトに連携されたら駄目だ」


 なるほどね。


 というところで救援要請。A5地点に2体のウルフコボルト。救援花火も上がってる。

 抜刀隊が出撃する。

 勢いがすごい。6輪フィーじゃ追いつかない。私とここあちゃんが先行。先頭に付いていく。

 さすがに先頭に付いていくことにはみんな驚いたようだ。


 いきますか。待ってろよ、ウルフコボルト!!

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