第23話 位置バレと 泣くピンクちゃんと 惰眠をむさぼるあずき
チョキン、チョキン、チョキン。ぽきー
チョキン、チョキン、チョキン。ぽきー
チョキン、チョキン、チョキン。あずきちゃんキック! ぽきー
なにをやっているかというと、伐採である。
森を止めてくれたことに感謝状が出てさらに1000ゼニ賞金が出たんだけど、消滅させてしまったから薪になる木がないのだ。
なので1日10ゼニで伐採をしているというわけである。完全なる奉仕。
普通の冬季伐採だったら儲かるはずだったんだけどなあ。
討伐隊がなかったのが運の尽きか。
で、1回目2回目のチョキンは倒れる方向にハサミで切り込みを入れた音。
3回目のチョキンは切り倒すところ、切り込みと切り倒すところ、これで80センチ弱の木まで切れるので大体切り倒せる。切れなかったり動かなかったりする木はあずきちゃんキックで押し倒す感じだ。
最初ひらりと動く制服のスカートを見て中身見えないかなと男性が斜めの位置に集まったのだが、スパッツとわかったらスパッツハァハァ派以外は帰っていった。いやおまえらねえ。後スパッツハァハァねえ。私アンドロイドですけどそれセクハラですよ! ピピー! セックスアンドロイドじゃありませんからね! 蹴ったら首が千切れますからね!
ゴホン、基本的に生木は切れないので数人がかり交代制でで切り倒す。もの凄い疲れる職場である。そして枝を落とし、数人がかりで街の乾燥室へと運んでいく。魔法陣で強制乾燥させるそうだ。
魔法陣かあ。本物の魔法ではなさそうだけどね。
「おーい、木がねえぞ、早く持ってこーい!」
「ああ、すみません、今持って行きまーす!」
切り倒した木は私がぶん投げて木材置き場へとぶっ込む。枝取りもちょっとだけする。引っかかって届かないから。
木をぶん投げながら思考に耽る。
あー6000ゼニもあればインプラントの総合強化や世代更新の1つくらい買えそうだよなあ。
比較的安い機能拡張ならいっぱい買えそうだ。帰りにジュエリー店寄っていこうかな。ぐふふでへへ。
お昼、なぜかミカさんが来る。
「なんでミカさんがこんなところに?」
「うん、私ねジュエリー店で働くことにしたの。日給15ゼニ。悪くないでしょ? いやーナイスバディが役に立つときが来るとは」
「えええええ、あの、あの、家庭教師は」
「すっぱりやめてきちゃった。セクハラされそうになったから。だから、ひどい買い物は出来なくなっちゃったね。インプラントとか」
「あ……、あぁ……」
「インプラントじゃなくてみんなに似合うジュエリーを探そうね」
もうだめだ、インプラントを買う気でいたことまでバレてる、ミカさんには敵わない。
「あの、その防寒着どこで? ここ街の外ですよ? 街中はエネルギー積層技術で覆われていて暖房焚いてるから、着込めば大丈夫なくらいには暖かくなってますけど」
「お店の人から借りてきちゃった。うちの悪い虫に先に釘刺しておきますって」
「ぴえん」
そこまでして買わせないならしょうがない。アキラメロン。
しょんぼりしながら木をぶん投げてこの日は終了。一定数貯まったら薪割りの方もしてほしいそうだ。
もらえるお金は少ないけど、ま、しゃあないね。周辺の森全部綺麗に
ジュエリー店でよだれを垂らしながらインプラントを見る。はぁーほしい。ほしいほしいほしい。でもなー釘刺されちゃったしな。
6000ゼニは使えないけど、今働いてるお金なら自由に使って良くないか? いや、良い。
伐採を10日間頑張って100ゼニ獲得、内30ゼニを寄付。70ゼニじゃ……10ゼニで売っているインプラントあったな、赤色の機能追加だったような。
翌朝開店30分前にジュエリー店のショーウィンドウに張り付く。ミカさんに「商売の邪魔!」といって引き剥がされる。
開店。シャッターが開く。あの赤いインプラントは、赤いインプラントは……。
売れていた。
あまりの落胆ぶりに他の店員が50ゼニでこの黄色のインプラントを売ってあげると言ってきた! 黄色はセンサァ! 早速購入! お姉さん達にお礼を言って出る。制服姿だったので高校生と思われたのかもしれない。ラッキー。実際は13000歳くらいのババアでーす。
時間がないので装着はせずに薪割りの方に顔を出す。バックパックに入れているから問題はないでっしゃろ。
薪割りは8ゼニだけどインセンティブはないのでのんびりやる。魔法陣の乾燥機もなかなかの性能で綺麗に乾燥していた。ウチの多目的乾燥機ほどカラッカラではないけど。あれは湿度も足せるし空気清浄も肉の薫製も出来ちゃうからな。
多目的度としては魔法陣では遠く及ばない。さすがおかーさんの技術である。あの人はおかしい。
どんどん薪割りしていく。なーに、伐採は私頼みだからどうせのんびりやっているでしょ。こっちは乾燥室のすぐ隣に場所を整備してくれたので街の中で出来るから余裕だね。きっと私のおかげ。ぐふふでへへ。
インセンティブがないので丸太の総数の十分の一くらいを割っておしまい。30名いる他の人が十分の三くらい割ってるんでこんなもんでしょう。
あとは伐採が進んだら硬くて薪にしにくい木を排除して、また伐採して、薪割りして、の繰り返し。伐採と薪割り二つ掛け持ちで、10日で180ゼニ、3割は寄付するとして120ゼニ。一週間の30日で360ゼニ。一ヶ月で90日。1080ゼニか。紫とオレンジは無理だけど、魔法と身体強化も視野に入ってくるなー。
みんな10ゼニを超えて働いてる。冬働ける人は高給取り。はっきりわかるんだね。
一ヶ月は頑張ろうっと。
さてお楽しみの機能強化のお時間です!
「ピンクちゃんよろしく頼むねー!」
「久しぶりの出番! (*´﹃`*) まっかせてー! ٩(๑•̀ω•́๑)و」
「じゃあ差し込むよー!」
「はい! バグもエラーもトロイの木馬もなし!博士の気配は、所長ー!」
「安全よ! (΄・◞౪◟・) 」
「よっしゃ! それじゃ差し込んでみましょう!」
「ほいさー! ٩(๑•̀ω•́๑)و 手術台セット!」
「それは手術室でね。こんなキッチンでやる必要ないからね」
毎度のごとく仰向けに座るとぐるりと回転してうつ伏せになり、麻酔ガスがマスクと共に装着されぐー。
「アズキチャンアズキチャンアズキチャン」
「そこにいるんだね、腐ゆっきーの村」
「今会いに行くよ」
「アズキチャンアズキチャンアズキチャン」
「愛してるよベロベロベロベロベロベロ」
場所バレはキツいな。護符を取り替えるか。
「なんでおきないのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。 。゚(゚´ω‘゚)゚。。゚(゚´ω‘゚)゚。 」
「なんでか教えてあげよう。麻酔から覚めてすぐには動けないよ。ピンクちゃんもしかして知らなかった」
「しってるよおおおおおおおおおおおでも僕の麻酔は時間になるとすぐ起きる奴なんだよおおおおおおおおおおおおおお。 。゚(゚´ω‘゚)゚。。゚(゚´ω‘゚)゚。 」
「じゃあ考え事してるんでしょ。今回は地上追随360度レーダーセンサだね。地上の小さな凸凹でも見分けられるし、レーダーだけで地上がわかっちゃうし、レーダーだけで夜間でも森の中を走り抜けられるしロックオンも出来るよ。まだここかー現役のころはなー」
「今できることを考えよ! ٩(๑•̀ω•́๑)و 」
「そうだね! んじゃルカさん来たら教えてね。私は久しぶりにソファーで惰眠をむさぼる。フィー!亜空間能力の強化を。邪魔者が入った」
「ボクお料理したいんだけどおおおおおおおおおおおおおお。 。゚(゚´ω‘゚)゚。」
「ばうばう!」
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