案件その3。冬籠もり

第17話 物質置換機と魔力コア。破損したインプラントを添えて

みんながフィーに乗り込んだことを確認してから、まずはこの場所を離れることとなった。


「あそこは無限に変異体が湧くからねえ」

「場所を変えないとおちおちスイーツも作れません」

「私は機材を組み立てておくわ。どこに置くのがいいかな」


総員の判断は「キッチン!」でした。オートクッカーとかも置くから少し拡張してもらわないと。フィー、よろしく頼んだ!

フィーはトイレとお風呂室をちょっと削ってキッチンを拡張。これには女性陣大ブーイング。


「お手洗いとお風呂は女性の命だー!」

「そうよそうよ!命なのよ!」

「あたしにはよくわからん」


じゃあとキッチンを少し削ることに。これにはルカとミカさんが大ブーイング。


「キッチンは我々の生命線だー!」

「そうだそうだ! おやつ作りに支障が出る!」

「あたしにはよくわからん」


じゃあとリビングが削られることに。ま、良いか。リビング一番大きいしね。


それじゃあと設置された寸胴型物質置換機と寸胴型魔力結晶生成機。

これでここあちゃんの腕が治るのか.……ゴクリ。


「それじゃあまずは腕を再生するわ。命を吹き込むのはその後よ (΄◉◞౪◟◉`) 」

「じゃあ、何でも良いんで物質をどんどん入れていくね。全部置換しちゃうから」

「その前に。まずは魔力結晶生成機で単1電池を大量に作らないと行けません。稼働させるのには大量の魔力結晶が必要ですよ。手持ちじゃ足りないんじゃないでしょうか」


ああそれならとおかーさん。


「魔物のコアをむき出しにしただけの魔力結晶、通称魔力コアを使うといいわ。出力とか安全性とか、なにかと安定しなくて単1電池とかに置き換えたんだけど、その生成機なら安定した奴作れるから (´◉◞౪◟◉) ドヤァ」

「それの方が持つってこと?」

「うん。削らないから効率がいいのよ。魔物のコアを削って魔力コアを作り、それから削って単1電池とかに置き換えるからね (´▽`*) 」


後パワーもこっちの方が出るそうだ。コアの大きさに完全依存するみたいだけど。安定しなくない? と思うけど、置換機はそこら辺を良い感じに整える整流効果があるから大丈夫なんだって。やっぱりアンドロイドおかー研究所所長さんの発明品はなんか変だ。


売ってこなかった特大魔物のコアを存分に入れて魔力コアを作る。安定しているとはいえ、魔力コアは扱い自体が難しいのでおかーさんに扱ってもらう。ピンクちゃんの腕なんだけど上手に扱うおかーさん。


「これくらいセットすれば大丈夫ね。後大型サイズのコアで15個くらい作っておいて。命を吹き込む際に使用するわ。生成機の中に入れておけば安定して存在するから大丈夫よ。 (΄・◞౪◟・)΄◉◞౪◟◉)´◔◞౪◟◔’) 」


指示が的確ですげー。さすが所長やっていただけあるね。


「じゃあ何でも良いから物質を入れてね。所長室にあった貴重な金属板とか密度が高いからお勧めよ。刀とか作らないならね。 (΄・◞౪◟・) 」


我々がドカドカ入れている間におかーさんはここあちゃんに最終確認を取る。データを作らないと行けないからね。


「もう入りませんね。これで足りますでしょうか」

「全然足らないと思うわ。一度作って出来た物質をもとにさらに材料継ぎ足しね ٩(๑•̀ω•́๑)و 」

「さすがは自己進化する腕だけあって材料がもの凄く必要ね。一度近くの街に行きましょうか。がらくた市に出向いて材料を仕入れましょう」


最近口調が矯正されてきたミカさんの提案のもと、一同は街へと向かうのであった。




街はそこそこ繁栄しており、流通も盛んに思えた。腐ゆっきー街という名前とのこと。なんか腐ってるんですかね。ボーイズラブやガールズラブが盛んに流通している街だったり?

攻め受け反転とか。ブロマンスひゃっほうとか。純BLとか。R25BLとか。なに言ってるかわかりませんけども。


冬ゆっきーが短縮しての名前ならいいんですけど。ゆっきーもゆきちゃんだったりして。

雪ちゃんなら現役敏腕作家で「魔法薬師のメイシィ」シリーズとか「えにし見えし者」とか人気あるよね。作家の正式名綾雪乃あやゆきの。私もメイシィシリーズは電子版を持ってる。本屋に行けば本屋ネットワークで銀河中の本が買えたりする。本屋は銀河の最先端。


話しがずれた。がらくた市でなんかデカいがらくたを探してきましょう!


「片っ端から買ったらお金無くなっちゃうから、千里眼働かせてね」

「ミカ、千里眼はここで使う単語じゃないぞ。遠くを見通せる目のことだ」

「きー! 私はどうせ頭悪い女ですよーだ! 戦闘とお料理しかできないもん!」

「あとで勉強教えてやろうか?」


本当? などとと二人でいちゃついているので私が勝手にがらくた市を物色。結局貧民の市なんで良い物なんてそんなにないんですよね。まあ普通の市で買うよりは物資は手に入りますけど。


お。これは……。


「おばさん、この金属はなんだい?」

「曲がらない、削れない、折れない。3拍子揃った金属だよ。うちの家宝だったんだ。20ゼニでどうだい」

「(こりゃ魔鉄だな。センサーも魔鉄って言ってる)それじゃ使い道ないなーでも貴重なのはわかる。10ゼニ」

「これで新興宗教やればいいじゃないのさ。どうやっても壊れない三角錐形状の金属なんて不思議さ満点だろう? 17ゼニ」

「宗教はやらないけど興味はある。12ゼニ」

「買わないんなら帰っておくれ。15」

「私以外買う人いないでしょう。13でどうよ。がらくたが省けていいじゃないの」

「しょうがないね。それでいいよ」


というわけで魔鉄ゲットー。鉄と魔金属を鉄の比率が92.167542346789……パーセントで叩くと強固な結びつきが生まれて凄い硬くてしなる金属になるんだよね。ショートソードにしたいところだけどここあちゃんの素材にしよう。素材の質としてはバッチリだよ。魔金属は魔力が金属化した物質と呼べばいいだろうか。そんなに硬くない。魔法剣士には魔力が良く通るから複合素材が人気なんだっけか。


ああああ、あと、あとあと、破損しているけど、インプ、インプラントが売ってましたのでこれを言い値でこうにゅ……。


「だめだめ。あんたはインプラントになると見境がないね。私が交渉するからちょっと待ってな。ここあ抑えといて」

「了解。おねーちゃん、そういうことやっちゃ駄目だよ?」


ずっきゅーーん。


これが腐ゆっきー街の力か……。ここあ、いつの間にそんなことを……。


「うん、おねーちゃん待ってる、そんなことやらない!」

「ちょろ」


私が1個10ゼニで買おうとしていた破損したインプラントを1個10コゼニで買い付けたミカさん。ちなみに1000コゼニで1ゼニなんだよね。凄いや!


「破損したインプラントに価値なんてあるのかい? 素材になるとか?」

「素材にもなりますけど、置換機に放り込むと新たなインプラントになるんです。結構量が必要なんですけれども」


へーなどと言われつつも破損したインプラントが手に入ったのは大きい!


適当に金属物を買い叩いてから肉屋へ行って肉を仕入れるのでした。牛くらいの大きさの魔物であるババブーまるごと買い取ったよ。皮も全て。

ソフトスキン作るときに皮があった方がいいっておかーさんが言うので。

似たような材料の方が置換で材料が目減りすることが少ないんだって。

私のナパーム手榴弾とかも目減りしていたのか、しらなんだわさ。


さあフィーに帰ったら置換第二弾だ!

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