第14話 フィーの主力砲とサクラ・フレア。キャンプと生体知見を添えて。

 最終戦。周辺の幹部を倒して、ゴブリンジャイアントデスキングロードにサクラ・フレアで決着。終了。


 とはいかず。SAKURAシールドで防がれたのだ。桜色に光った防御壁を展開し私のサクラ・フレアをほぼ防いだゴブリンジャイアントデスキングロード。

 やべえな、なぜかSAKURAを使いこなしている。


「あたしは、あのシールドでPライフルを跳ね返されて墜落、ボコボコにやられたんだ」

「私のサクラ・フレアは弾かれて通じなかった。拒絶型か。ガンガン火力投げつけて破壊してやろう――」


 その時、ひとつの青い筋が走った

 シールドを貫通し、ゴブリンジャイアントデスキングロードに傷をつけてる。


「なんだあ、あの筋? ナノ魔法とも実物とも思えなかったぞ」

「あれはフィーの主力砲だよ。ミカさんがフィーを主力砲モードにして撃ったんだ」

「なんだそのモード。話聞いてない」


 ここあちゃんによると、私たちの時代の戦車砲みたいなもんとのこと。

 伏せたフィーが支え骨みたいなものを出すのは要塞モードと一緒なんだけど、盛り上がる背中は少しだけで、盛り上がった背中から銃口が生えるらしい。

 ホバー移動も軽快で快速戦車艇みたいな感じらしい。

 へー、知らんかった。


「威力は桁違いに強いよ。衝突するまで物理現象なのかナノマシン物理模倣現象なのか量子的に重ね合わせの状態で、重ね合わせだからシールドか効かない。1次シールドくらいなら確実に貫通、爆発する」


 へー、知らんかった。


「じゃあ私たちが妨害行動をしてフィーの主力砲を撃ってもらえれば勝ち確だね!」

「ううん、フィーの主力砲は凄くお腹のエネルギーを消費するから満腹でも3発が限度。最後は私たちが決めるしかない」


 まじかー。


「じゃ、次の砲が来たら一気に飛び込むよ! サクラシールドが消えるからさ!」


 コクコクと頷くここあちゃん。可愛いなあ。


 次の砲が来た! 弾は見えなかったけど、シールドを貫通しダメージを与えている。


 今だー! 突っ込めー! 

 あ、待って! サクラシールドがまだ生きてる!


 トドメのサクラ・フレア!


 パリンと、パリンと!

 パ リ ン と !! 割 れ た !! サクラシールド。


 これで中に突入出来た。

 あとはもう、うちらの場所よ。

 まずはアキレス腱をナイフで切断。足を使い物にさせなくする。


「それでは生体知見を始めます。両手にナイフ。はい。それでは内蔵の方から見ていきましよう」

 大あばれするゴブリンジァイアントデスキングロード。邪魔なので肘の腱も切っておきましょう。


「それでは腹部を切開します。ああ、腸が流れでちゃいましたがごく普通ですね。それでは(検閲削除)」


 色々探したところ、脳の中にありました、インプラント。やはりインプラントが関係していたんですね。脳にあったし誰かが挿したんでしょうねえ。え? 脳の探り方? そりゃあ生きたまま(自主規制)


「破損してるから使えないね。使えれば桜色のアンドロイドだったのに」

「所長さんなら直してくれるのでは? ウィルスやバグが入ってないかピンクで調べたら、とりあえずもっておきなよ」

「罠でGPS発信器が付いている可能性があるんで持っておくのは遠慮するかな」


 そう、このゴブリンは明らかにアンドロイドの技術が使われている。筋肉の動作を素早くするために強化腱に置き換えが行われているし、皮下装甲も入ってる。エーテル充足加速器もあった。誰が作ったのか。日本銀河帝国かアンドロイド技術を今でも保持している国や人物だ。


 私を執拗に狙ってくる博士の線も十分に考えられる。

 私を自分と身ごもらせるためには手段を選ばないからな。気持ち悪いー。


「技術支援されているゴブリン。このまま放置も危ないな。フィーに食わせるのも危険だし、サクラ・フレアで消滅させよう」

「おーい、おーい」

「あ、ミカ。こっちだー。主力砲助かったー」


 その声量じゃ聞こえてないぞと思う程度の声で叫ぶここあちゃん。本当声ちっさー。でもあれだけの豪胆さを持っているんだよね。


 ミカさんと合流して。


「これで全部終わりですか。敵の主将は全部倒しましたよ」

「一応城攻めも要請されてはいるが……」

「やだやだ。やらないです。ストライキ起こします」


 だよな、城攻めには不参加とするよ。と言うミカさん。わかってるぅ。


 無事に帰還し報奨金の支払いを受けて、一気に懐が温かくなった我ら。

 温泉でも入ってのんびりしましょ。ウチらアンドロイドも温泉には入るのだ。機能が回復するわけでも効能が浸透するわけでもないけど。ストレス解消になる。

 貸し切り温泉でのーんびり。


「あー気持ちいいー疲れが吹っ飛ぶー」

「アンドロイドは疲れが飛ぶわけじゃないぞ。気分だ気分」

「ウチは飛ぶけどねー。人間さいこー」

「そういえばあずき、護符はどうしてる?」

「そこは抜かりないよここあちゃん。背中に張り付けてある。ちゃんと単1電池も交換してあるし、密閉シールド処置も施してあるぜ。背中に護符背負っちまったなあ」

「いやーさすがにそこは完璧なんだな。じゃない。なのね。凄い気持ち悪いものね変異体って」


 あれは博士がうんぬんかんぬん。きもいーきもいー連呼する大会に。


「そういやここあは千切れたところソフトスキンコーティングしないの? 人間に近い肌の方がまあ見ていて痛々しくないと思いますけれども」

「これは戒め。自分はおろかだったという戒め。あたしが天才なのは変わらないけど、天才にも限界があるという証左。だからくっつくまではソフトスキンにしない」


 ミカさんが頑張って口調を直しているのを生あたたく見てから、ミカさんがのぼせるまで温泉に浸かって、夜はキャンプするのです。


 森林伐採権を購入して森林を伐採し乾燥機で丸太にする。それを細かく裂いて薪を作る。

 せっかくなのでファイヤースターターで火種を作ろうという話になり、薪を伐採したときに出来た粉を集めてファイヤースターターで火を付ける。

 ファイヤースターターってのは酸化マグネシウムや酸化フェロセリウムの合金棒を鉄で擦って火花を出し、その火花や合金を削って作った粉の発火で木の粉や薄く裂いた木材などに火を付けるというもの。

 慣れるとかっこ良く火を付けられるから得意顔出来るよ!

 まあアンドロイドだと力が圧倒的なので火花も大量に出るから大体一発で火が付くんですけどね!


 順々に大きくしていって、薪に火が付いたらキャンプスタート。肉や魚を焼いていきます。

 この土地は国際河川クラスの川が流れていて魚がいっぱい獲れる。お魚パーティと相成りました。森も多いから鹿とか猪も獲れるんだけどね。

 この星じゃ森は敵だからな。日中が60時間あるのでぐんぐん伸びる。

 二酸化炭素が少ないのもあるし夜間も60時間あるので弱い木は淘汰される。かくて頑丈で繁殖力旺盛な森林のできあがり。森は攻めてくるもの。

 森林伐採権は比較的弱い樹木を伐採し過ぎないように管理する権利。


 たき火に火をくべてのんびりしていると、きつねやたぬきが寄ってきます。

 きつねはしっぽ三本で額に第三の目があって、たぬきは二足歩行なんですけど。

 絵本で見た地球ぼせいのきつねとはちょっと違うかな。


 まあいいや、きつねとたぬきに木の実を与えると喜んで食べるんですよね。餌付け行為なので、餌付けしすぎたら殺すんですけどね。

 きつねとたぬきなんざどこにでもいる存在だもん。


 夜更けまでたき火の火を見てすっかりリフレッシュした私達は、城主であり領主であるだれだっけ、なんとか男爵と面会することと相成りました。めんどー。あ、ヘイグナー男爵だ。

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