第3話 取れる
私がみんなに助けられて生まれ直したときから私の
フィーの内部にある豪華空間に乗り、各地を放浪する。農村にまで行って困りごとを聞き、助け、次の所へ向かう。
我がチーム
「さて、ピンクちゃんにインプラントの挿入をして貰おうかなっと」
「はいきたー! ピンクに任してよ! じゃあ手術台展開するからうつ伏せになって寝てね! ٩(๑•̀ω•́๑)و」
ピンクちゃんがリビングで手術台を展開しようとする。ピンクちゃんは身長100センチくらいのインプラント専門の施術師なのだ。ロボットで、2足歩行の兎っぽい格好をしている。かわいい。
こんな小さくても身体の内部から、大の大人が優に乗れる手術台を展開できる亜空間機能を持っているんだよ。
「ちょっちょ、こっここじゃなくて手術室でやろ?」
「そっかー恥ずかしいんだね! 後頭部から切り裂いて機械側の脳に取り付けるだけなのにー! (´▽`*)」
「それを見せるわけにはいかないでしょ。はいはい、いくよピンクちゃん」
手術室まで行って、ピンクちゃんにピンク色のインプラントを取り付けて貰う。まずはピンクちゃんの平べったい頭の部分にインプラントを差し込むのだ。壊れていたりバグが入っていないか事前調査してくれているとのこと。
「わーピンクってことは魔法だね! やったねーどんな技術なんだろ。調べてみるね……うん、
「昔の科学研究でも聞いたことないな。その粒子を召喚したりして。それで撃つから魔法なんじゃない? きっと他の宇宙では物理なんだよ、SAKURA粒子ってのが普通に存在してて」
「それで魔法かーロマンだね! それじゃー挿入するから待っててねー! 麻酔ガス注入開始! (´▽`*)」
「アズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャ……どこ?」
「どこー? アズキチャン? あれー? まあいいや」
「 逃 が さ な い ぞ 、 ちゅっ」
「ちょっとー! 顔色が悪いんだけどー!?!?!?!?!? 僕特別なことしてないよー!?!?!?!?!?!? (;;)」
「起きた……のかな。まだ動けないや。ちょっと夢見が悪かっただけ。早く使ってみたいね」
「良かったーただの挿入で死んじゃうのかと思った! 装着してわかったけど、撃つ瞬間に左手の肘と手首の中間くらいから先までががぽろっととれるんだって。だから左手なくさないようにねー! (><)」
護符とお守りを忘れてた。フィーの亜空間にいるから見つからなかったけど、それがないと夢見が悪すぎる。ああ、それで、左手がとれるんだって?
試射してみよう。
向かったのは山の麓。ここから山に向かって発射すれば威力もわかるってもんよ。
一応ここあにもきて貰った。
「いきます!
私の肘からちょっと先までの腕がぽろっととれた。――らしい。生体ログに載ってた。――。
そして桜色のエネルギー物体が飛び、周囲が桜色になって――
――左手を向けていた方向の草木、そして土までもが消滅した。
「すんげー火力。リチャージに時間かかるけど、初弾はラグ無しで撃てるんだ……距離はないかな。5から10メートルくらいか。荷電粒子砲だけど拡散砲みたい……SAKURA粒子が凄いんだねこれ。エーテルは結構使う」
「エーテルか、魔力を使う際のエネルギー源だっけか」
「そだね。魔力の素だから魔素とも言うよね。私あまり溜まり良くないんだよね。必殺の一撃になりそう」
「で、左手どこにあるんだ? とれてどっかいったぞ。この藪の中探すの面倒すぎる」
「あー左手がない! とれるって本当にとれるんだね! さがせー!」
散々探したあとに、実はここあが見つけてこっそりポケットに隠しておいたことがバレ、散々おいかけっこしたあとお尻ペンペンしました。パァンパァン!
「痛い。私が見つけなかったら本当にどこにあるかわからなかったんだぞ」
「貴方の目なら余裕で見つかるでしょ。しかしこれ蝶番か何か、もしくは紐で結んでおきたいね」
「お前の部屋の素材にあるんじゃね?」
あるかもしれない。手をつないで一緒に帰った後にバックパックをガサゴソ。両端に人用の固定具がある紐を見つけました。これだな。
「紐で吊したぞー。これ自分の意思で取れるようになってるからマジックショーとかできるかも」
「左手の機能は外していても使えるのか? お前の暗器とか」
「薪を取り出して、左手をパカッと。セットして、えいっ。あ、飛び出しましたね。薪が綺麗に切れたよ。暗器はどこにしまってるんだろう? 都度生成でもしてるのかな」
どうなんだろーと二人で調べまくったけどよくわからなかった。ミカとルカがわかるわけもなし。都度生成しているのだったら回数制限あるしなあ。まあ出し入れしているのでもエネルギー使うから回数制限あるし、いっか。とれるってのが重要。
小さくて綺麗な宝石なんだよね、インプラントって。
プラグみたいなのが付いてるけど、そこに通電すれば光るしね。
綺麗なんだこれが。破損しているインプラントじゃない限りはそこそこ需要がある。
私達インプラント挿入成長型アンドロイドはこれがないと成長できない。
特定のインプラントを刺すことによって特定の分野が成長できるってわけ。
私達にとっては重要すぎる宝石なのだ。
インプラントを見つけるとよだれを垂らして見つめてしまうのは仕方がないことなのだ。よくミカに怒られるけど。仕方がないのだってば!
今までは左手にくっついているので使い勝手が悪かった。だから要らなかったのだが、今後は肘と手首の中間くらいから先がとれるわけで、腕を持って工具として使える。便利じゃん。丸ノコで鎖断ち切っても良いしチェーンソーで木を切ってもいい。
満点の星見ながら寝るって最高じゃん。
何万年前だっけかな、3万年くらい以上前にここに入植してテラフォーミングした人たちは常にこの星は星空が綺麗だといっていたが本当に綺麗なのだ。街の光がないところだと本当に綺麗。夏の夜、満天の星空である。とは誰の一文だっけ。
んで、日本銀河中央政府標準時で1日が120時間あるんだけど――一週間は30日、一ヶ月90日、一年1080日。この星はゆっくり回っている――、60時間は放射冷却があって夜間は凄い凄いえっらい凄い寒いわけ。
そこでどでかい2次燃焼ストーブで薪を燃やしまくりながら夜を過ごすんだけど、2次燃焼ストーブって暖かいけど凄い薪が燃えるから薪が凄い必要なのよ。
買うんじゃ高いし枝じゃすぐ燃え尽きちゃうしで薪を自作したかったのだよ。
バックパックに薪が入っていたのもそのためよ。
「これは私の左手工具計画が浮上するかも。うひひ、それはそれでいいなあ」
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