母の上にダイブ!ビックベン!
逢坂 純(おうさかあつし)
母の上にダイブ!「ビックベン!!」
少年期……。とても不思議な年代です。当時の僕は自分の中では理路整然と通っていると思っていても、他人が見たらおかしなことだったようなこと、よくやっていたな、と思います。あの時、どうしてあんなことをしてしまったのか……?そのような不可思議な行動を取ったこと、少なからず誰にでもあることと思います。そして、その不可思議な行動は、誰かかしらに、ご迷惑をお掛けしているのではないかとも思われます。今回のお話しは、そんなどうしてあの時、あんなことしてしまったのか、という話しです。
これは、小学生のときのお話です。小学生の楽しみとは本当に不可解なことが多いような気がします。当時の僕は、風呂上りになると自分の羽毛布団の上にダイブして羽毛布団の柔らかさに浮遊感を味わうことが毎日の楽しみでした。その日の風呂上りも、僕はフカフカの羽毛布団にダイブする気持ちよさを味わおうと、寝室(寝室には、僕の他にも家族の布団が敷き詰められていたのですが)で今日はどの羽毛布団にダイブするかと、心躍らせていました。小学生というのは、意味不明です。僕は羽毛布団ダイブの時に、いつも号令を掛けながら布団に飛び込むのです。その日もいつもと変わらず、右腕を天高く挙げて、声を挙げるのです。
「ビックベン!!」
何故、そう言ったのか、今でも分かりません。
別に外国かぶれでもなかったし、ロンドンに特別関心があったわけでもなかったです。
そして僕は飛び上がり、羽毛布団にダイブしました。いつもの気持ち良い浮遊感を求めて。
僕は羽毛布団に飛び込みました。見事に宙を飛び、しかし行き着いた羽毛布団の中からは「グエッ」と母の声で悲鳴が挙げられたのです。驚いたのと、身体の痛みで僕はすぐに布団を立ち退きました。
布団には母が既に寝ていたのです。
「あんた、何やっとるだん!痛いじゃん」
母は物凄く怒っていました。母にメチャクチャ怒られました。僕は布団の中に母がいた驚きと、「ビックベン!!」の掛け声を聞かれた恥ずかしさで、「何だっていいだら!」と逆切れしていました。確かに自分は何をやっているのだろうと、母の問い掛けが頭の中を回っていました。幸い、母は内臓も破裂することなく、無事でした。僕がまだ小学生の時だったから、「痛いじゃん」の一言で済まされた事件でした。その日以来、羽毛布団ダイブ「ビックベン!!」は無くなりました。
母の上にダイブ!ビックベン! 逢坂 純(おうさかあつし) @ousaka0808
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