壱章 謎の巫女(後編)

 惰眠を貪ったおかげか体調は良くなり頭の中もスッキリしていた

 昨日の記憶がフラッシュバックし神社にいた少女のことが気になり現地人である祖父に聞いてみることにした

 急いで着替え玄関を開けた瞬間、目の前に人影が浮かび上がり人にぶつかってしまった


「ご、ごめんなさい!....なんだお前らか」


前にいたのは秋斗達だった


「千夏!!あれから大丈夫!?」


心配そうに呟きながら話しかけてきたそれに続いて秋菜と冬花が話しかけてきた


「あの日、どこに行ってたんだよ!!心配したんだから!!」

「あの時、一瞬強風が吹いて目を開けたらあなたが消えていたのよ」


昨日の事件当時の状況を説明された


「そのことなんだけどさ.....俺もわかんなくてさ」

「階段を降りて後ろを向いた途端3人とも居なくてさ探し回ったんだよ」


と千夏も自分の起きたことを話したそしてあの着物を着た少女の事も


「え?着物着た少女?」

「そんな子あの神社にいたっけ?」

「.....それって...」


姉弟は向かい合って首を傾げていたが冬花がポツリと語り始めた


「それって《イミゴモリ》じゃない?」


そう言われた途端に背筋がゾワっしたがそのまま冬花は話を続けた


「昨日の後に私の祖父が話してたのだけど、(”かた”が《イミゴモリ》でもされたのじゃけぇかのぅ)」

「(今では、もうやってないのじゃがの、昔にこの町である”風習”があったんよ)って言ってそれきり何も話してくれないのよ」


冬花が語った”かた”とは誰でこの町で何が起きていたのか

もしかしてあの少女に関係しているのか


「私を探してね」


まだあの言葉が頭から離れない

冬花と千夏はその場で立ち尽くしてたが突然


ねぇっっ!!!これからどうするの!!!


大声で話しかけられ自分の世界に入っていた二人は我に帰った


「ああ、それで今から俺のじいちゃんの所に行って話を聞こうかなって思ってな」

「あなたの祖父は何か知っているの?」

「いや、分からないけどここの住民だし何か知ってるかもな」


話ながら畑で耕しているじいちゃんの元へ向かった


「お〜い、じいちゃ〜ん!」

「おお、千夏か、もう大丈夫なんけか??」

「うん、もう平気」


祖父は畑で野菜の選別をしていた


「ほうか、ほうか、そして何しにきたんべ?スイカ取りに来たんか?もう少し待っとれ今から冷やs」

「スイカじゃないんだ。じいちゃん、あの神社に着物着た女の子と会ったんだけど知ってる?」


祖父の言葉を遮り本題を発言した瞬間、動きが止まりこちらを覗いてきた


「お前さん、”かた”が見えたのか...はぁ〜なるほどな、だからお前さんは《イミゴモリ》にあったんじゃな」

「ほれ、みんな日陰で休もうか」


つい先ほどまで活発で明るい雰囲気だったが今では静かで重いそして覚悟を決めたような物を感じ畑の横に流れる透き通っている川にある巨木で涼をとることにした


「ふぅ〜今年の夏も暑いなぁ〜この年になると来るものがあるわ」

「それで、”かた”と千夏が会った着物着た少女は何か関係があるんですか?」


秋斗が真剣な眼差しで話を切り出した


「.....正直にいうとわしも分からないんじゃよ

 実際に会った事もなく本当にいるのかさえ分からん

 わしの父,,,ひいじいちゃんから代々言い伝えられてきたからのぅ」

 「でも、どうして着物の少女が”彼の方”なんて言われてるの?」


不思議そうに秋菜が質問した


「それは、この町の”守り巫女”だからじゃよ」

「守り巫女」

「そうじゃ昔、この町が合併される前の話じゃ、その時代ではの

 飢饉が起きて村の守り神に”贄”を捧げていたんじゃ」

「”贄”になった子は村の守り巫女として生涯を過ごしていたのじゃ」

「その巫女は神の使者として名は奪われ村からは”かた”と呼ばれるようになったのじゃよ千夏が出会ったのはその守り巫女じゃな」

「そうだったのか」

「言い伝えでは、おかっぱ頭のかわいらしい顔をしていると言われおる」

「お前さんと遊びたかったのかもしれんぞ」

「そんな言い伝えがあったなんて初めて知ったわ.....ね.....千夏?」

 

 関心していた3人だったが千夏の顔が少し青ざめていた


「....ち...う」

「え?」

「...違う!俺が会った少女と見た目が全然違う!」

「え?どういうこと?」

「じいちゃんが話してくれた巫女の顔と顔の表情も髪型なんて長髪だし」

「....じゃあ千夏が会った巫女は一体...誰なんだ」


また、謎が謎を呼び寄せまだあの”守り巫女”は何故俺に探して欲しのか

不安と恐怖を抱えたまま家に帰った





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