第4話 魔法開発


 第1研究室で食い入るように新発田 明しばた あきらの持ってきたロードマップを見る円山 勝利まるやま かつとし先生と加藤文代かとうふみよ


新発田しばた、鑑定魔法が一番最初なのはなぜだ?」


「先生、それはですね、はじめに鑑定魔法を開発できれば、その後の開発が桁違いのスピードですすめることができると思うからです。」


「そうか。 そうだな情報の正確な分析は研究のキモだからな。 では一番最初に研究するのは『鑑定魔法』で決定だな。 2番目以降にも何か理由があるのか?」


「2番目以降は・・・趣味です!!」


「・・・」


「趣味、か。 まぁ良いだろう、研究に一番大事なのはモチベーションだからな。 元々お前の能力だ。 順番ぐらい好きなようにしてよかろう」


「ちょっと新発田君! 鑑定魔法を開発できて、私の付与魔法でそれをメガネなんかに付与する事ができたらもの凄いことになるんじゃない!?」


「!? そうだな、そうなれば分析の為に鑑定する人の数が増えて更に開発がはかどりそうだな! 加藤さん凄いぞ! 確かに俺と加藤さんのコンビは相性が凄く良いな!」


「それで、新発田しばた、具体的にはどういうアプローチをとるんだ?」


「都市伝説的な、日本中である日から突然野生のサルたちがあちこちで芋を洗い始めた『百匹目の猿現象』や、ある日を境に急にあちこちで『グリセリンの固形化に成功した』みたいな事って実際にあると思うんですよね。 草食動物が教わらなくても本能で岩塩を舐めるみたいな事もあるし。 そういう目に見えない地球上をめぐる情報の波みたいなものを、魔法の力でキャッチして可視化できるんじゃないかと期待しています。」


「良し。では早速始めてみよう!」



 1週間後



「おかしいな。データの振れ幅が大きすぎる!」


「おい! 加藤ふよ・・!暇ならこっちのデータのモニター頼む!」


「誰がふよ・・よ! ふみよ・・・よ、文代ふみよ! 気にしてるんだから次言ったらぶっとばすわよ!」

  

「じゃあ、ふみよ! なんでも良いからモニター頼む!」



 (開始から)2週間後



「おお! この波長じゃないか!?」


「ほんとだ! 先生やりましたね! ふよ・・もこっち来て見てみろよ!」


 呼ばれた瞬間文代ふみよのメガネがギラリとひかり、裏拳があきらの鼻先をかすめる!


「次言ったら、当てるわよ」


「す、すみませんでした」



 (開始から)3週間後



 ボンッ!

 

「てめぇぇぇえ! 新発田しばたぁ! 俺の愛機に何をしやがった! スパコンなみの演算能力を発揮するように組み上げてあるんだぞ!」


「ミーテル波(新発見の情報の波)を入力しただけだよ! そんなの国に新しいの買って貰えばいいでしょう!」


「ばかやろう! 最新型だけじゃ物足りなくて、自費で魔改造してたんだよ!」



 (開始から)4週間後



「つ、遂に出来た! 人類の夢、スカ○ターの完成だ!」


「やったな新発田しばた!」


「新発田君おめでとう!」


「二人共ありがとう! 二人がいなかったら絶対に完成してなかったよ! 早速スカウ○ーで二人を見てみよう!」


 明は円山先生と文代ふみよをメガネ型魔道具(戦闘力だけでなく、色々な情報が出てくる)で鑑定してみる。


「先生の戦闘力は1、文代は108か。 えっ? 108?? めっちゃ強くない!?」


「ちょっと! 私のことは見ちゃだめよ!」


「あれ? 早速壊れてるのか? おかしいな。 他の学園生のも見てこよう」


 明は研究室を飛び出して、片っ端から鑑定していく。


「戦闘力は3、7、10、5、2、5、1、18・・・」


 そしてゴミ発言も繰り返し、遂には明は『ゴミ太』と呼ばれるようになった。



 5月下旬



「さて、新発田しばたよ、それでは次の魔法の開発に取り掛かるか。」


「はい先生! ゆくゆくは色々な時空間魔法を使いこなしたいので、まずはアイテムボックスから取り掛かりましょう!」


「私の付与魔法が組み合わされば、ドラ○もんの4次元ポケットね! 良いじゃない!」


「今回はどういうアプローチでいくんだ?」


「今回は4次元空間や虚数空間の探知から始めたいと思います!」



 1週間後



「やはり難しいな。まったく他空間にヒットしないぞ」


「アプローチを変えて空間に干渉する力の究明にしてみますか。 文代ふみよは今のまま空間の探知を続けてくれるか?」


「随分と気安く名前をよんでくれるわね! 私だって忙しいんだからね!」


「俺の事も気安くあきらってよんでくれていいんだぜ」


「いやよ!」



 (開始から)2週間後



「おい、新発田! 見てみろ! 今のK方式の出力だと空間に微弱だが反応があったぞ」


「ほんとだ! ふよ・・も見てみろ!」


 振り返った明が見たものは、ひらめくスカートの中身だったが、見事な文代ふみよの廻し蹴りによりその日の1時間の記憶と共にきれいさっぱり忘れてしまった。



 (開始から)3週間後



 ボンッ


「てめぇぇえぇ! 新発田しばたぁ! 今度は何をやりやがった! 3てつして以前を超える性能に組み上げたんだぞ!」


「4次元空間の座標を入力しただけだよ! 前回ので予算たっぷりついたんだから、また新しいのを買ってもらいなよ!」


「ばかやろう! ガキが予算を舐めんじゃねぇ! 何回も同じもの買うなんてそう簡単には認められないんだよ!」



 (開始から)4週間後



「つ、遂に出来た! 人類の夢、アイテムボックス!の魔法!」


「やったな新発田しばた


「おめでとう新発田君! 私の付与魔法がうまく付与できなかったから、4次元ポケットができなかったのが残念だけど」


「二人共ありがとう。 大丈夫だよ文代ふみよ、アイテムボックス魔法の付与はこれからも研究を続ければうまくいくさ」


「よし、早速色々入れてみよう! アイテムボックス!」


 ブォンと亜空間の扉が開く


「今回は、市民体育館と同じ位の空間を固定しています。水、土、観葉植物あたりから入れてみるか。 空気はどうなるのかな? 水はペットボトルに入れたやつと、そのままの水をドボドボと入れてみよう!」



 3日後



「よし! 観葉植物は元気だ! 次は、手当たり次第に色々と入れてみよう!」



 悲劇の始まりであった。

 

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