第9話

 いま深夜のバイトをしている。


 時々夏さんに親でも何でもない俺が強く語ったことを思い出しては恥ずかしくなる。なに偉そうなことを言ってんだ俺は


 ボッチなのに、インキャなのに、友達一人も居ないのに、後輩に騙されて、お金取られるやつなのに・・・


 「はぁー」


  は!思わずため息を出してしまった。良かったぁー深夜バイトで誰も見てない。


ーーーーーーーーーー


 次の日


 「せんぱぁーい!一緒にゲーセン行きましょう」


 久しぶりに春に誘われる。ある意味でこれが本当の初めて遊びの誘いかもだけど・・・


「ごめん、今日予定あるから」


「はぁ??」


「えっ??」


「先輩、今日行くのは駅近の」


「予定あるから」


「はぁ??」


「えっ??」


「地下のげ」


「よて」


「はぁ??」


「えっ??」


「何先輩のくせに私を断ってるんですか!!暇人のスペシャリストの貴方が!!」


  めっちゃディスられた!否定はできないけど


 「とりあえず、ごめんね。本当に予定があるから、また誘ってね」


そして俺は逃げるように走った。


 「折角、折角私が覚悟決めて誘ったのになんなのよー!!」


 もう最初のキャラは完全に消えたんだね。


ーーーーーーーーーーーー

 

 「お邪魔します。」


「どうぞ、上がって」


花ちゃんが俺を見てる可愛い。


 「どう?計画は出来た??」


「まだ、考え途中」



 とりあえずこれを渡す。


 「えっ何これ?」


 「お金、使って」


 とりあえず2万円

「いやいや、受け取れないよ」

 断ろうとしている。

 

  これが普通だよね!!


 「いいよ、これ俺がバイトで貰ったお金だから」


 「いや、そう言う問題じゃなくて!!」


「でも花ちゃんのためにはどうこう言ってられないでしょ」


「そうだけど、」


「でしょ、なら貰って。今更中途半端な覚悟じゃダメだよ。あと、気合いや、愛情だけじゃ、時間は増やせないよ。」


「・・・でも金は稼げる」


「花ちゃんが寂しくなるでしょ。それに0歳置いて出かけるのは心配でしょう」


「・・・っ」

 少し泣きかけている。母親として確かに今のは駄目だ。それに前にただでさえ、あんな事件があったのに


「それに、花ちゃんに声をかけ続けて言葉を少しずつ覚えさせる必要もあるよ。」


「・・・っ」


「なら貰って、いいから!!」


「はい!!」




________


「でその、この2万を使ってどうすればいいのでしょうか?」


「とりあえず、おもちゃ買うか、自分の生活費にして」


「でも、仕送りは最低限私の分も」


「でも、油断したんでしょ!!あの時みたいに!!」


「・・・っ!」


「素直に自分の休むことも大事!!あと花ちゃんにおもちゃにしてもいいよ。そうすると自分にとっても癒しになると思うから」


「そうする。ありがとうございます。」


「俺は時々こうやって金を渡しに来るから」


「それは!!」


「花ちゃんの為!!」


「ごめんなさい!!」


それに、夏さんには言えないけど、もう、良いんだよ!!友達出来ないし、騙されるし!!


ーーーーーーーー


 後になって俺は恥ずかしくなる。


 と言うか最近ほぼ金しか出してなくね??


 幾ら高一でほぼフルタイムで働いて、全貯金したとはいえ、70万を前に貸したせいで、半分以上なくなったな。

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