第8話

夏さんと思い出



【アンタ、本当にいるだけでムカつくのよ】


【ほぉら、アンタの文房具ここから落としちゃうぞ】


ーーーーーー


 夏さん特性カレーを頂いた。美味しかった。


 「この家、狭いでしょ」


「そんなことは」


「私ね、この子の父親には逃げらちゃって、親には少しの仕送りで生活してんるだ。」


「そうなんだ。」


部屋は清潔でベビーセットを優先的に揃えられているが分かる。そこ以外は確かに味気ない部屋だとは正直思っていた。


 「もっとこの子のために、道具とか買ってあげたいの、でもこれが限界。バイトもしないと行けないけど、私ボッチだから、預かって貰える人が居なくて、この子の面倒を見ないと行いけないからバイトも入れないし・・・私母親失格よね。」


「そん」

  そんなことはないとは言えなかった。夏さんの娘への思いの悔しさは本当でそれを否定するには余りにも・・・部外者だし、母としての苦悩を否定することになる。


「この子が産まれる前は、もっとこの子を幸せに出来ると思った。けど考えがあまかった。学生で子どもを作るのが普通じゃない。そんな彼氏も普通じゃないと分かっていれば・・・!でも・・・この子を産めたことは一切否定したくないし、この子は最高に可愛い子だと思う!

けど・・・タイミングはもっと良い時があった。相手も選ぶべきだった。何より大事なのは私のエゴじゃなくて、理想じゃなくて、この子の幸せなんだ。なのに、私はあの時の軽い気持ちが、この子に将来父親が居ない、貧しい家庭で生まれさせてしまった苦労を与えてしまった。」


 さっき、夏さんはボッチだと言っていた。俺もボッチだったから、少しだけど分かるかもしれない。切れない繋がりが欲しかったんだ。子どもがいて親になる彼氏と彼女の関係、子どもと母親と言う切れない関係を求めていた。それが考えを早めてしまったのかもしれない。


 「私は、この子ことなら何でもする!!何でもしたい!けど現実が上手くいかない。学生で産んでしまった。この子の母親が学生で産んだ現実は変わらない、父親も居ない、普通の幸せを母親がいて、父親がいるそんな幸せの生活をこの子に送れないの決まっちゃの、取り返しがつかない」


 夏さんの顔は真っ赤に泣いた後がある。


「夏さん」


凄く、辛そうだし、悲しそうだ。


 ここまで熱心に、娘を助けたとは過去に虐めた相手にここまで話さないだろう。


 きっと聞いて貰いたかったんだろう。誰かに・・・


 でも、それは自分が愚痴のように話をしてスッキリしたい訳じゃない・・・少しはその気持ちがあるかもだけど・・・でも大半は本気で娘を思ってのことだろう。







うん、一つ思った。

 「流石にない」


「・・・えっ??」


「花ちゃんはまだ将来が幸せじゃないって決まった訳じゃないよ、

勝手に決めつけない方がいいよ」


「だけど、それは普通の家庭よりは」


「再婚するのも良いし、家族ならペットを飼って与えてあげてもいいかもしれない。」


「でも、そんなの金もないし、関係も」



「諦めるの?花ちゃんのことが大切じゃないの!それに確かに、普通とはもう少し違うのかも知れない。けど、子ども思う親がいることは変わらない。」


 ふぅー、何かな・・・必死に話をして、


どっかの誰かには・・・謝られる所か煽られるし、ずっと誰か文句を言い返したかったのかも


「子どもは親を選べない。この子は今から別の誰かの親になることは出来ない。夏さんしか、・・・夏しか親は居ないんだ。この子にとっては母親は夏しかいない。」


「私しか」


「そうだよ!!ならやるしかないだろう。この子ことが大好きなんだから、今の自分で言った現実を噛み締めて、頑張るしかないだろう!!今やれることを考えてやるしかないんだ」


「・優・・・でも、私は花のこと大好きだし、でもどうすれば、どうすればいいの・・・やるって、何を??」


「俺を頼れ、あともう少し法律とか色々調べてとりあえず保育園の入学準備じゃない?」


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