開けてびっくり玉手箱

DRy0

第1話

 むかしむかし、浦島太郎という宇宙飛行士がおりました。

 浦島太郎はデブリに囲まれた生命体を発見しました。

 

 浦島太郎は宇宙船のレーザー砲で助けてあげました。

 生命体は体を近づけて、浦島太郎の船に話しかけてきました。

 振動で情報を伝達することができたのです。


「助けていただいてありがとうございます。お礼をさせていただきたく、ついてきてはくれませんか?」


 申し出に甘えることにした浦島太郎は、生命体の母星へ向かいました。

 

 この星は、多くが水、彼らの言葉では「うみ」という音らしい、に覆われており、生命体は残った地表部に生活していました。

 歓待と、この星をみて回った浦島太郎は、母星へ帰ることにしました。


「これは玉手箱と言って、中には大切なものが詰められています。こちらを差し上げます。ですが、もし、あなたが再びこの星へいらっしゃいたいならば、決して、そう、決して、この箱を開けてはいけません。」


 念を押しながら、高い位にいるであろう生命体が箱を渡す。

「つれてきたものに、同じところまでは送らせますので。」


 そう言い、隣にいた生命体を指した。

 その後、生命体に連れられて、出会った場所へ帰ってきた。


「ここまでです。」

 あの時と同じように顔を近づけて、生命体は言った。そして、浦島太郎はひとり、母星へ帰るのだった。


「あぁ、やはりあなたは見分けがついていないのですね。」

 生命体はそうつぶやいた後、彼の母星へ帰った。


「部長、資源惑星につきまして、新たに見つけました。映像をご覧ください。

 酸素濃度が低いことは問題ですが、豊富な資源と高すぎない文明レベル。活用するための条件が揃っております。」

 浦島太郎は、上司へそう報告するのであった。

「そして、こちらが持ち帰ったものの一つとなります。箱の中身は爆発物ではない可能性が高いとのことですので、今、開けさせていただきます。」


 開けた箱からは白い煙がのび、浦島太郎の意識は、そこで途切れたのであった。

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