(二)

 市波隼一は黒塗りのセダンのレンタカーを、令和島のコンテナ埠頭の一角に積まれたコンテナの壁の谷間に停めて、イヤホンに耳を澄ませていた。

「市波警部補、発砲音です」

「予定通りだな、六条巡査部長」

 私服の巡査部長が返事する前に、携帯電話の着信音が車内に鳴り響いた。

 後部座席の若手が応答し、何度か相槌を打ってから通話を切った、

 警部補が「逆探知はできたのか」と後部座席に尋ねる。

「はい。ヤツは今、会社にいます」


(続く)

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