(一)-2

 スコープの中の男は拳銃で女の頭を狙いながら女の背後に回り、そして、引き金を引いた。

 女の長い髪から血が噴き出し、女は前に倒れた。首の後ろの神経の束を狙ったに違いない。即死だろう。

 狙撃手は男の方に照準を定める。男は携帯電話を取り出し、誰かと通話し、その後走り出した。そしてすぐにコンテナの陰に入ってしまい、追えなくなった。

「いいので?」

「無問題だ。人質もいる。すぐに引き上げろ」

「了解」

 狙撃手は起き上がり、銃を手早く解体し、ビオラの楽器ケースに入れると、立ち上がってコンテナから飛び降りた。


(続く)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る