戦場が見えますb .
「先程倒した兵達を見ても、この軍隊は軍紀が乱れていますね。恐らくフルエレは不良貴族の妖しい若過ぎるガールフレンドで、私は彼女を遊びで連れ回している仕方のない奴の様に思われている可能性もあります。ですから適当にふざけている感じで手を振っています」
「ちょっとちょっとちょっと、どうしてそんな重要な事言ってくれないの!? 話す事いっぱい大有りじゃないのよ。どどどどうすればいいの?」
雪乃フルエレは運転しながら唇が震えた。
「落ち着いて下さい。慌てる方が不審に思われます。笑顔で堂々とこのまま走り抜けて下さい。」
「え、どっち、え、えどどっちどっちへ? 早く言って!!」
恐怖でフルエレの慌て方が半端では無くなっている。
「フルエレから見て今の進行方向の左側と後方に伏兵らしき軍人が多く潜んでいます。慌てずに徐々に右側に逸れて進んで下さい」
砂緒は自ら気付いていないが、今は誰も寄り付かなくなった屋上ミニ遊園地の有料双眼鏡の力を受け継いでいた。
「う、うんやってみる」
フルエレは言われた通りに表面上落ち着きを取り戻すと、ハンドルを気持ち少し右に切って潜む兵達から逃れようとした。
そのままかなり進んだ気がする。
「どうかしら、危機を脱した感じかしら!?」
しばらく走り続けてフルエレが少しホッとした感じで聞いて来る。
「あー進行方向に対して少し遠く右側ですが、私の【ニナルティナ】ですか? その軍服じゃない結構バラバラなラフな服装の軍隊が陣地を構えて守ってる感じですね。恐らく連中が言っていた【リュフミュラン】の軍隊でしょうねえ」
「え、じゃあ私の目的地だし、そっち行けばいいのかしら?」
フルエレが地獄に仏とぱぁっと明るい顔になった。
「そこに知り合いでもいるんですか? でも無ければフルエレは敵対勢力の軍用
「……」
フルエレは不機嫌になり眉間にシワを寄せて目を細めた。
「どうしましたか?」
「じゃ、じゃあ左側行く?」
「いえ、はっきりと見える訳では無いですが、陣に向かって別のニナルティナ軍の部隊が迫っている感じがします。とにかくこのまま真っすぐ真っすぐ進みましょう。運が良ければ我関せずと突っ切ってやり過ごす事が出来るかも知れませんよ」
「ふぁ、ふぁ~~い」
唇が震え気味で噛んで返事をするフルエレ。
そのまましばらく疾走っていると、突然砂緒が言った。
「あーーこれは駄目ですね~さらに前方にもニナルティナ軍の伏兵が隠れてるっぽいですね。要は陣を構えるリュフミュラン軍の軍勢を誘い出し、前方と左側さらに先程やり過ごした南の三方から島津義久の釣り野伏せの如くに包囲して、リュフミュラン軍を殲滅しようとしてるんでしょうかね。これは見ものですよ」
他人事の様に分析する砂緒だった。
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