人情

 人々の休養娯楽に奉仕し、真実ある人々が俺の奉仕を喜んでくれる限り、俺はそれだけでも俺の人生は意味があり人の役に立ってよかったと思う。

 「奉仕」とは何か。単なる善行、これにはなんらかの意味がある。周りに人間が居なくて、1人である場合。これについては善行をしなくて良いと思う人がいると思う。飛んだ段違い者でも簡単明瞭だ。自身が単なる娯楽奉仕者であったにしても、それだけでも自身の生存に誇りをもって生きていられる。誇るべき人間一生の仕事じゃないか。それでもわが思想に自信があり、万人のものとしたい一念があれば、自ら戯作者たらざるを得ないと思う。

 問題なのは偽善ではなく、善行。善行は深い人間性として捉えても相違ないのか。とても俺はそう思えない。人間性というものが人間の現世に正しく復帰するということは恐らく永遠に有り得ないと俺は思う。いつ如何なる現世に於ても、常に現世の良俗というものが存在して、人間性を歪め、各自反逆し合う建前を免え得ないに相違ない。

 そもそも、元来人間には、情というものが備わっていないと考える。これは生きていくうちに分かることだし、くだらなく生きている人間には分からないことだ。

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