第21話 反省会
「反省会、始まるよ!イェーイ!」
「はぁ。今回の失敗点を真剣に話し合うって言ってたのに、料理とお酒を注文してこれでいいの?」
「もう!マヨイちゃん!また悪いクセが出てるよ!配信中はこんなにテンション低くしちゃダメ!RTAで優勝したばかりなのに、もっと楽しくないと!イェーイ!」
「…イェーイ。」
<コメント>
『おつカネ!』
『イェーイ!』
『イェーイ!』
『アカネお前本当に反省するつもりあるの?』
『タイトル詐欺だ。真面目なフォントで「反省会」と書いてあるのに、開いたらまた飲んでるしwww』
『あれか。反省と銘打った打ち上げの飲み会w』
『マヨイちゃんはもう諦めたような顔してるwww』
『まあ、ちょうど優勝したばかりだし、お祝いしたい気持ちもわかるけどね。』
『>10,000G RTA優勝おめでとう!配信めっちゃ面白かった!』
「みんなの応援とスーパーチャット、ありがとうございます!今日は私とマヨイちゃん、そしてリスナーの皆さんと一緒に今回のRTAを振り返り、もっと良くできる点を反省しましょう!私から始めます!」
アカネはグラスの中の酒を一気に飲み干した。顔を赤らめた彼女は空のグラスを高く掲げ、そして大声で叫んだ。
「あの鬼は、絶対に許さない!」
<コメント>
『うるさいwww』
『自分の耳が死んでしまうかと思った。』
『パブリックスペースで酒を飲む時は、音量を下げることを忘れずにね。』
『でも確かに、今回の最大の不確定要素はあの鬼だったね。』
『最後には強化された魔物を召喚したし、一体なにもの?』
『名前は夜華リンドウって言ったっけ。』
『ちょっと調べてみたけど、裏ダンジョン配信では結構有名らしいよ。』
コメント欄に見たことがない用語が出てきたので、私は疑問を投げかけた。
「裏ダンジョン配信って何?お金になるの?」
<コメント>
『お金にはならないよ。』
『マヨイちゃんが知らないか。』
『今、マヨイちゃんとアカネは有名になってきているから、狙われるのも不思議じゃないね。』
『要するにダンジョンを攻略せず、あちこちで待ち伏せして決闘する。そして、その決闘の過程を配信するやつらのことだ。』
『うわぁ、聞いてるだけで悪質だね。』
『それって違法じゃないの?』
『基本的には決闘だけならダンジョン内では違法ではない。』
『物資を奪う行為がなければ規則違反にはならない。』
『抜け道を探してるんだ。』
『基本的にメリットがないから、こんなことするのは戦闘狂だけだ。』
『他の配信者を倒してもお金にならないし、装備を奪ったり故意に殺人を犯した場合、この国の法律で当然犯罪者になるから、戦う快感以外には何のメリットもない。』
『とにかく、グレーゾーンを歩いている奴らだな。』
「へぇ、そんなやつらがいるんだ。でも、そういえばあの鬼は実際の利益にはあまり興味なさそうだった。」
「欲深いマヨイちゃんとは大違いだね!」
「上進心があると言って。」
食べ物で口がいっぱいで話しているアカネを手刀で軽くたたきながら、私は軽くため息をついた。
「そろそろ反省点を話すべきかな、勇崎さん?」
「うん!まずは体力配分の問題かな!それから基礎耐力を強化したい!さらに、もっと頑丈な武器が欲しいし、素手の戦闘スタイルも少し修練したいな。次に待ち伏せする奴には負けたくないからね!」
<コメント>
『開幕ダッシュで全力を出しすぎるのはちょっと危険だね。』
『少し余裕を持っておくべきかもしれない。予期せぬ状況に対応できるから。』
『リズムの配分が大事。』
『本当に、基礎スタミナは重要だよ。』
『それよりもアカネ、もう少しまともな武器を買った方がいいんじゃない?』
『ポイントを突いてる。』
「最後に、マヨイちゃんに割引をしてほしいな!この食事を食べ終わったら、財布が空っぽになっちゃうから!」
「拒否する。それは私が正当に得た収入だ。一時的に支払いができない場合は、借金として受け入れるが、もちろん利息を計算する。」
「えー、そんな!」
「それよりも、今本当にお金がないなら、こんな豪華なものを注文するなんて、よくもまあそんな度胸があるね。」
「人生は今を生きるべきだよ、マヨイちゃん!大事なのは今、ドラゴンの尾を食べられることだよ!」
「はぁ…」
<コメント>
『まあ、アカネはいい意味でも悪い意味でも、今を生きるタイプだね。』
『ところでマヨイちゃんは、前回の配信でのすべてのスパチャをもらったんだよね。』
『そして、第一位の賞金も。』
『そんなに大金を手に入れた感想は?』
『確かに。神社は前回の成功でリノベーションができたんだよね。』
「今回手に入れた金で、冒険に役立つ充実を考えているんだ。装備や緊急用の魔道具やポーションなど、今回の探索で結構必要だと感じたからね。特に、探索や解錠に役立つ道具が欲しい。それから、金銭的な投資や、家族に美味しいものを買って帰ることもね。」
「へぇ、そうなんだ!これらのことは私が全く考慮していなかった!」
「勇崎さんが考えが少なすぎ。」
「まあ、そう言われればそうかもね!私はずっと、力を使えば大抵の問題は解決できると思っていたけど、そうでもないみたい!」
「ようやく理解したのか?ならば…」
「やっぱり、力だけじゃない、圧倒的な力が必要だわ!何か問題があれば、理論的には力で解決できるはず!解決できないなら、私の力が足りないわけ!」
「…はあ。」
「つまり、力を強化するために修行と、ダンチューバーフェスの成功を祝う旅が必要だってこと!イェーイ!行先は!あの美しい南国の島都市!ポポロスに出発!」
得意満々に、太陽とビーチ、そしてヤシの木が描かれたポスターを取り出すアカネ。
<コメント>
『イェーイ!』
『イェーイ!』
『つまり、水着回か!?』
『夏!ビーチ!美少女!次の配信がもう楽しみだ!』
『よくやったぞマネーちゃん!』
『無名のマネーちゃんに賛辞を!神企画!』
『>5,000G イェーイ!水着代!』
『>10,000G マヨイちゃんの水着を見たい!』
「これは一週間の強化週間だ!この旅行で心身ともにリフレッシュして、さらに強くなろう!マヨイちゃん、乾杯!」
「はぁ、本当にあなたはどうしようもないね。」
アカネと軽くグラスを合わせると、私は苦笑いを浮かべていることに気がついた。
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