第8話 救助活動

ダンジョンの通路を抜け、私たちはすぐに助けを求める者を見つけた。


金髪の少女が、白い鎧を身にまとい、額から血を流しながら地面に座り込んでいる。彼女の周囲には、大量のゴーレムが取り囲んでいた。


少女の左手に持つ小さな盾は既に砕けており、腕は力なく垂れ下がっていた。壁に背を預け、手にした剣を振り回してゴーレムとの距離を保とうとしていたが、ゴーレムの群れは絶えずに包囲網を狭めていくだけだった。


やがて、少女の手から剣がゴーレムによって叩き落とされ、彼女の目には絶望が浮かんでいた。


「まずい、間に合わない!」


ゴーレムたちが振り下ろそうとする拳を見て、私は自分の下唇を噛んだ。


諦めの念が心に浮かび上がるその時、私の隣を鮮やかな赤い光が駆け抜けた。


「っ!」


「やあああああああ!届け!!!」


一瞬、時間が遅くなったような感覚がした。


叫び声を上げながら、勇者であるアカネは鮮やかな魔力を爆発させ、彗星のようにゴーレムの群れに突っ込んだ。彼女は小柄な体で一体のゴーレムを吹き飛ばし、鎧の少女が落とした剣を拾い上げて、他のゴーレムの攻撃を防いだ。


「マヨイちゃん!」


「...鬼灯ホオズキ!」


私はゴーレムたちがアカネを攻撃するのを阻止するために狐火を投げた。


しかし、まだ多くのゴーレムがこちらに迫っている。


アカネは一歩を踏み出して鎧の少女とゴーレムの間に立ち、迫る一体のゴーレムを両断した。


「こっちの奴らは私が食い止める!その子を頼む!」


「わかった!」


私は鎧の少女のそばに駆け寄った。彼女の傷を確認しながら、少女に尋ねた。


「歩けるか?」


「うぐ…!無理。」


痛みを耐えるように、鎧の少女の呼吸は浅く速かった。細い眉を寄せ、彼女の顔から汗が滑り落ちた。


「骨が折れている。私があなたを支えてここから離れましょう。」


「すまない。恩に着る。」


鎧の少女を背負おうとした瞬間、地面の震動が私の動きを止めた。いつの間にか、ダンジョンの壁から新たなゴーレムが現れ始めていた。


「...っ。勇崎さん!私たちは包囲された!」


「分かってる!でも!敵の数があまりにも多すぎる!」


赤い光に包まれたアカネは、ゴーレムの群れの中を高速で駆け巡る。先ほどのおどけた姿は嘘のように、今のアカネは高速で飛ぶ流星だ。彼女が通るところ、ゴーレムは次々と砕け散る。しかし、勇者がゴーレムを倒す速度と比べ、ダンジョンから敵が現れる速度の方が速い。


不利を感じたのか、アカネは後ろに跳ねてゴーレムの群れとの戦いから一時離れ、私のそばで息を整え始めた。その間に、私は周囲を観察し、退路がゴーレムでふさがれていることに気づいた。


「まずいな。」


「大丈夫!何とかする!」


深呼吸をした後、アカネは手にした剣を高く掲げた。剣全体が赤い魔力で包まれ、強烈な光を放った。


超技ちょうぎ !勇者の一撃!」


アカネは飛び交う斬撃を放った。斬撃が道を塞ぐゴーレムの群れを一掃し、瞬時に道を開けた。その技の破壊力に私は驚かされた。


しかし、アカネは目の前の結果にそれほど満足している様子ではなかった。彼女は遠くをじっと見つめ、眉をひそめた。


「あちゃー。これで簡単に通れると思ったけど、そうもいかないみたいね。」


「…ああ、そうみたいだ。」


ドン。ドン。ドン。重い足音が私たちに近づいてきた。私たち三人は思わず顔を上げた。


それは、これまでに見たどのゴーレムよりも巨大だったもの。以前の石造りの体とは異なり、このゴーレムの表面は非常に滑らかで、金属色の光沢さえ放っていた。ゴーレムは私たちから数歩の距離で停止し、無機質な赤い目で私たち一行をじっと見つめた。


「どうやら、あれを倒さないと通してくれないみたいね。」


「だね。」


「すまない。私を助けようとして、こんな危険な状況に巻き込んでしまって。」


「ううん、気にしないで。きっと何とかなるから。」


鎧の少女の謝罪に対し、アカネはひまわりのような笑顔を見せた。


「だって、私。勇者だもん。」


その笑顔を見て、少し不本意ながらも、私の心の重圧が一気に軽くなった気がした。


「...カッコつけやがって。あなた、本当にあの大きなやつをどうにかできるの?見たところ、ただのCランクじゃなさそうだよ。Bランクかもしれない。」


「大丈夫。私にはマヨイちゃんがいるから。」


「...ふん。」


鎧の少女を慎重に壁際に置き、私は勇者の隣に立ち、戦闘態勢を取った。


「覚悟を決めて。これは、かなり高くつくから。」

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