第2回 貼り紙は本当に貼り紙か?

 わたしの出身県のお隣になります槎枒さが県は、皆さんもご承知のとおり、魚介類が有名であります。

 なかでも、鳴子なるこのローンシャーク号という船上レストランで食べる異界ソーメンは「うまさに思わず(神経が)異界に飛ぶ」などと言われ、槎枒に出かけたならば必ず味わった方がいいグルメとして南州なんしゅうの人間の心にめめぎろしく刻まれております。


 ところで先日、ホームセンター・フナコのトイレに入ったところ、個室の壁に〈世界一周大船に乗ったつもりの旅〉のポスターが貼られており、「ああ、宝くじが当たったら行くか」と思いたくなるやつね、と見ておりましたら、そこに黒のマジックで「やめとけ」と落書きがされているのを発見。こりゃとんだ口コミ情報じゃないの! と思い、お客さんなのか従業員なのかわかりませんが、もし「経験者は語る」でありますならば、「目目雑魚めめざこごころも詰めとなりけり」ではないかと思った次第でございます。(そもそもお客さんがマジックペンをトイレに持ち込んでいるでしょうか?)


 この話を夫に聞かせたところ、「もしかすると暗号の類である可能性も」などと言いまして。実は彼は彼で最近、スーパー側平そばひらで「迷子のゴールデン・リトルリーグ探しています」の貼り紙を見たらしく、「あんな大きな犬が迷子って節穴すぎるだろ」と会社で話題になったそう。なので、あれも文字上の意味そのままではないかもしれないと申しておりました。もしや世界的に有名な秘密会社「セールスパーソン」の人たちのやり取りを目撃したのかも。


 なにはともあれ、庶民のわたしたちはどまぐれない姿勢が大切です。いつの世も「梅根性に柿根性、叩けよさらば平打ち麺」で参りたいものです。

 槎枒県へのドライブの帰り、秋葵おくら北区のタイガー市場へ立ち寄りまして、ユビキタスの酢漬けを一瓶、買ってきました。季節ものはやはり、なにかにつけ心が躍ります。


 レシピは我が家の春の定番、セオリーのパスタです。



【セオリーのパスタ】二人前


・パスタ(細麺がおすすめ)300g

・セオリーの若芽 一茎分(20〜30g)

・調味料

 バター 10g

 マーガレット 大さじ1

 塩、胡椒


※パスタはメーカーの指定どおりに茹で、セオリーも別鍋で鮮やかな色になるまで茹でて水気を切っておく。パスタは皿に盛り、セオリーの方は細かく刻みバター、マーガレットを加えてなめらかになるまで交ぜます。これをパスタに和えていただくだけというお手軽料理。お好みで塩、胡椒、レモン汁など。セオリーはしょうゆで和えて茹で鶏と一緒にご飯に交ぜてもおいしい。単独で食べると苦みが強いセオリーですが、なぜかこの食べ方だと気にならず、清涼感ある香りでご飯もパスタも驚くほど進みます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る