第4章64話:起床

それからルウは言った。


「そんなことより、なぜテュカベリルさんは兄さんの部屋にいたんですか!?」


「護衛だからじゃ。いつなんどき敵が現れてもいいように、そばにいようと思ってのう」


そのわりには、ルウやシャロンが現れても、ぐっすり眠っていた気がするが。


「で、でも、さすがに一緒の部屋に泊まるのはやりすぎです! せめて隣の部屋にすべきでしょう!」


ルウが抗議した。


テュカベリルが言った。


「……ほう。おぬし、ラングを恋慕れんぼしておるのか?」


「なっ……!」


ルウが顔を真っ赤にした。


「べ、べべ別にそんなことはありません! 変なことを言わないでください!」


とルウが必死で否定する。


俺も言った。


「そうだぞ。ルウと俺は兄妹なんだ。恋愛感情れんあいかんじょうなんてあるわけないだろ」


「……」


するとルウが、なぜか俺に怒りの目を向けてくる。


そして、ため息をついて言った。


「はあ……兄さんのバカ」


なんでだよ……


ルウの妹心いもうとごころが全然わからなくて、俺は困惑した。


テュカベリルが笑う。


「くくく、これは面白い兄妹じゃな。シャロンといったか、おぬしもラングが好きなのか?」


「うん、好きだよー! えへへー!」


「そうかそうか。ラングもすみけんな」


とテュカベリルがニヤニヤ笑う。


俺は言った。


「……とにかく、いつまでもここで話してないで、朝メシにしないか?」


するとテュカベリルが賛成する。


「そうじゃな。腹が減ったわ」


「じゃあ、私が食堂にいって、朝食を頼んでくるよー」


とシャロンが言った。


「私は、兄さんがテュカベリルさんに変なことをしないか、見張っています」


なんだよ、変なことって。


するわけないだろう。


まあ、とにかく。


騒がしい朝ではあったが、俺たちは起床を済ませて、朝食を食べた。

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