第4章62話:護衛就任

テュカベリルが俺の護衛になった。


そのことを、夜、俺はキルティナへと報告した。


「というわけで、テュカベリルを護衛として雇うことになった」


商会オフィス4階。


キルティナの執務室にて。


俺は報告をする。


キルティナは言った。


「なるほど……わかりましたわ。テュカベリルさん、あなたをラングの護衛として認定します」


「うむ。よろしく頼む」


とテュカベリルは答えた。


キルティナは告げる。


「ちなみにですが……さきほど、あなたの護衛を務めていた女性2人が、辞任じにん表明ひょうめいしにきましたわ」


「え、そうなのか?」


「ええ。あなたをロクに守れなかったので、護衛として失格だと思ったそうですわ」


「そ、そうか」


俺は現場を見ていなかったが、その2人は、テュカベリルが余裕でぶちのめしたらしいからな。


トラウマになっていなければいいが。


「ちょうど良いではないか。護衛など、わらわ一人で十分じゃからな」


「……まあ、上級魔族ならば確かに、戦力として十分ですわね」


とキルティナが肯定する。


十分どころか、過剰戦力かじょうせんりょくだ。


街1つ、島1つを単騎たんきで相手にできるような魔族だろうし。






そのあと。


テュカベリルが商会オフィスに泊まっていくことになった。


近くで俺を守るため……だそうだ。


まあ、それはいいんだけど。


「……なんで俺の部屋で寝る?」


と俺は疑問を口にする。


テュカベリルが、俺の部屋のじゅうたんのうえに寝転んでいた。


毛布もうふわりの布をかぶって、完全に就寝しゅうしん体制である。


テュカベリルが言ってきた。


「よいではないか、ベッドは占領しておらんのじゃから」


たしかにテュカベリルは床で寝ようとしている。


ベッドは空いている。


だが。


「そういう問題じゃないだろ」


と俺は言った。


「うるさい。わらわは眠い。邪魔をするな」


とテュカベリルは一方的に告げてから、すやすやと休み始めた。


即座に寝息ねいきを立て始める。


「寝るのはやっ」


俺は驚く。


魔族は眠りにつくのが早いのか?


ともかく。


「しょうがないか」


今日のところは、このまま寝かせてやるか。


別にベッドが奪われたわけじゃないしな。


そう思ってあかりを消し、自分のベッドに入る。


すぐさま睡魔がやってきて、眠りの底へと落ちていった。




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