第4章53話:方針

そのあと、商会経営についていろいろ語り合った。


夕方。


会議が終了する。


キルティナは告げた。


「商会オフィスには、幹部用かんぶよう宿泊しゅくはくスペースを用意しておりますわ」


「泊まれる個室があるということか?」


「はい。ラングは3かいの302号室ごうしつを使うとよろしいですわ」


「俺の部屋もあるのか。それはありがたいな」


せっかくなので、今日は泊まっていくことにした。


ついでにルウとシャロンも、商会オフィスで泊まることになった。


俺は商会オフィスの個室に入る。


ルウとシャロンは隣の部屋に。


オフィスの個室は、ちょっとしたホテルのように小綺麗な部屋であり……


ふかふかのベッドがあった。


ベッドに寝転ぶ。


うっとりするような寝心地ねごこちだ。


あっという間に睡魔すいまがおとずれ、ねむりのそのへと落ちる。







翌朝。


起床する。


俺は個室で朝食をとることにした。


その途中。


部屋にキルティナがやってきた。


「ラング。話したいことがありますわ。このあと、お時間よろしいでしょうか?」


「ん、ああ。構わないが」


「では、4階の会議室でお待ちしておりますわ」


「わかった」


返事をする。


話とはなんだろう?


俺は朝食を済ませたあと、会議室に向かう。


キルティナが座っていた。


他にはユミナがいる。


俺はユミナの正面に座った。


「で、話ってなんだ?」


「はい。今後のルナトリアについてですが――――」


と、キルティナが前置きをしてから切り出した。


「まずはマドリエンヌ領の制圧に向けて動くべきだと、私は考えておりますわ」


マドリエンヌ領の制圧……


つまり、それは。


「ヴィオーネを倒す、ということですね」


とユミナが言った。


俺は尋ねる。


「ヴィオーネには勝っただろ? アレじゃダメなのか?」


「わたくしたちが勝利したのはヴィオーネの6号店ですもの。まだヴィオーネの1号店から5号店まで残っておりますわ」


そうか……


言われてみれば、そうだな。


俺は確認する。


「つまり……ヴィオーネの残りの店も、すべて潰しにいくということか?」


「そういうことですわね」


キルティナがハッキリと肯定する。

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