第4章52話:会議2

ユミナの言葉に、取り乱すルウとキルティナ。


しかしシャロンだけは、ふふ、と微笑んで答える。


「うん。私はラングくんのことが好きだよー! もちろん、恋愛的れんあいてきな意味で!」


「……」


俺は苦笑した。


シャロンは相変わらず冗談が上手いな。


ユミナが提案する。


「でしたら、恋愛するときは全員同時にしたらいいのではないでしょうか? 全員、ラング様のカノジョになれば、丸く収まると思います!」


……こいつは何を言ってるんだ?


俺はあきれ返る。


さすがにキルティナが注意するだろう、と思っていたが……


なぜかキルティナは同意する。


「そうですわね……それが、いいかもしれませんわね……」


ルウも同意した。


「わ、私も賛成です。それならば、商会の幹部同士で争いや、いがみあいが生じることもないと思います!」


俺はツッコミを入れる。


「いがみあい? 俺が誰と恋愛しようと、喧嘩なんか起こるわけがないだろ」


「いえ、起こると思いますよ」


とユミナが真顔まがおで言った。


シャロンがユミナに同調する。


「そうだよ! みんなラングくんが好きなんだから、嫉妬しっとくるって喧嘩けんかしちゃうよー!?」


「あはは。有り得ないって。だいたい『みんな俺のことが好き』とか、その前提ぜんてい自体が間違ってるからな」


と俺はシャロンの言葉を否定した。


すると、なぜかキルティナが盛大にため息をつく。


ルウもあきれた顔で「兄さんのバカ」とつぶやいている。


ユミナさんはユミナさんで、


「なるほど……そういう感じなアレですか」


と一人で納得していた。


シャロンだけが言い返してきた。


「もう、ラングくんの鈍感!」


と、ぷんすか怒ってきた。


鈍感じゃなくて、正しい現状認識げんじょうにんしきだと思うんだけどな。


……再度ため息をついたキルティナが、こほんと咳払せきばらいをしてから言った。


「話がそれましたが……とにかく! ユミナさんが料理部門の幹部ということで、よろしくお願いしますわね、ラング?」


「ああ。わかったよ」


と俺は返事をする。


するとユミナさんが一礼する。


「足をらないようにしますので、これからよろしくお願いします!」


「こちらこそ、よろしく」


と俺は答えた。


かくして、俺はユミナとともに、商会の幹部として活動していくことになった。

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