第4章49話:顧問役

キルティナは説明する。


「シャロンさんとルウさんは、もともとグレフィンド家でも、政治の才能を認められていたというではありませんか。ならば、商会の政治的な部分を担当する幹部に、ふさわしい人材かと思いまして」


「……それで幹部に就任させたのか?」


「はい」


キルティナが肯定する。


なるほどな。


まあ、シャロンは政治的なセンスが抜群ばつぐんだし。


ルウにはウソを見抜くユニークスキルがある。


魔境まきょうともいえる貴族社会きぞくしゃかいにおいて、二人の政治力せいじりょくは光るものがあった。


本来は、その才能をグレフィンド家の未来のために使うはずだったが……


キルティナ商会のために振るうことになるとは。


人生、何があるかわからない。


「……で」


とキルティナは言った。


「ここからが本題ですが……ラング? あなたには、料理部門りょうりぶもんの幹部になっていただきたいんですの」


「……え?」


突然のもうに、俺はぽかんとする。


「あなたの料理の才能は、誰の目にも明らかなほど、優れていますわ。今後は商会の幹部として、その力をふるってはいただけませんか?」


とキルティナは言ってきた。


面食めんくらいつつ、俺は尋ねた。


「えっと……その前に、幹部って何をするんだ?」


そこでキルティナは告げる。


「担当にもよりますが、あなたには顧問役をしていただきたいと思っております」


「顧問役?」


「はい。言ったように、あなたの才能は貴重ですわ。ゆえに書類仕事しょるいしごとなどの雑務にしばり付けるより、大胆だいたんな提案や料理のアドバイスをしていただければ、と思っておりますの。役職名やくしょくめいは【料理顧問役りょうりこもんやく】とでも名づけておきましょうか」


キルティナが説明するところによると。


料理顧問役は、


・ルナトリアの料理や、レストラン全体へのアドバイス。


・料理を改善するための提案。


・新メニューや、新たな料理技術の提案。


……等々とうとうが、主な業務となるらしい。


つまり、商会の料理部門のアドバイスやくである。


「なるほど……」


と俺は理解する。


キルティナが確認してくる。


「キルティナ商会の料理部門を発展させるために、必要なアドバイスをおこなう。それが【料理顧問役】です。……引き受けていただけますか?」


ふむ。


顧問役……か。


前世の知識をフルに活かせそうな役職だし、俺に向いているかもしれない。


俺は答えた。


「ああ、いいぜ。面白そうだし、引き受けるよ」


「そうですか。ありがとうございます!」


キルティナが微笑んだ。





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