第3章35話:需要と来客

来客の数が日増ひましに増えていく。


現在の従業員だけでは、明らかにキャパオーバーになり始めた。


ゆえに新しく人員じんいんを雇う。


すでにルナトリアの知名度が大きく広がっていたので、すぐに応募が集まった。


キッチンスタッフを2名ほど新しく雇う。


ホールスタッフも5名ほど追加して、ローテーションを組んだ。









ルナトリアは大繁盛だいはんじょうとなったが……


同時に、唐揚げパンの需要も拡大していった。


冒険者ギルドやアイテム屋など、いくつかの店に唐揚げパンをおろしているが、100個や200個ぐらいならあっという間に完売してしまう。


だからキルティナは、パンを作るための工房を購入し……


新しく人員を雇いまくって、唐揚げパンの大量生産に励んだ。


この仕組みを構築したことにより、1日500~1000個の生産と出荷を実現した。


「唐揚げパンも鬼のように売れていくな」


「当然ですわ。いま、アイリーンの街では唐揚げパンが話題沸騰中わだいふっとうちゅうですもの」


「ふむ」


それはルナトリアでも実感している。


実は唐揚げパンそのものを目当てに、ルナトリアを訪れる客も多い。


だからメニューに唐揚げパンを追加し、さらに唐揚げパンのテイクアウト販売もはじめたのだが……


一瞬で完売してしまう。


開店時間から1時間後には売り切れになるほどだ。


「飛ぶように売れていくので、提携したあちこちの店で追加発注ついかはっちゅうがかかってますわ。『自分の店にも唐揚げパンを置かせてくれ』と申し出てくる店主てんしゅ露天商ろてんしょうも増えてきました」


「唐揚げパンに、ルナトリアの名前を付随ふずいさせておいて良かったな。おかげでルナトリアの知名度も、どんどん上がっていってる」


「そうですわね」


唐揚げパンをみずにして、ルナトリアの客を増やす作戦は大成功だ。


俺はひとまず安心した。





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