第3章30話:対抗策
そして。
準備は進み……。
開店の当日。
朝。
晴れ。
ついに店がオープンする。
開始して数時間。
ヴィオーネにはとんでもない行列ができていた。
100人以上は並んでいるのではないか、と思えるほどの
ヴィオーネの開店前から既に列ができており、開店してからも、絶え間なく来客が増え続けた結果である。
一方。
ルナトリアといえば。
行列はおろか、一人の来客もない。
昼になっても。
夕方になっても。
この日。
ルナトリアにきてくれたお客さんは、ゼロだった。
そして。
それは
四日目のことだった。
「……!」
夕方。
店の
やっとお客さんが来てくれたかと思った、が。
現れたのはカノリアさんである。
「カノリアさん……」
「ごきげんよう、みなさん」
その場にはキルティナも含め、ルナトリアのスタッフが全員揃っていた。
カノリアさんは店内を少し歩いてから、ぷっ、と笑った。
「あらあら、ずいぶんと寂しい
「あんた……何の用だ?」
「実は、お客さんが全然来ないルナトリアに、提案があって参りました」
「提案……?」
俺が問い返すと。
カノリアさんが
「店を
「……!? いま、なんて」
「ですから、ルナトリアを廃業したらどうか、と言ったのです。ふふふふふ」
バカにしたように笑う。
「ちょっと! あなた、いきなり何なんですか!? 失礼じゃないですか!?」
とルウが突っかかった。
カノリアさんが答える。
「失礼……でしょうか? ですが現実に、あなたがたの店は人気がありませんし、お客さんもいませんよね?」
「くっ……」
「こんな店を経営していても、時間の無駄でしょう? 先は見えているのですから、さっさと商売を打ち切ったほうが賢明ですよ?」
「……」
俺は押し黙る。
カノリアさんがころころと笑ってから、告げた。
「伝えたいことはそれだけなので、これで失礼します。私はあなたたちと違って、忙しい身ですからね。ふふふふ」
カノリアさんが店を立ち去っていく。
キルティナが、壁に拳を叩きつけた。
「あの女……舐め腐ったことを……!!」
怒りに打ち震えている。
それは他の面々も同様だった。
そのとき従業員の一人が言った。
「でも、どうするんですか? このままじゃ、本当に店がつぶれちゃいますよね……?」
3日連続、客ゼロという現実。
客がいないということは収入がない……
どころか、マイナスである。
客がいようがいまいが、給料は払わないといけないし、経費もかかるからだ。
「ふう……」
俺は、ひとつ深呼吸をした。
そして、笑う。
「くく。『店を畳んだらいい』……か」
カノリアさんの言葉を思い出す。
俺は不敵な笑みを浮かべた。
「言ってくれるじゃねえかよ」
「ラング?」
俺の態度に、キルティナが不安そうな顔を向けてきた。
俺は告げた。
「キルティナ、俺に良い案があるんだ。協力しろ」
「え?」
「――――ヴィオーネをぶっ潰してやる」
そう宣言した。
そして翌日。
俺は、ある商品を製作して販売することにした。
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