第2章24話:雇う

俺は尋ねた。


「……で、キルティナ? 二人を雇ってくれるのか?」


「ええ……まあ。希望はホールスタッフということでいいんですわよね?」


「そうだな」


「……平民に頭を下げる仕事ですが、その点はよろしいんですの?」


キルティナが尋ねると、ルウが答える。


「はい。私たちはもう、貴族令嬢ではありませんから」


「そうそう。キルティナちゃんも、私たちのことは様づけじゃなくて、呼び捨てで呼んでくれていいんだよ」


とシャロンが言うと、キルティナが困惑した。


「そ、それはさすがに気が引けますわ」


するとルウが告げる。


「いえ……様づけだと、特別な存在だと周囲に思われてしまいます。貴族だったことは、あまり吹聴したくないので、できれば平民同様に扱っていただけると幸いです」


俺も賛成した。


「そうだな。俺もそれがいいと思う。普通に『さん付け』で呼んだらいいんじゃないか?」


キルティナがしばし悩んだ顔をした。


ややあって告げた。


「んんむ……わかりましたわ。では、シャロンさん。ルウさん」


「はいはーい」


「それで構いません」


とシャロン・ルウは了解した。


キルティナが告げる。


「それではホールスタッフとして、働いていただきますわ。これからよろしくお願いいたしますわね、シャロンさん。ルウさん」


「任せてちょうだい!」


「頑張ります」


かくしてシャロンとルウが、うちの従業員となった。






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