第2章12話:街と店舗

俺たちは現在の島を離れ……


【コルゼンとう】と呼ばれる島にやってきた。


異世界の島はどこも魚料理の激戦区―――


しかしコルゼン島は、その中でもマシな激戦区だ。


魚料理のレストランをはじめるにはちょうどいい島である。







コルゼン島の中心地―――【アイリーンの街】にやってくる。


ここは海の町であり、海に面している。


背後には山が広がっている。


海と山に囲まれた街。


それがアイリーン。


ちなみに。


街は上層じょうそう中層ちゅうそう下層かそうの3つのエリアに分かれている。


上層が山にあり、下層が海に面しているという配置だ。


上層は裕福な者たちが住み、中層・下層は主に一般庶民が住む。






さっそく、この街で商売の準備をおこなうことにする。


といっても準備のほとんどはキルティナがおこなってくれた。


キルティナの経営にかける情熱は本物らしく。


恐るべきスピードで、レストラン開店のための準備を整えていった。


まず商業しょうぎょうギルドで商会を設立。


名前は【キルティナ商会しょうかい】。

 

次に土地と。


店舗てんぽの購入。


店の場所は、アイリーンの中層エリア。


眼下がんかに、下層の街と、海が眺められる立地りっちである。


「これがわたくしたちの1号店ごうてんですわ」


俺とキルティナは、店の前に立つ。


店を見上げる。


四角い形をした白い建物。


店の大きさは、それほど巨大ではない。


ちなみに2階建かいだてだ。


「1号店ということは、いつかは2号店、3号店も開いていくつもりなのか?」


と俺は尋ねた。


キルティナは肩をすくめて答える。


「当然ですわよ。あなたはそのつもりじゃないんですの?」


「……いいや。そのつもりだ」


と俺は答える。


キルティナは不敵な笑みを浮かべて言った。


「どうせなら、魚料理さかなりょうり天下てんかるぐらいの気構きがまえで、のぞんでいきたいですわね」


それは同感だ。


「でも、まずはこの1号店を成功させなければいけませんわ。そのために奮発ふんぱつして、良い立地の店を選んだのですもの」


「……」


俺は、おもむろに周辺を見渡す。


店の向かいは一軒家いっけんや


少し離れたところにパン散髪屋さんぱつや靴屋くつやなどがあった。


近くにライバルとなりそうな店はなさそうだ。


景色も良いし……確かに、素晴らしい立地だと思う。


キルティナは告げた。


「さて、中に入りましょう」


「ああ」


俺たちは店の玄関ドアをくぐる。





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