第1章7話:調味料

キルティナが確認してくる。


「確か、マヨネーズをつければもっと美味しくなるとおっしゃっておりましたわよね?」


「ああ。そうだな」


俺は肯定する。


唐揚げといえばマヨネーズは鉄板だ。


キルティナが、唐揚げをフォークで突き刺し、マヨネーズをつける。


そして。


口に運んだ。


「……!!」


驚愕きょうがくしたように目を見開くキルティナ。


それから彼女は。


感想を述べる時間さえしいといわんばかりに。


夢中で唐揚げを食べ始めた。


あっという間にたいらげていく。


そんなキルティナの様子を見た料理長は、とても興味をそそられたようで。


料理長もまた唐揚げをマヨネーズにつける。


そして。


食べる。


「なっ……!!」


料理長はかみなりに打たれた顔をした。


「こ、こんな調味料が……!?」


「どうだ、マヨネーズは?」


と俺が尋ねると、料理長は絶賛してきた。


「美味しい……いえ、美味しいなんてものではありませんよ! この調味料をつけるだけで、唐揚げの旨味うまみと深みが一層いっそうして……やみつきになりそうです!」


よかった。


どうやら、異世界人いせかいじんにも前世の調味料は、お口に合うらしい。


味覚が違うと、美味しくないと感じる可能性もあったが……


その心配は要らなそうだ。


俺はひそかにガッツポーズを作る。


(前世の知識は……やっぱり異世界でも通用する!)


前世の知識があれば、マヨネーズ以外にもいろいろな調味料が作れる。


料理錬金術りょうりれんきんじゅつ】があれば、複雑な工程をようする調味料も、あっという間にできてしまう。


ハズレスキルだと思っていたが……


全然ハズレじゃない。


俺は、未来の可能性が広がっていくのを感じた。

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