第21話 ジジババの奥の手!?
《あれは、ギカントスタージャルフですね。約300年前に記録として残されてます。ランクはA+です。ちなみに、マッハジャルフがA-です》
おいおい、マッハジャルフよりも強いってマジかよ。
てか、デカすぎだろ。
何メートルあんだよ。
「ありゃあ、新種のジャルフか?」
「いや、確か数百年前に現れたことがあるはずだよ。昔、記録を見た事がある」
僕たちが驚いている中、セルヴァさんも登場。
セルヴァさんは、知っているようだ。
「さて、どうしましょうか。何かいい案はありますか?」
「うーん。あいつは私たちが本気を出さなければ勝てない相手だからなぁ...」
「ふむ、じゃああれが敵の親玉のようじゃし、久々に本気でも出してみるかの?」
なんと、まだ全力では無かったらしい。
強すぎだろ、このジジババ。
「坊っちゃま?なんか要らぬことを思いませんでしたか?」
「い、いや?まだ、全力じゃないだなんてすごいね!!」
「はっはっはっ。そうでしょう、そうでしょう」
トムさんのおかげで、何とか乗り切れたようだ。
セルヴァさんは、まだ疑っているようだが、気にしない。
「ところで、さっきからジャルフ達の攻撃が止んでるような気がするんだけど・・・なんで?」
「あぁ、それは親玉が吠えたからですよ坊ちゃん」
???
「ジャルフ種みたいな群れを形成するタイプの邪獣は、上位種の命令に絶対服従なんですよ」
「あぁ、なるほど。よく知ってるなぁトムさんは!」
「はっはっはっ。ありがとうございます」
ふむ、なるほど。
邪獣にも群れを作るやつがいるのか。
って、アカさんは知ってたんじゃない?
《・・・はて?》
あっ、サボってたな?
「それはそうとどうすんだよ。なんでかジャルフは減ってないし、どの道あのデカブツを相手しながらみんなを守るってのは俺達には無理だ」
「ふむ、確かにトムの言う通りではあるな」
「じゃあ、私が他を相手するからあんたら2人であいつを相手してくるかい?」
流石は、歴戦の猛者。
すらすらと作戦が建てられていく。
それから数分、作戦会議も大詰めになってきた時、遂にギカントスタージャルフがジャルフ達を割ってゆっくりと近づいてきて、僕たちの目の前に現れた。
《あぁぁぁぁぁぁ!?あれは、サモナージャルフ!!》
突然、アカさんが叫んだ。
どうやら、ギカントスタージャルフの横にいる小さなジャルフのことを言っているみたいだ。
(急にどうしたんだよ)
《いや、マスター。サモナージャルフですよ?約400年前に国を滅ぼしかけた邪獣です。こいつがいたからジャルフ達が減らなかったんですね》
「よしっ、じゃあトムがギカントスタージャルフ、マッジョルがサモナージャルフ、私がその他の相手をする感じかね?」
「そうじゃな。なるべく早くやっつけて助太刀に来てくれよ、マッジョル?わし1人だと十分と持たんぞ」
「分かっていますよ。トムも私が来る前にやられないでくださいね」
僕とアカさんが話している間に、トムさんたちの間で作戦が決まったようだ。
ていうか、当たり前のようにサモナージャルフについても知ってるセルヴァさんって一体何者?
作戦も決め、敵に向かう雰囲気になっていると突然トムさんが、手に持っている黒い大きな盾と大きな斧を目の前でクロスさせた。
「しゃあああ!気合い入れて行くぞい。
トムさんが、吠えた瞬間、手に持っていたはずの武器が粉々に砕け散り、残ったオーラみたいなものがトムさんの体に入っていった。
え、何それ!?
強くてかっこいい武器が粉々になったかと思ったら、トムさんに吸収されてしまった。
「私も久々に本気を出しますか。
マッジョルさんも、胸のところを親指でトンッと叩くといきなり、白と赤のオーラを纏いだした。
「じゃあ、行ってきますね」
「わしも行ってくるぞい」
そう言うと2人はそれぞれの敵のところに行った。
マッジョルさんなんて、言った瞬間から消えてしまった。
早すぎて見えなかったのだろう。
「さて、私も行きますか。
セルヴァさんも何か言うといきなり風が吹き緑のオーラがセルヴァさんを囲んだ。
数秒後、風も止み緑のオーラも無くなると、そこには耳が尖って妖精の羽が生えたセルヴァさんがいた。
「どうです、坊ちゃま。可愛いでしょ?」
「・・・」
《マスター。ここは可愛いって言わないと》
「あっ、かわいい、可愛いです!!」
「なんですか、その間は。私も昔は妖精姫として、ファンクラブもできてたんですからね」
ドゴォォン!
僕たちが茶番をしている間に向こうも戦闘が始まったようだ。
トムさんは、手を前にやると盾型の大きなオーラが現れ、敵の攻撃を防御していた。
さらに腕を振ると、これまた斧型の大きなオーラが現れ敵を切り裂いている。
一方マッジョルさんは、白と赤の閃光が見えるだけでマッジョルさん自身があまりに速すぎて見えない。
しかし、サモナージャルフを守るジャルフ達が次々に吹っ飛ばされたり、地面に叩きつけられている。
もう少しで、サモナージャルフの元にたどり着きそうだ。
「2人とも、飛ばしてるわねぇ。さぁ、坊っちゃま。私達も頑張りますよ」
「はーい」
するといきなりセルヴァさんは空に飛んだ。
「坊っちゃま。私は空で戦うので、坊っちゃまはそのままそこを動かずにみんなを助けれるだけ助けてください。何故か、ジャルフは、坊っちゃましか狙ってないようなので」
「わかったー」
僕にそう言うと、早速僕に襲いかかってくる三体のスタージャルフ目掛けて弓を構えた。
「妖精魔法:悪意のイタズラ」
セルヴァさんが唱えると、スタージャルフ達の足元の草がスタージャルフの足を絡め取り、転ばせた。
「
次の瞬間、一瞬にして三本の矢がスタージャルフ達に突き刺さると、そこから狂ったように風が吹き荒れた。
「ふぅ。坊っちゃま?ぼーっとしてないでみんなを守ってください?ほらあそこの騎士、攻撃されそうですよ?」
「は、はい」
(つえぇぇ。上位種を相手に瞬殺じゃん)
《これ程とは…。流石は、侵略大戦を生き残った人達ですね》
僕ってここにいるの場違いなんじゃね?と思いながらとりあえず死にかけている騎士に結界を張った。
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