第18話 本館襲撃!?
ジャルフ遭遇事件から3日目の朝、僕は部屋の外の騒がしさに気づき目を覚ました。
(ん?なんでこんなに騒がしいんだ?)
コンコンッ
「レン様、お目覚めでしょうか?」
どうやら、見習いメイドのセルティカが起こしに来てくれたようだ。
朝の弱い僕のために毎朝、起こしに来てくれる、心優しきメイドだ。
「はーい、今起きたよ。入ってきていいよー」
僕は、寝起きの声で返事をした。
「失礼します。レン様、おはようございます。今日は、いつもよりお早いお目覚めで。凄いです!!」
「おはよう。なんか、家中が騒がしいようだけど何かあったの?」
僕は、ベッドから起き上がり、セルティカが入れた紅茶を飲むべく、部屋にある椅子に腰掛けた。
「そうなんです。昨日の夜、いきなりスタンピードの予兆を観測したらしく、今日にもスタンピードが起こりそうなんです」
なんだって!?
スタンピードとは、魔物が長年かけて大量発生することによって起こることが多い。
しかし、僕がいるこの大陸では、スタンピードとは突然発生するものなのだ。
理由は、解明されてはいないが、間引きをすることで、スタンピードの発生間隔を伸ばすことはできるものの、いずれは起きるものだ。
(あれ?でも、この前お父さんがスタンピードを阻止したって言ってたぞ?さすがに、1回起きると2ヶ月以上は間隔が空くはずだけど...)
《おかしいですね。まだ、前回のスタンピードから1ヶ月も、経ってませんよ》
「え?でも、この前スタンピードが起きたばっかりだよね?」
「そうなんです。3日前のレン様が襲われた件もあって、何か裏で起きてるんじゃないかって。今回はグラナータ家総出で対処するみたいです」
おぉ!
それは凄い。
「もしかして、あの動かないで有名なあの人も?」
「はい。今回は御館様がいらっしゃらないため、代わりに出るみたいです」
セルティカと話している間に着替えを済ませた。
「おっし、じゃあ食堂に行こうか。今日の朝食って何?」
「今日は、ロイ様の好きなデモニオカウのカツサンドとスープみたいです」
「え!?デモニオカウなの?美味しそう!!それならそうと早く言ってよ!早く行こう」
デモニオカウとは、悪魔みたいな格好の牛だ。
口に入れた瞬間にとろける肉質であまりに高級品なため、めったに手に入らない。
そのため、僕はテンションアゲアゲで急いで食堂に向かった。
時は経ってお昼どき。
僕は、朝ロイ兄と皆を送ったあと中庭に来ていた。
「あーー、今日のカツサンド美味しかったなぁ」
今僕は、中庭にてスラ吉の上に乗りチルと一緒にゴロゴロしている。
なぜ、僕がこんなことをしているかと言うと、裏山立ち入り禁止令を発令されたからだ。
ジャルフ遭遇事件から、帰ると直ぐにグラナータ家会議が開かれ、事が落ち着くまで、裏山に入ることが出来なくなったのだ。
これには、流石の僕もガックリ。
僕のあそ...、修行場所が無くなったのだ。
どうにか、必殺『上目遣いでおねだり』をロイ兄に使うもダメだった。
・・・いや、楽しいよ?
ダラダラするの好きだし。
《マスター、そろそろダラダラするのをやめて、魔法の修行をしませんか?》
(えー、嫌だよ。せっかくダラダラしてるのに。せめてあと一日だけ)
《マスター?昨日もそう言ってませんでしたっけ?》
(あれ?そうだっけ。言ったような、言ってないような...?)
「まぁ、いいじゃん。ねぇ、スラ吉。スラ吉も僕とゴロゴロしたいよね?」
『・・・』
やはり、スラ吉は無反応のようだ。
僕の〈
アカさん曰く、《長年、監獄に閉じ込められていたせいで心が死んでしまっているのでは?》ということらしい。
これは、時間が解決するらしく、待っていたらいいということだ。
「ふぁぁあ〜。ポカポカして眠くなってきたな。チルも眠くなってきた?」
「にゃぁー」
太陽もちょうど真上にきだして、お昼寝日和だ。
(じゃあ、僕はちょっと寝ようかな)
《マスター?またですか?今日という今日は、流石に魔法──》
(おやすみ〜)
何やら、アカさんがうるさいが僕の眠気の前に為す術なく、僕は眠りに入った。
ドゴォォォーーーーーン!!
!?
なんだなんだ?
何がおこった?
《マスター。大変です。裏門の方から大きな音と黒い煙が!!》
(え!?...本当だ。もしかして、敵襲?でもまだ明るいし・・・なんだ?)
音が止むと、裏門の方から次々に叫び声やら怒号が聞こえだした。
裏門で一体何が起こってるんだ?
《マスター、とりあえず様子を見に行きませんか?マスターなら、結界で上から直接行けると思うので》
確かに。
今の僕なら、結界を階段状に空に伸ばしていけば最短でたどり着く。
「チル。悪いけど、今から僕を乗せて裏門まで一緒に来てくれる?」
「にゃあ!」
《急ぎましょう!何か嫌な予感がします》
(了解!)
急いで結界魔法を上空に向かって階段状に伸ばした。
「チル、行けぇぇ!」
「にゃぁぁぁぁー」
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