第16話 異世界、初の大ピンチ!?
犯罪スライム召喚事件から、4日が経った。
あの犯罪スライムは、スラ吉と名付け、無事僕の配下となった。
あれから、1歩も動こうとせず今なお、中庭に
スライムと言っても、前世のマスコット的なスライムであるため、使用人達もぷにぷにしたりして、可愛がっている。
まぁ、今のところはなんの問題も起きてないし、良しとしよう。
さて、この4日間僕たちはスラ吉について調べまくった。
なんといってもあの称号だ。
慎重に進めなければならない。
(気楽に召喚魔法を試したら、超ド級の犯罪者が出てくるとは…)
2日前、ついにアカシックレコードの申請許可が降りたとアカさんから報告があった。
それによると、スラ吉は初めてこの世界に産まれたスライムらしい。
さらに、今世界中にいるスライムは全てスラ吉が産み出したものだという。
では、何故そんなスライムが投獄されていたのか。
それは、5000年前にあった、神と邪神との最終決戦の時、スラ吉は邪神に見事に操られてしまい、神に反逆したからだ。
まぁ、そんなわけで封印され監獄に入れられていたところを僕が脱獄させてしまったわけだが...。
気にしない、気にしない。
今は、投獄されていた影響でステータスも弱いが、これからきっと僕の戦力になってくれるだろう!
さて、僕はと言うと現在、実戦再開中だ。
4日間もサボっていたため、やりたいことが溜まっている。
最近では、ジャブリン程度なら複数体いても安全に狩ることができるようになってきたため、ジャブリン以上の邪獣と戦おうと思う。
狙いは、Cランクのジャークだ。
こいつは、オークを邪物化した邪獣で、力が無茶苦茶強いうえ、外皮も鉄製の剣なら折れてしまうレベルだ。
この間、たまたまジャブリン5体VSジャーク1体という戦いを見たのだが、 結果はジャークの圧勝。
なんと、ジャブリンが殴った後、停止するその瞬間に頭を握りつぶすという脳筋スタイル。
棍棒で殴られた程度ではかすり傷にすらならないのだ。
今日は、こいつに僕の結界魔法が通用するかどうか確かめに行こうと思う。
僕は、朝から裏山に1人潜る。
太陽が真上に来た頃、ようやく裏山の序層最奥に来た。
ここでは、ジャークとジャブリン達が日夜、縄張り争いに勤しんでいる。
(ふぅ。やっと着いたな。それにしても、ここまでジャブリンとは1匹も遭遇しなかったね)
《そうですね。これは、異常事態かもしれません。今日は、家にお兄さんがいるので、一旦戻って相談してみるのはどうでしょう?》
(何言ってんだよ、アカさん。せっかくここまで来たんだし、せめてジャーク、1匹ぐらい倒していかないと)
アカさんは、いつも安全策を取ってくる。
しかし、今日は朝からワクワクで来たんだ!
そう簡単に帰ってなるものか。
(それじゃあ、アカさん。索敵よろしく)
《はぁ。分かりました。でも、危なくなったらすぐにでも帰ってもらいますからね》
僕がジャークを探して2時間。
一向にジャークが出る気配がない。
それどころか、ジャブリン1匹も見当たらない。
《マスター。これは本当に異常事態かもしれませんよ。こんなに探して邪獣1匹も見つけきれないなんて》
(えぇー、じゃあ帰る?せっかくここまで来たんだしもう少し探そうよ、ね?)
僕とアカさんが家に戻るか話し合っていたその時、突然周りの景色が歪み始めた。
「な、なんだこれ」
《マスター。すみません、突然現れた邪獣に周りを囲まれてしまいました。色んな種類のジャルフ達です》
ジャルフ!?
なんで、そんなのがこんな序層に...
ジャルフというのは、ウルフの邪物化した名前だ。
しかし、ジャルフは、本来中層を、拠点としており、こんな所に現れる邪獣では無い。
歪みが無くなると、そこには頭に星のマークがついたものから、通常のジャルフより3倍は大きいジャルフ。
さらに、真っ黒なジャルフの形をした影がゆらゆら揺れているものなど、色々なジャルフが約50体ほどいた。
《あれは、スタージャルフ、ヒュージジャルフ。さらにシャドウジャルフまで!?どうして他の種族まで一緒に。それに出現方法もミラージュジャルフそのもの。それに、指揮系統もしっかりしている?一体何が...》
僕たちが、驚いている間、あちらは陣形を整えて襲ってきた。
「
僕は、咄嗟に全方位に結界で出来た針を飛ばした。
何匹かは食らったようだが全てジャルフだ。
上位種である、スタージャルフ達はピンピンしている。
(あれー?これ、結構まずくない?上位種には、あんまりきいてないような...。それに、全方位に上位種がいるんだけど...)
《だから、あれほど帰ろうと言ったのに。どうするんですか。ジャルフの上位種一体ならまだしも、複数体と戦っても勝ち目無いですよ。》
く、くそぉ。
せっかく新魔法も試してみようとしていたのに...。
(どうしよう?なんか策ある?)
《うーん、あまり現実的なやつは無いです。どうにか、家にいるお兄さんに知らせる位しか...》
僕とアカさんが話し合っている間もジャルフ達は、僕に攻撃をしてきた。
幸い、僕の結界は上位種のジャルフの攻撃も無傷で耐えれるらし。
割られる気配がない。
《あとは、この攻撃の中、どうにか集中して、空間魔法で包囲を抜けるとかですかね?》
(いや、それ実質不可能じゃん。ただでさえこの密集地帯で空間魔力もぐちゃぐちゃで空間を把握するのも難しいのに)
僕とアカさんが現状の打開策を出し合っている時、突然僕の結界にヒビが入った。
「え!?なになに??もしかして、割れる?」
戸惑っていると次の瞬間、結界は割れて僕は後ろに吹き飛ばされてしまった。
(ちょっ、ちょっと待って。このままじゃあ、生身でジャルフの群れに...)
《マスター。結界を早く》
分かってるって。
僕は即座に身に結界をまとい、ジャルフの群れに入っていった。
「
群れの中に入って数秒、僕は結界を棘に変化させ、全方位に伸ばした。
(ふぅ、何とかなったな)
《何とかなったじゃありません。それに、結界を割った邪獣が分かりました。A−級のマッハジャルフです》
A−級!?
それに、マッハジャルフと言えば、有名どころじゃないか。
突進を極めに極めたが故の進化。
突進しか攻撃方法がない分、一般の騎士の目にも止まらぬ速さで突進してくるため、威力とともに強力なのだ。
《マスター。油断してないで、来ますよマッハジャルフ》
ゴォン!!
僕が張った結界にぶつかったようだ。
僕には、激しい音だけが聞こけて、姿が全く見えない。
(ちょっと、アカさん。マッハジャルフって早過ぎない?目で捉えることすら出来ないんだけど)
《当たり前です。相手はA−級ですよ。下手したら、国を滅ぼすことの出来るクラスです。》
それから、30分。
僕は必死に結界を作っては、周りのジャルフ達に牽制をいれるという作業を繰り返していた。
(はぁ。全然終わらない。ちょっと覚悟決めるか?)
《マスター?なんのことですか?》
(あれだよ。ちょっと前に実験したあれをやってみようかなって)
そう言って、僕はジャルフの群れを見ながらニヤリと笑った。
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