第11話 結界魔法は実用的!!
次の日。
今日は、神・結界魔法を修行する日だ。
今日も今日とて、1人で裏山に来ている。
結界魔法は、ユニーク魔法なのに、召喚魔法よりも圧倒的に扱いやすい。
この世界での結界は、前世での結界とは意味が異なる。
前世では、結界で首都を守ったり、
しかし、この世界では、結界とは、身を守るための壁のようなものだ。結界の中に魔物を入れて滅したりすることも出来ない。
前世がオールマイティなのに対して、今世は守備力に特化している。
それでも、今世の結界が攻撃に使えないのかと聞かれれば使える。
むしろ、極めて行ったら、今世の方が殺傷力は上だ。
今世の結界魔法の本質は、自由自在な箱型の硬い壁を作り出せることにある。
この箱は、防御魔法という判定なので、裏ステータスの魔力防の値に依存する。
つまり、僕にとっては、決して割れることの無い最凶で、自由自在な箱型の壁が作れると言うことになる。
《では、今日は前回の復習から行きますよ》
(はーい。確か前回は箱の形を針に変えるところだったよね)
そういうと僕は、目の前に透明な立方体を作り出した。
それから、針になるようにイメージすると一瞬で細い針になった。
「よしっ、出来た!!」
《それではその針を目の前の岩にぶつけてください》
僕は、針を真っ直ぐ前に飛ぶように進ませた。
針はゆっくりとだが、前に進み岩の前に到達するとその岩をゆっくりと貫通していった。
これなのだ。この結界魔法は、結界自体がとてつもなく硬いので先っぽを細くしていればあとは押すだけでどんなに硬いものでも、刺さっていく。
「よしっ、大分早くなったね」
《はい。最初の頃と比べれば雲泥の差ですね》
「あははは」
僕は、最初の頃、結界で出来た大量の針を高速で、飛ばすことが出来れば凄い攻撃手段になると思い付き、結界魔法だけを毎日のように修行した。
しかし結果は、いつまで経ってもノロノロと前に進むだけだった。
僕は、一旦早くすることを諦め、別の攻撃手段を考えた。
しかし、高速に飛ばすことを諦めきれず、今も針を工夫したりして毎回数時間は練習しているのだ。
針を飛ばす練習が終わり、次は空間魔法で空間を認識し、敵の場所に正確に結界を発生させ敵を囲む練習だ。
今は、8体同時に囲うことができる。
囲うことは出来るのだが、囲むまでに3秒時間が掛かってしまう。
これは、実践では使えない。
せめて0.5秒以内にしなければ実践で使うことは難しいだろう。
では、僕がなぜ敵を囲む練習をしているのか。
それは、新技を開発するためだ。
裏技とも言っていい。
それはある日のこと。
(ねぇ、アカさん。僕の結界魔法って伸縮したりする時って一瞬で伸びたり縮んだりするけど、これって箱型結界の壁を針っぽくして内側に伸ばすことって出来ないかな?)
《・・・っ!?なるほど。確かに、それは盲点でした。早く飛ばせないのなら、敵を囲んで伸ばしてしまえば勝手に刺さってくれるってことですね!》
(うん、そういうこと!どうだろう?)
《可能か不可能かで言えば可能だと思います。しかし、それをするには何本もの針を同時に形成して伸ばす必要がでてきますね。つまり処理能力が鍵になるということですね》
(あーーー、処理能力か…。でも、これ完成して数百個単位で出来たらヤバくない?名付けて──)
というような会話があったのだ。
僕にとっての貴重な新しい攻撃方法だ。
まず敵を2重の箱に囲い逃げられなくする。
そのあと、内側の箱だけ針に変形させて、中の敵を穴だらけにする。
簡単じゃろう?
ただ、1つ問題があるとすれば、アカさんも言っていたように処理能力だ。
処理能力が、上がれば何十、何百の敵を瞬殺できるような魔法になるのだが…
いかんせん、制御が難しい。
まぁ、ここはおいおい出来てくるだろう。
なんと言っても神気を操作できるようになった天才なのだ!
それはそうと、今日は試したいことがある。
(アカさん、僕の結界に前世の印をつけたら効果ってあるかな?)
《どうなんでしょう?前世の印と言うとどんな感じなのでしょうか》
(うん、今日試そうと思ってるのは、五芒星のセーマンって言うやつだよ。これは、一筆で書くから隙間がなく、妖が入り込めないって意味なんだけど…
これを使うともしかしたら、強度も上がったり、扱いやすくなるかも?って思って)
《なるほど、試しにしてみたらどうですか?》
早速僕は、親指を少し噛みちぎり、血を出した。
前世ではよく自分の血を使って書いたものだ。
目の前に結界を出してっと、これに親指で五芒星を書いていく。
《なんか、不気味ですね…》
(まぁね、これは本来呪術に分類するものだからね。よしっ、書き終えた。じゃあ動かしてみるよ?)
僕は手始めに針を形成するようイメージした。
すると、結界はさっき変形していた速度の何倍も早く、瞬時に針に変形した。
「え!?」
《これは…どういうことなんでしょう?》
次に、僕は大きな岩目掛けて針状の結界を飛ばしてみた。
すると、ボールを投げた時のようなスピードで岩を貫通して、後ろの壁にめり込んでしまった。
(・・・・・・)
《・・・・・・》
・・・え?
この半年間の努力とは一体…
《えーと、マスター?何はともあれ成功みたいですね!》
(う、うん。そうみたいだね)
それから、僕は色々な方法を試した。
どうやら、五芒星を結界に書くと結界の扱いがもの凄くしやすくなるみたいだ。
それに、必ずしも僕の血を使わないといけない訳では無いみたいだ。
ただ、僕の血を使った方が、印効果が高まるという事らしい。
この結果より、通常は火魔法で五芒星の形を作り出し、結界につけるという形にすればかなり扱いやすくなる。
この方法を極めれば、僕の攻撃が防御無効の最強の攻撃になる。
《では、マスター。次回からは毎回結界にはこの模様を書きましょう》
(そうだね。今日はいい発見をしたよ。前世の知識も役に立つもんだね)
さて、明日は空間魔法の練習か…
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