第9話 シスコンお姉ちゃん、大暴走!!
ひぇぇぇぇ
ねえね、こわ。
玉座の間なのに、急に叫び始めた人を殴り飛ばしちゃったよ。
流石は、父の血ってか?
「おい、呪炎だ」
「呪炎が暴れてるぞー!!」
「誰か止めろ、止めてくれー!!」
呪炎って、もしかしてねえねの2つ名!?
怖すぎなんだけど。
姉は、1発じゃ満足しなかったのか、追い打ちをかけるようにアンジュー伯が飛んだ方向に進んで行った。
進むにつれ、姉の体からはドス黒い何かが溢れ出てきた。
(え?なにあれ。ねえねが歩いた傍から床が腐れていってるんだけど…)
《あれは、呪魔法ですね。ユニーク魔法のひとつです。主に、デバフだったり、敵を拘束するのが得意な魔法です》
(え…アカさんってユニーク魔法も分かったりするの?)
《当たり前です!私は、この世界のこと全てを知ってるのですよ!!》
アカさんは、ちょっとむくれたように言った。
僕たちが、話している間にも姉はアンジュー伯に近づいていく。
「おい、おいやめろ。私にこんなことしてタダで済むと思ってるのか!だれか、誰か助けてくれ!そうだ!衛兵、衛兵よ!この不届き者を捕まえろ!!」
アンジュー伯は、まるで子供のように泣きじゃくり周りに助けを求めた。
たが、誰も、衛兵でさえも間に入らない。
みんな、ねえねが怖いのだ。
(分かる、分かるよ。今、ねえねの前に立ったら、冗談じゃなくて本気で殺されそうだもんね…)
その間も、姉はゆっくりと近づいていき、とうとう攻撃範囲内に入った。
その時──
「クロエ、そのぐらいにしておけ。アンジュー卿も失神してるから」
救世主としてお父さん参上だ。
ていうか、もっと早く止めに入ろうよ。
さっきまで、僕の後ろでニヤニヤしてたじゃん。
「パパ?止めるの?あいつは、レンの事をバカにしたの。もし止めるなら、パパだろうと容赦しないよ?」
「いや、それはわかるが… 。お前、レンの前で人を殺す気か?」
「・・・はっ!?確かに!!流石パパ。じゃあ、あいつを見えない所に──」
「ストップ、ストップ。そういう事じゃ無くてな?ここは王に任せて殺すのやめよ?レンも、そんなお姉ちゃん見たくないと思うぞ?今の自分の姿見てみろ」
お父さんの説得が、聞いたのか姉は歩みを止め僕の方を見た。
ニコッ
僕は、意味も分からずとりあえず満点のお子様スマイルを返しておいた。
「分かった。じゃあ私、レンと先に帰ってるから」
「え?この後どう──」
「よろしく、パパ」
何か話しかけていたお父さんの話を途中で遮ると、一瞬で僕の元に来ると、手を差し伸べた。
「じゃあ、レン。帰ろっか!」
「う、うん」
僕は、返事しか返せなかった。
ドンマイ父よ。
後始末は任せた!!
※※※※※※※※
それから、僕と姉は別室で待っていたセルヴァさんと一緒に、家に帰った。
あの後のことは、家に帰ってきた父から聞いたのだが、なんでもアンジュー伯は、
(ふん。ざまぁみろww僕を無能扱いするからそうなるのだ。それにしても、ハロ様が言っていた白髪問題は予想以上だったな)
《はい。この島ではあの程度で済んでいますが、この島を出ると白髪は差別の対象にまでなります。なんでも白髪は邪神の祝福を受けた者という認識があるみたいです》
(え!? 僕、この島から出れるかな?まぁ、どっちにしろ出る予定はないか…。僕は、今から最高な引きこもり生活を謳歌するんだ!!)
次の日、僕達は何も問題など起きること無く、自領にある自宅に向かって王都を出発した。
自領では、領民たちが僕の祝福の儀を祝って1週間のお祭りを開いているみたいだ。
次に王都に来る時は学院に入学する時か……
はぁ、行きたくないなぁ。
いっその事ずっと休学出来ないかな?
《出来ませんよ。なにダメな子になろうとしてるんですか!》
こんな感じで僕の初めての王都旅行は、完結した。
散々な目にもあったが、何とか祝福の儀を終え、ステータスをゲットしたので、明日からバリバリ修行の日々だ。
目指すは、僕が働かなくても良い環境を作ること!!
エイ、エイ、オー!!
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