7.就職
「はぁ……。どうすっかなぁ。魔物狩りはもう一生しないとして……どっか就職できる場所ないかなぁ」
魔物商会をあとにし、レントは重すぎる足取りを動かして、拠点の宿屋に向かっていた。
森での、イラもどき戦での体力の消耗と、魔物商会でのショックで、今にもレントは倒れそうである。
歩くのが体力的につらくなり、デート待ち合わせ場所のような噴水の段差に腰をかけた。膝に布で巻かれたイラもどきの爪を乗せながら……。
「なにこれ……。何この惨めな感じ。全然思ったのと違うんだけど、意味わかんねーんだけど……。」
偶然隣に座っていた、やたらガタイのいいスキンヘッドの中年のおじさんがいたが、レントは全く気にせずブツブツと呟き続ける。
「大体義務教育は?なんでこの世界義務教育ねぇーんだよ。俺頑張ってんじゃん。めっちゃ頑張ってんじゃん。」
隣のガタイのいいおっさんは、そんなレントを見てドン引きだ。
「あのさぁもうさ。よくない?俺報われてよくない?結構頑張ったと思うよ。腕ぶった斬られて、腹ぶった斬られて、おまけに首ちょんぱですよ。」
「えぇぇ………。」
隣のおっさんはレントの呟きを聞いて、思わずドン引いた顔で声まで出してしまう始末だ。
「おい、神よぉっ!!見てんなら救ってくれやぁ!!お願いだからぁ……。」
突然大きな声で空に向かって話すと、おっさんはビクっと体を震わせ、レントを見る。
「聞いてるわけねぇよな。だってこの世界、神空いないんだもんなぁ……。誰かさぁ、もうマジで、ほんともうマジ……。俺、頑張ってんじゃないすかぁぁっ!!」
「うん!君頑張ってる!!頑張ってるよ!頑張ってるからもうそろそろいいんじゃない?」
ついにレントの独り言に耐え切れなくなったおっさんが、レントに喋りかけた。
「うるせぇーんだよおじさん!!いいんじゃないって、何がいいんだぁ?言ってみろぉ。三文字以内に言ってみろぉ!!」
「え、いや、だから……」
急に振られ、戸惑いつつもおっさんは話すが、レントは指をおっさんの胸元に突きつけ、、
「はいアウトぉ!!三文字超えましたぁ〜!!」
「ええっ!!」
全くの理不尽におっさんは絶叫する。
「俺さぁ、頑張ってんだよおじさん。もう超頑張ってんの……。」
「わかるよ。おじさんよくわかる。おじさんも、結構頑張ってきたからね。」
「嘘つけぇっ!!」
もはや情緒が崩壊し、誰にでも喧嘩腰スタイルへと変貌したレントは、スキンヘッドのおっさんの頭をペシペシと叩きながら、、
「このまっさらな頭でどう頑張ってきたんですかぁ?」
「ひっひどい!!髪の毛関係ねぇじゃん。おじさん髪の毛なくても頑張ってんだよ。君まだふさふさじゃん。」
おっさんはもう涙目で、レントのふさっと生えてる短髪を恨めしそう見た。
「うるせぇっ!!俺の人生もおじさんの頭と同じぐらいお先真っ暗なんだよっ!!」
「おっおじさん……まだお先真っ暗じゃないもん。きっといつか生えてくるもん。ぐずっ。」
いつのまにか、おっさんは啜り泣きをしている。
ようやく情緒が戻ってきたレントは、流石にそのおっさんがかわいそうに思えてきて、、
「ごっごめんっておじさん。大丈夫だって、きっと生えてくるよ。ついでに俺の人生もなんか生えてくる。」
「ほっほんとう?生えてくるおじさんの髪?」
「うっうん。生えてくると……思うよ。たぶん……。」
完全に毛根が死滅しているようにしか見えないスキンヘッド。生えてくると希望を促していいものなのか、悩んだ末の曖昧な返答だ。
「つーかなんで俺が慰める側に変わってんだよ。」
「ありがとっ!!おじさんもっと頑張るよ。」
レントに追い詰められ泣いていたはずなのだが、いつのまにかレントがおっさんを慰めていたことになっている。
「は……はは。それはよかった。俺も頑張って見つけます……仕事。」
もうレントは苦笑いだ。
終わらない就活地獄……一生就職できない気がしていた。
しかし、このおっさんを見ているとなんだかできそうな気がする。
おっさんはレントの『仕事』という言葉に反応し、
「君、仕事探してんのか?」
「へっ?まぁ……はい。」
突然おっさんの表情は変わり、先程の情けない顔から、急にできる親方のようなデキる顔に変貌した。
「なら、うちで働くか?こう見えておじさん、社長なんだよ。」
「え……えぇ!!マジすか!!おじさんすごい!!え、いいんですか!!」
レントは圧倒的な手のひら返しで、目の前のおっさんに尊敬の眼差しを向ける。
「いいよいいよ。君には、助けられたからね。きっと生えてくる。」
「え……。あ、はい。生えてくると……思いますよ。たぶん。」
《やはり、社長でもそうゆうことを気にするのか……》なんて思いながら、レントはおっさん……もとい社長に頭を下げた。
「君、名前は?」
「レントっす!!」
「おおっ!じゃあレント、君採用!!」
こうしてレントは奇跡的な出会いから、就職先を手に入れた。
――――――――
翌朝……
レントは悩みの種が消え、快眠だ。
「いやぁ、やっぱ悪いことが起きたこと後は、いい事も起きるんだね……。」
レントはとてもとても、浄化された顔である。
自信に満ち溢れ、にんまりと笑うレントの顔は、心なしか輝いてみえるほどだ。
と、扉がガチャリと開き、可愛らしい少女の声が部屋に響き渡る。
「レントさんっ!朝ごはんできたよっ!」
「ふふっ、おーけー。行くか。」
そんなレントの変わった雰囲気は、トリアにも伝わったようで、、
「ん?レントさん、なんかキラキラしてる?」
「そうだよ。今日の俺は絶好調っ!!」
レントはその腕を広げ、まさに自分の清々しい気持ちを大きくジェスチャーし、アピール。
「あははっ、昨日まであんな落ち込んだ顔してたのに、変なの!」
少女……トリアはたまにこう言った人の気持ちを考えない発言をする。
しかし、今のレントは無敵だ。
「そう。変でも何でもいいんだよ。」
宿屋で朝食を摂った後、部屋の片隅に置いてある布に包まれたイラもどきの爪を優しく撫でてから、澄み渡った清々しい気分で宿屋を出た。
「いやぁ、いいねぇ悩みなく街を歩けるってのは。」
どこに行っても門前払いだった就活……正直いえば、もう諦めようとしていた。別に、真っ当に働かなくても、金を入手する方法はいくらでもある。内心は《もう強盗しちゃおっかな。》《時間止めれば宝石取り放題じゃね?》なんて思っていたくらいだ。
しかし、ついにレントが闇に手を染める前に、仕事を見つけることができた。
実際まだ目標のスタートラインにすら立っていないが、もう満足している。
自分が闇の道に突っ走っていくのを止めてくれた、優しく親切なおっさんに感謝しながら、集合場所である、昨日の噴水に向かった。
「あ、おじさん。」
待ち合わせの噴水につくと、すでに筋肉質なスキンヘッドなおっさんは噴水で待っていて、レントはおっさんに向かって手を振る。
「お、来たか。じゃあ行くぞ。」
「はいっ!」
こちらに気づいたおっさんは余裕そうな顔で笑い、レントを手招いた。昨日の情けない顔を晒していたおっさんとはまるで別人に見える。
おっさんは、レントを職場へ連れて行くために先導し、歩いていった。
「あの、ところでおじさん……。」
「社長と呼べ。ウチで働く以上、俺のことは社長と呼べ。」
「はっはい社長!!」
おっさん……社長の言動や態度は本当に貫禄のある社長のようで、威厳すら感じる。
《昨日のあの情けないおじさんはどこいったんだ?》
昨日の情けないおっさんを知っているだけに、今の威厳ある社長はレントにとって違和感でしかない。
「ところで、社長!!俺が今からやる仕事ってなんなんでしょう?」
「現場を見ればわかる、、」
「へっ……へぇ〜。現場を見ればねぇ……。」
突然決まった就職先……やっと現れたチャンスに飛びついたのはいいが、一体どんな仕事なのか、何もわからない。
基本、兵士や魔物狩りなどの闘う職業でなければ、何でもやる気はあるが、自分がこれからやる仕事なため気になってしまう。
緊張で手のひらを汗でぐしょぐしょにして歩いていると、その緊張は社長に伝わっていたようで、、
「別に緊張する必要はない。少ししか危険はないからな。」
「あんの!?危険!!」
『少ししか危険はない』それはすなわち、『少しだけでも危険がある』とゆうことだ。
少しでも危険がある………この事実だけで、舞いがったレントの気分を叩き落とすのには充分だった。
《絶対嫌だぞ戦いは……!!》
危険という言葉で、戦闘関連の仕事の可能性が一気に駆け上がってくる。
不安で心臓がバクバク鳴り止まず、緊張で頬に汗を流しながら社長についていくと、、
「こっちらへんの方はまだ行ってなかったな……。」
今レントがいる街……バルファルの街はとてもとてもデカい街だ。
数日レントが歩き回ったくらいでは、街全てを巡ることなんてできない。
レントの知ってる範囲はせいぜい三割ほどであり、まだまだ行ったことない知らない場所もたくさんある。
そして今、レントは社長に連れられ、いる場所はまだレントが行ったことのない全く知らない場所だ。
「へぇ、こっちはずいぶんと騒がしいな。繁華街か。」
いろんな酒場や、飯屋、カジノに、いかがわしいお店、などがずらりと立ち並び、いわば子供の来るような場所ではない大人の街である。
「へへっ、こりゃ夜になったらやばそうだな。」
今も人が賑わい、繁華街という感じなのだが、まだ時間帯は昼間。おそらく夜になればもっと賑わうだろう。
「まさか……ここで……!!」
酒場で暴れる者を止める仕事だろうか?そうしたら、確かに多少危険はある。
危険はあるが、今までの危険に比べればどうってこともない。
「いや、こんなところで君みたいな子供を働かせるはずないだろう?現場はもっとこの奥だ。」
レントの推測は全然違ったようだ。
それからずっと歩き、繁華街を抜けて、さらに奥へ。
とうとう地面がレンガ造りではなくなる。
「あ……あれ、街から外れてるんだけど……。」
街から外れ、それでもさらに進んでいき、魔物狩りの可能性がどんどん強くなっていった。
「あ、あの……危険って、何が……」
《やべぇ仕事だったらダッシュで逃げよ。》なんて思いながら、危険の意味を聞くと、社長は指を差した。
「見ろっ。現場に着いたぜ。」
「え?」
社長が指差した先にあったものは、、
「地下……採掘場……?もしかして、鉱夫か!!」
「その通りだ!」
社長の指差す先では、ツルハシを肩に乗せた筋肉質の男達が人工的に掘られた地下へ入っていき、鉱石を積んで地下から出てきている。
「ウチの仕事はな、この地下採掘場からいろんな鉱石を削り取って売る。単純だろ?」
「確かにシンプルだけど……鉱石か……俺全然鉱石とかわからないんだけど……。」
ひとまず、戦闘関連の職業でなかったのは安心なのだが、いかんせんレントには鉱石の知識がない。
ただでさえ元いた世界の鉱石も知らないのに、異世界の鉱石がわかるはずもないのだ。
「ははッ!!大丈夫だ!丁寧に教えてやる!」
緊張で汗を滲ませるレントの肩をドンと叩き、笑って資材の中からツルハシを取り出した。
取り出したツルハシをレントに渡すと、親指で地下採掘場を差し、、
「とりあえずものは試しだ。やるぞ」
「えっ、もうやるんすか!?」
現場に来て早々に、社長は地下採掘場に潜って行った。
いきなりすぎる社長の即効性に動揺し、渡された重いツルハシを両手で持ちながら、慌ててレントは社長についていく。
「すっすげぇ………。人めっちゃいんじゃん……。しかも綺麗……。」
潜った地下採掘場の中は、結構広く多くの鉱夫がツルハシや鉱石を入れるトロッコのような車輪のついた台車を持ち運び行き来していて、規模が大きい。
その上採掘場内には、至る所に輝きを持つ石が埋まっていて、その暗い地下を照らしていた。
赤色、緑色、黄色、いろいろな色の光が辺りに散らばっており、その光景はとても美しいものである。
《鉱夫ってなんか奴隷がやってるイメージあったけど、全然そんなことなかったな……。》
レントのイメージとは違い、鉱夫は皆、やる気のある顔で、清々しい笑顔で笑い、なんとも理想の職業という感じだ。
採掘場内を見渡しながら歩いていると社長がふと、何かに気づき、「ちょっと来い」とレントを呼ぶと、、
「ここ、そのツルハシで削ってみろっ」
「え、削るってどうやって……。」
突然の指示を受けてしまったが、レントはツルハシの持ち方も知らない素人だ。
困惑していると、社長が持ってきていた自分のツルハシをその逞しい上腕の筋肉で振り上げ、
「こうやって、両手でしっかり持って、腰を入れろ。そして、掘る場所を定めて……一直線に削る!!」
社長は言葉通り、腰を入れて振り上げたツルハシを一気に振り下ろし、岩壁にツルハシを叩きつける。
すると、ツルハシに叩かれた岩壁にヒビが入り、周辺がボロボロと崩れていった。
そこには、岩壁とは違う色の黒い鉱石が壁の中に埋もれており、、
「俺達が採掘すんのはこの、暗色石っつう鉱石だ。これを取るために、周りの岩壁を削っていくんだ。見よう見まねでいいから、やってみなっ!!」
「わっ……わかりました。」
渡されたツルハシはズッシリと重く、振り上げるだけでも……
「うぉっと……」
腰に力を入れ、踏ん張ってツルハシを振り下ろした。
すると、運良く先程のひびの入った岩壁に振り下ろしたツルハシが直撃し、ひびが広がっていき、鉱石の周りの岩壁が崩れ落ちていく。
「おおっ!!うまいなっ!」
「いやぁ、たまたまっすよぉ〜。」
社長が崩れかけた岩壁をほじくって、ボロボロと崩していくと、黒い鉱石……埋まっていた暗色石があらわになった。
「よし、あとはこの鉱石を削り取ればいい。やってみな」
「わかりましたっ!!」
レントは先程やった通りにツルハシを振るうが、全然違う方向にツルハシをぶつけてしまう。
狙いを思いっきり外してしまった恥ずかしさで、顔を赤くする。
「たぶんあれだな。狙いがちゃんと定まってないんだ。当てる場所の狙いを定めてから、削るんだ。」
社長はそうゆうと、ツルハシを振るい暗色石の鉱石へ的確に直撃させた。
「なるほど……。」
社長は削られた落ちた暗色石を拾い、、
「もう一度やってみろ。」
「はいっ!!」
といっても、レントの力では振り上げた時にツルハシが重すぎて、狙いがぶれてしまう。
それに気づいた社長は、あるものを取りに行って、レントに渡した。
「あっあのぉ〜これは……。」
「小さい分軽いだろ?これなら、レント、お前でもいけるはずだ!!」
渡されたものは、小さいツルハシ……確かに軽いが、こじんまりとしている。
確かにしっかりとツルハシなのだが、どこか子供のおもちゃに見えなくもない。
それゆえに、
「あっあのぉ〜、軽いんですけど、これちょっと恥ずかしいってゆうか……」
子供用のツルハシを持つレント……心なしか、周りの鉱夫達の子供を見るような暖かい視線を感じる。
「だがなぁ、それ以外だと全部重いからな。」
恥ずかしい……とても恥ずかしいが、そんなことを言っている場合ではない。
稼がなくてはならないのだ。
「だ……大丈夫です。やります!!」
レントは恥をくしゃくしゃに丸めぶん投げ、子供用のツルハシを堂々と持って暗色石の鉱石を削り始めた。
一通り暗色石を削り取ると、、
「じゃあ削り取った暗色石をこの中に入れといてくれ。これで一連の作業は終わり。どうだ簡単だろ?」
「まぁ確かにシンプルっちゃシンプルっすね……。」
社長の言う通り作業としては簡単であり、覚えやすい。
人生初めての仕事で身構えていた割には、簡単なことで少し拍子抜けではある。
「ただ、採掘すんのは暗色石だけじゃない。こっちに来てくれ」
社長が案内する方向に向かうと、掘り出された鉱石がぎっしりと積んである台車がずらりと並んでいた。
そこに積まれているのは、黒い暗色石だけではなく……
「これが、俺達が採掘する鉱石だ。」
「うわっ。めっちゃある。」
多くの種類の鉱物が分けられ並んでいる。
「あの、この種類の鉱石全部……もしかしなくても覚えなきゃいけないんですよね……。」
「そうなるなっ!」
単純作業で、簡単な仕事だと思っていたが訂正だ。
《めんどくせぇぇ》
やはり楽な仕事などない。
「じゃあ、教えていくぞ。まずは、石炭だ。石炭は比較的簡単に採れる。で、次は銀。銀貨の元となる鉱物だ。そして金鉱石……これは見つけるのが難しい鉱石でな、レントにはまだ早い。」
社長は、実際にその鉱石を見せて、わかりやすく丁寧に説明する。
「で、さっき見つけた暗色石だな。そしてこれ、翠結晶。あとは、鉱物じゃなくて、岩石そのものだな。大理石に、石灰岩、石灰岩はガラスの素材になるんだ。」
その後も社長の説明を聞い続け、、
「まぁ、こんなもんだ!!今言ったのを採掘して、そこのスペースに運ぶ。簡単だっ!!」
社長の話を聞き終わったレントは、目を回しすでに脳の情報処理が追いついていない。
《多すぎだろっ!!》
覚えなければならない鉱石や岩石の種類がとてつもなく多いのだ。数十種類はある。
《いや、でもまぁわかんなかったら聞けばいいか……》
「一日働けば、その日のうちにその分の報酬はしっかりと払うぞ!!」
「へぇ。日給制なんですね。」
レントのイメージでは、大体仕事は月給制だと思っていたが……
「まぁでもそっちの方が都合いいか。」
今すぐ金が欲しいレントにとっては、月給よりその日に渡された方が都合がいいのだ。
「あの、休みの日とかいつあるんですか?」
いきなりの質問で休みの日を聞くのは、少し失礼な気もするが、この職場の仕事体制についてもっと詳しくなければいけない。
「休みか……明確にはないな。とゆうよりも、いつ働いても休んでもいいぞ。働きたい時に俺に報告すればそれでいい。」
「えっ……それって日雇い的な……。」
日雇い労働……元いた世界でもあった。
レントはまだ働いたことはないが、親を亡くした時に働くことも考えていたため、仕組みについては知っている。
しかしそれは、
「バイトみたいな扱いなんだ……。鉱夫って。」
とはいえ、金を稼げることに支障はない。
「ありがとうございます!!じゃあさっそくはじめまーす。」
レントが子供用ツルハシを堂々と肩に乗せ、採掘に向かおうとすると、「ちょっと待って」と社長はレントを止めた。
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