恭平ハーレム①
その日俺はまた気まぐれを起こした。放課後ぶらりと体育館に足を運んだのだ。
俺は複数の部活に関わっているし、何より多動症かと思われるくらい落ち着きがなかったからどこにいても不思議がられなかった。多分。
体育館ではテニス部がショートテニスをしていた。スポンジボールを使ってする室内競技だ。
しかしショートテニスも老若男女を問わず人気のある競技となっている。ある程度本気でやらないと簡単には勝てない。
だからか練習は、割りにハードに見えた。
戦力の中心は二年生らしかった。三年生は二人いただけだ。
そこに
女子が先輩も含めて熱い視線を送っている。
ちなみにショートテニスは混合ダブルスが主体らしい。
端のコートでは一年生だけで試合形式の練習していた。人数だけは二年生に負けないくらいいる。
その中で目立つ女子がいた。
ルックスだけでも抜群なのに村椿さんの動きは予想以上だった。
動きが俊敏で後衛にいる時はどんな球も拾い、前衛ではまさかと思うくらいブロックやスマッシュを見せた。
しかも相方をうまく使っている。いや、相方は走らされていた。
「バテるの早いよ、
相方は
村椿さんの期待に応えるだけの動きをしていたと俺には見えたが彼女にとってはまだまだのようだ。
スポーツをしている時の村椿さんは
日暮が座りこんだ。「動けねえ」
「情けないわね、全く」村椿さんが日暮を見下ろす。
腕組みをして少し足を開いて立つ姿はさながら悪役令嬢のようだ。
こんなキャラだったのかと俺は改めて知ることとなった。
これで勉強もできたら俺たちS組もヤバいぞ。
高等部新入生にはまだまだ逸材がいそうだったが村椿さんは抜きん出ていると俺は思った。
その村椿さんが今度は恭平とペアを組んで二年生の主力ペアと実戦形式の練習試合を始めた。
どちらが主力かと思うくらい恭平と村椿さんのペアは二年生ペアを圧倒した。
攻撃はほとんど村椿さんだ。恭平はセーブして村椿さんのサポート役に回っていた。
凄すぎる。
村椿さんも楽しそうだ。勝った後の笑顔、恭平を見上げる目が、昔の明音が恭平を見る時の目にそっくりだった。
ここにも恭平に恋い焦がれる純情な乙女がいる、と俺は思った。
恭平は他の部活でも同じような女子を作っているのではないか。
新たに高等部新入生が入って恭平のハーレムはさらに拡大したようだ。
俺は羨ましい反面、憎らしさも覚えた。
俺は体育館を後にした。
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