ガルくんとふしぎなはこ2

 泣くのをやめたガルくんは、おうちの外にある、ゆうびんポストを見にいきます。


 だれもガルくんのおうちを知らないので、1回も手紙がきたことはありません。

 でもだれかが、手紙をくれるかもしれない。

 手紙が来て、気づかないのはいやだったので、まい朝ガルくんは、ゆうびんポストがからっぽなことをかくにんするのです。


 ガチャ。

「わっ!」

 いつもとおなじように、ゆうびんポストをあけたガルくんはびっくり!

 そこには手紙と、木でできた、小さなはこがありました。


「手紙だ!」

 とびあがってガルくんはよろこびました。

 ちからがつよすぎて、手紙はガルくんの手の中でぐちゃぐちゃになってしまいます。


 あわてて手でしわをのばし、ふうとうをひらきました。

『こわしてもいいので、このはこをあけてください』


「そんなこと、かんたんだい」

 おうちの中にはいり、ガルくんははこをあけようとします。


 がんがんがんがん。


「ふぐぐぐぐ、なんだこのはこは?」

 ちからがつよいガルくんが、おしてもひっぱっても、ふたはひらきません。


 なんどもなんどもあけようとしますが、ピクリともしません。

「あかないなあ」

 ポイッ!

 ガルくんは、はこをなげてしまいました。


 ほかのものなら、こわれてしまいますが、このはこはちがいます。

 ガルくんがひろいあげると、少しだけふたがひらいています。


「よし、このちょうしであけてやるぞ」

 ガルくんは、はこをもってそとに出ました。


 ぽーん!ことん。

 ぽーん!ことん。

 なげては、じめんにおちるはこ。


 少しずつ、ふたがひらいています。

「えーいっ!」

 ガルくんは、おそらにむかって、ちからいっぱいなげました。


 がさがさがさ!

 くるくるくるくる!

 ちからがつよいガルくんがなげたはこは、木にぶつかりながらとんでいき、小さくなって見えなくなりました。

「しまった!」


 ガルくんは、じっとおそらを見ます。

 おちてきません。


 じめんにすわって、おそらを見ます。

 おちてきません。


 よるになっても、おちてきません。


 ねて、おきても、おちてきません。

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