ガルくんとふしぎなはこ

獅子倉八鹿

ガルくんとふしぎなはこ

 おとなのしらないところに、どうぶつたちが住んでいる町がありました。


 そんな町のふかいふかい森の中に、ガルくんは住んでいます。


 ほかのみんなは、お日さまのあたるばしょや、川のとなりに住んでいます。

 いっしょにかけっこをしたり、ごはんをたべたり、楽しそうにすごしています。


 でもガルくんは、だれもこない、くらいくらい森の中。


 ガルくんは、まどにうつったじぶんを見てみます。


 とがったお耳に、ギザギザととがった

 おこったような目に、おおきな体。


「こんなおそろしいすがた、ぼくも見たくないやい!」

 おこったガルくんは、まどをぱりん。

「いたいいたい!」


 ガルくんは1人泣いてしまいました。


 ガルくんはおそろしいすがたをしています。

 さらに、ほかのどうぶつたちより、ちからがつよいのです。


 町に住みはじめたガルくんのおうちは、さいしょは町のまんなかにありました。


 どんなどうぶつが住むのかきになったどうぶつたちが、ガルくんとパーティをしようとしたこともあります。


 かっこいいすがたをみせよう!

 はりきったガルくんですが、だいしっぱい。


 ぐにゃぐにゃ!

 ばきばきばき!

 ぐちゃぐちゃぐちゃ!


 ケーキを食べようとにぎったフォークはまがってしまい、つくえはまっぷたつ。

 おいしそうなケーキはぐちゃぐちゃになってしまいました。


「せっかくじゅんびしたのに!」

「こわいかおのらんぼうものなんて、おことわりだ!」

 でていけ!でていけ!でていけ!


 わざとじゃないよ。ごめんなさい。

 あやまることもできず、ガルくんはにげました。


 こっそり森の中におうちをたてて、住むようになりました。

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