箱の数が分からない猫みたいな私。
kie♪
箱の数が分からない猫みたいな私。
私は数学がとても苦手な子供だった。中学生を卒業するまではそんなに数学が苦手という自覚は無かったけど、図形の問題だけがイマイチ理解出来なかった。空間把握能力が低いのか立体のイメージが出来ないので、サイコロの向かい合う面の和が7になるという理屈は分かっていてもそれを展開図に落とし込めない。何故か図に表すことが出来ないのだ。そのため技術の授業だったかでキャビネット図を書く機会があったときには大工だった大伯父に泣きついたこともあったくらいだ。
特に苦労したのは積み木の数が幾つか数える幼児向けのクイズ。中学受験をした際、よく目にした問題だがパッと見では全くと言って良いほど分からなかった。単純に中学生であるはずの自分の理解度が幼児以下だと知らされるだけだ。この手の問題は未だにやわらかあたま塾とかレイトン教授シリーズで出てきても未だにヒントとたっぷりの時間が無ければ解けないだろう。
実際に私は普通の人より空間把握能力が低いと認識して生きてはいるが、最近はスマホのマップで迷子になりにくくなっているし京都市内なら車が運転出来なくても地下鉄や市バスなどの交通網が発展しているのでさほど困ることはない。寧ろ細い路地が多いので歩いた方が便利なくらいだ。案外文明の利器に頼れば何とかなる。ただ階段を降りるのは苦手だ。普段使う駅など慣れていない場所だと段差の感覚が分からなくて小さい頃に転げ落ちたのがトラウマになっているからか、素早く降りられない。そういえば中学生くらいまでエスカレーターの下りもなかなか上手く乗れずに弟に手を引いてもらって一緒に乗る恥ずかしいお姉ちゃんでいた。そしてよく物にぶつかる。そんな私を見て母は
「何か猫みたい」
と笑う。猫はとにかく自分が箱に入りたいと思えば自分の身体の幅なんか考えずに突っ込む。そして見事にハマる。暫くむぎゅむぎゅして何とか抜ける。私もその姿に似ているらしい。まあ、さすがに箱に向かってまっしぐらはしないけど空間把握能力が鈍いのはたしかに似ているかもしれない。
空間把握能力が大人になってからも養えるかは分からないけど、さほど生活に影響が無いから当分積まれた箱の数が正確に数えられなくても猫みたいだと笑われても良いや。
箱の数が分からない猫みたいな私。 kie♪ @love_tea_violin
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます