第5話
アリカが体調を崩したと、わたしはミュアルトゥファからの電話で知った。
『なんだか、様子が変です』
昼食の後にアリカの番号からかかってきた電話に、またかとうんざりしつつ出たら、開口一番にミュアルトゥファがそう言ったのだ。
ミュアルトゥファは電話のかけ方を覚えたのだなと思う。タブレットを使いこなしていたのだから、そのぐらいはお茶の子さいさいか。まさか、コミュニケーターを使ってプッシュ音を再現したわけじゃないだろう。
『発熱していて辛そうなんです。あの、どうすればいいんでしょうか』
訊ねるミュアルトゥファの声からはわずかながら不安を感じられた。この女が未知の病原菌を伝播したのではないか、と直球で疑念をぶつける気にはなれなかった。ただ、確認しないわけにもいかないので、ボール球を振らせに行く。高校野球を観ていたら、物事を野球にたとえるのがマイブームになってしまった。
「というか、ミュアルトゥファは大丈夫なの。地球の感染症が宇宙人にどう作用するか分からないでしょう」
なんといっても、とあるSF小説の火星人は地球の微生物に倒されたのだ。
『それは大丈夫です。遮蔽は行ってますから。呼気も含めてフィルターをかけてありますから。わたしが感染することも、アリカさんがに感染させることもありません。血液感染でもしない限りは』
ひとまずはセーフだ。未曾有のパンデミックが世界を滅ぼすことにはならずに済んだ。
となれば、アリカの不調は地球由来の疾患によるものだろう。
「咳とか、鼻水とか、頭が痛いとか、目が痛いとか、そういう症状は?」
「発熱が認められます。他覚的な感冒症状は、ほかになにも。……目、ですか?」
「うん、そう。地球の夏風邪は目の痛みが出ることが多いから」
いわゆるプール熱というやつだ。アリカは苦しいだろうが、結膜炎の症状が出ているならむしろ安心材料になる。
電話口で、何かを話すミュアルトゥファの声が聞こえる。アリカに問診しているのだろう。
「目の痛みもないそうです。そもそも、風邪じゃなくて単純に疲れただけだと」
「疲労ねえ。徹夜とかしていたわけじゃないでしょ」
「そうですね。今朝も起床時は変わりなさそうでしたし。ただ、急に症状が出たのが気になって」
「急に?」
「はい。一時間ほど前、買い出しに出かけるといって部屋を出たんですが。帰ってきた時には肩で息をするような状態で、糸が切れたように布団に倒れこんで」
それを先に言えよ、と喉元まででかかった言葉をぐっと飲み込む。急性の症状か。季節はずれのインフルエンザだったら厄介だ。
「今にも死にそうに見える?」
「緊急を要する、という状態には見えません。ただ、放っておいていいと判断していいかは」
わたしの悪意ある諧謔を受け流したのか解さなかったのか、ミュアルトゥファは淡々と答えた。
「分かった。とにかく、そっち行くから」
お母さんにお金を借りていくか少し考えてから、後回しにすることにした。病院に行くにしても、わたしが担いで歩くわけにはいかないだろうから。
アリカはひっくり返って、というよりヒキガエルのように、細長い手足をひん曲げてうつぶせで眠っていた。ここまで不細工な寝方をする人間ははじめて見た。
とは言え、うんうんうなされて、端々に汗のしずくが浮いている。軽い風邪では済みそうにない。
「スーパースーツで熱測ったりした?」
アリカの首筋をしぼったタオルで拭っていたミュアルトゥファは、わたしの問いにかぶりを振る。
「さすがにそういう機能までは。直接触ってそうと分かるぐらいの熱発ですが」
「火星人と体温が同じ前提でね」
「こんな時に聞きますか」
さすがに少し呆れたトーンだ。コミュニケーターは感情表現も拾って翻訳するらしい。
「幸い、死病みたいなものはこの国ではそうそうかからない。みんな老衰で死ぬ」
「あなたも少し人間性に問題がありますね」
そこまで直裁的に言われると、自覚があっても落ち込む。
引き出しにしまってあった体温計で検温する。三十八度。ううむ、かなり悩ましい。
「放っておいても死にはしないだろうけれど、病院にかからないわけにもいかないな」
「この消耗では、あまり動かさない方がいいのでは」
ミュアルトゥファが言う。
「熱中症だったらことだし。いいよ。わたしの母を呼んで、車で連れて行くから」
「分かりました。じゃあわたしはお風呂場にでも隠れていますね」
一瞬言葉に詰まったが、しかしミュアルトゥファは正しい。見つかっては面倒だ。さりとて遮蔽魔法を使ってエーテルを無駄遣いにもできない。お湯のない湯船の中で頭を抱えて隠れている宇宙人というのは、間抜けな構図ではあるけれど。
「まあ、それはそれとして」
ショートメールで母に連絡。仕度をしたらこちらへ向かうと返信をもらったので、待っている間にすべきことをしよう。
まずは水分補給だ。脱水症状がはじまっているかもしれない。
「買い出しに行ってきたんだっけ?」
もし道中で具合が悪くなっていたのなら、スポーツドリンクを買っているかもしれない。
「一応、分かる範囲でしまいはしたんですが」
「飲み物はあった?」
「飲料水の類は冷蔵庫に。ただ……」
歯切れが悪い。冷蔵庫を開けたら、その理由がすぐに分かった。
調整豆乳。ミルクティー。アサイージュース。甘酒。赤マムシドリンク。
「ひでえな」
普段ならともかく、体調不良で飲むようなものじゃない。こんなことならコンビニに寄ってくればよかった。
今から買いに行こうかとも思うが、母と入れ違いになると厄介だ。水道水も飲めなくはないだろう。ただ、工夫はしたい。
「経口補水液って、どういう濃度だったっけ」
わたしのつぶやきに、ミュアルトゥファはタブレット端末を素早く操作し検索をしてくれた。
「水一リットルに塩小さじ二分の一、砂糖が大さじ二と小さじ一。クエン酸を加えるとなおよし、だそうです。……大さじ小さじとは?」
「なんでそういう語彙は辞書登録されてないんだ、コミュニケーター」
「その、大きいスプーン小さいスプーンと翻訳されてしまって、ちょっと理解が」
どれだけ技術が進歩しようとも、肝心なところで柔軟性に欠けるというか。確かに、地球人も火星人も一緒なのかもしれないと思える。
作り方は分かったので手早く作る。冷蔵庫にしまってあった湯冷ましの水にお湯を少し足し、砂糖と塩とをよく溶けるようにかき混ぜる。戸棚にあったクエン酸も、目分量で。
似たようなことを火星ソーダ作りで散々やってきたことを思い、少し笑う。
役には立ったけれど、こんな急場しのぎの液体を作るより、市販のものの方がよっぽど出来がいい。大いなる無駄な技術だ。
「ほれ。目覚ませ」
気を失っていたアリカの頬をぺちぺちと叩く。
「うう」
顔を上げたアリカを見て、わたしはうめきそうになるのをどうにかこらえた。もともとの色素が薄いのに、血の気が失せて、肌の向こうが透けて見えそうなくらい真っ白だ。返答にも力がない。前後不覚に陥っているかもしれない。見積もりよりも重症か、これは。
「とりあえず水飲みな。ぬるいからお腹は壊さないと思う。味の保証はしないけど」
なにせ、味見をしていない。既製品のような味わいは期待しないでほしい。
「……砂糖と塩と水の味がする」
コップになみなみ注いだ補水液をなめるようにして口に含んだアリカは、先ほどよりいくらかはっきりとした声でそう言った。
大正解だ、アリカ。脳はやられていないようだ。
「アリカ。しんどそうだし病院行こう。保険証どこ」
「今日、土曜……」
「土曜診療やってる病院もあるでしょ。最悪救急でも」
「疲れただけ。寝てれば、直るよ」
アリカはそう言うと、ゆっくりと、しかし一続きにコップの水を飲み干した。
夏休みを満喫しておいて、過労もなにもない。よほどの重労働でもなければ一日でこうも様変わりしないだろう。
「うちのお母さんに車出してもらうから」
わたしの言葉に、アリカはあうあう、とうめくだけ。
「葛葉さん。アパートの前に青い自動車が停車しましたが」
窓の外を覗いていたミュアルトゥファがわたしにそう告げた。母が到着したらしい。
「よし、ゴー」
「了解です」
言うやいなや、ミュアルトゥファはばたばたと風呂場へ駆け込んでいった。
病院での診断は、意外や意外、過労だった。ここ数日アリカの部屋に入り浸っていたが、倒れるようなハードワークをした覚えはない。わたしが家に帰った後も寝ずに研究していたのだろうか。
点滴を打ってしばらく休んだら、大分回復したようだった。
「一晩うちで預かろうか」
それでも足取りがおぼつかないアリカに、我が母はそう言った。わたしだったら言えただろうか。なんとなく、そのまま家に帰してしまうかもしれない。
「いや、それは……」
アリカは言いよどんだ。そうだ。部屋にはミュアルトゥファがいる。コンビニに買い出しに出かけるのとはわけが違う。一晩中、風呂場の中でかくれんぼというのも酷だろう。
「大丈夫です。部屋に帰ります」
「でも」
「わたしが泊まるよ」
「ええ?」
わたしの提案に、母は難色を示した。ここで折れるわけにはいかない。
「風邪じゃないっていうなら別に近くにいても平気でしょ。看病ぐらいするって」
「お泊まり会じゃないんだよ」
「遊び気分じゃない」
正確には、緊急事態に少し舞い上がっているけれど、それはそれ。
「言ってもきかないね」
「そりゃあ、もう」
「……もし、何かあったら電話して」
我が親ながら、善人だなと思う。こういう振る舞いは、大人になれば身につくものなのだろうか。まるで自信がない。
母にアパートまで送り届けてもらい、階段を落ちないように支えながら上る。部屋に戻り、のろのろとパジャマに着替えたアリカは、そのまま、こてっ、と横になってしまった。
すぐに規則正しい寝息を立て始める。肩の荷が下りた。大きく息を吐く。
「ミュアルトゥファ、待機任務ご苦労さん」
声をかけると、ミュアルトゥファは脱衣場から顔を覗かせた。
「おつかれさまです」
「ごめんね、待たせて」
「いえ。タブレットで映画を観ていたらあっという間でした。『オデッセイ』、面白いですね」
火星でジャガイモを栽培する映画に高評価のミュアルトゥファ。ただ、少し眠たそうな顔をしていた。
「どうもこうも。喉も荒れてないし肺の雑音も聞こえないから、風邪じゃないって。インフルエンザの検査もしたけど違った。気力体力を振り絞った後みたいだね、って」
「地球の医療はデータで判断しないんですか」
ミュアルトゥファは信じられないといった口ぶりだ。できなくはないだろうが、伝統的に風邪が疑われたら問診だ。火星では体調を崩すたび、全身を機械でくまなくチェックするのだろうか。
「まあ、後は寝かせておけば大丈夫。片付けはわたしがやるから、ミュアルトゥファは休んでて」
そう言ってわたしは流しに向かうが、ミュアルトゥファは先んじてシンクの前に立った。
「食器はわたしが洗いますので」
くたびれたスポンジを拾い上げ、自信満々に言う。
「……やり方分かる?」
「こすって、流すんですよね」
翻訳がなんだか意味深に聞こえる。おおむね間違っちゃいないが。
「じゃあ、よろしく」
食器洗いはミュアルトゥファに任せて、わたしは戸棚の整理にうつる。ミュアルトゥファがつめこんだのだろうが、しっちゃかめっちゃかだ。未知に対して、どれだけ文明が進歩しようと人間は大雑把に対応するようだ。
背中合わせで、しばし無言のまま、作業をする。
「お風呂って入らないんだよね」
沈黙に耐えかねたわけではないけれど、なんとなしに訊く。
「ええ。スーツが老廃物を吸収して循環しますから」
「排泄物も?」
そういえば、ミュアルトゥファが花摘みに立つのを見たことがない。目が合って、彼女はにっこりと笑った。笑うということは、火星でもデリケートな話題のようだ。
「すごいスーツだね。家とか要らないんじゃない」
「家に住むのは必要かどうかではなく、いかに充足するか、では?」
おお、ちょっと価値観の違いを感じる。異文化交流をしている気分だ。
「やむにやまれず露天をねぐらにする人はごまんといる」
食器を扱うがちゃがちゃという音が止まった。
「……もしかして、この狭い居住空間も、嗜好ではなく?」
「この国は、土地がべらぼうに高いんだ」
「なかなか、衝撃的な事実です……」
これに関しては外国人にウサギ小屋と揶揄されるぐらいだから、そこまでショックは感じないが。
「この部屋ではじめていただいたあの料理も、妥協の産物だったんですか」
「いいや、あれはアリカの趣味。食材は安いけど、味つけにはこだわるから」
アリカの料理はおいしい。少ない食材でまとめるのが得意だ。ただ、ミュアルトゥファが気に入った料理は、裏技みたいな化学調味料の炒め物だけれど。
「よかった。おいしいものを食べてこそ、ですから」
なんでもない言葉だ。けれど、なんとなく上から物を言っているように聞こえた。
「火星人からは、野蛮人の生活に見える?」
今度こそ、彼女は蛇口を締めてわたしに向き直った。
「葛葉さんは、わたしに対して決して好意的ではないですね」
安い挑発に引っかかってくれた。いや、これを機会に腹を割って話すつもりか。どちらでもよかった。
「ミュアルトゥファ。あなた一体何者なの」
我ながら、いかにも悪役めいた口ぶりだなと自嘲する。彼女が主人公なら、わたしは頭の固い、いやな女だ。
「お芝居みたいな出来事なんてこの世の中にないって思っている。でも、偶然に偶然が重なっていくことのほうが、数学的に、ありえない。どういうつもりなの。あなた」
でも、言わずにはいられない。アリカがお気楽極楽にやるのなら、バランスを取っておかなければ。
「と、言われましても……。わたしが火星人であることと、アリカさんが火星に偏愛を抱いていることとは、関係がありませんよ」
「アリカが火星ソーダの研究をしていることを知って、ぶち壊しにきたんじゃないの」
「あなたの世界はアリカさんを中心に回っているんですね」
言わんとするところを考え、理解し、わたしは鼻で笑う。
「チープなたとえ。世界を宇宙にたとえる人間って底が浅いと思うな」
「身近なものになぞらえるのは、地球でも同じだと思いますが」
これはあからさまに揶揄だ。背伸びをしてやっと宇宙の端に手が触れる程度の、地球人への嘲り。
「わたしの素性を疑っている以上、葛葉さん、あなたはあなたにとって都合のいい答えでない限り、わたしの言葉に納得をすることはないでしょう」
「事情を洗いざらい説明できないのを棚に上げて、言うよね」
「たとえば。隕石衝突に見せかけて地球に降りた火星の工作員がわたしで、監視対象が清津アリカ。彼女は火星の廃帝の一人娘。そうだとしたら、満足しますか」
「しないよ」
「でしたら」
「満足するには、あんたを殺さないことには」
わたしは戸棚の引き出しから取り出したアイスピックを胸の前で構えてみせた。
「……一つ教えてさしあげましょうか。火星では、殺人は極刑です」
火星人も身の危険を感じたら血の気が引いた顔をするのだなと思う。
「地球ではね、戸籍のない人間を殺したって殺人にはならないの。だって人の数に入らないもの」
「困ったな」
ミュアルトゥファは言う。
「包み隠さず全てをお話ししたかのような作り話と、伝えられる範囲で誠実な情報、どちらがお好みですか」
「後者」
即答する。一切信用はできないが、情報量が少なければ誤魔化しもしづらい。
「分かりました」
ミュアルトゥファは一瞬瞑目し、それから言った。
「わたしは観光ではなく、地球に来た明確な目的があります」
それはそうだろう。地球と火星には国交は樹立していない。彼女は単なる密航者だ。
「ですがそれにはアリカさんは関係していません。そもそも、わたしだってアリカさんが何者なのか、見極められていないんです」
「アリカが、宇宙人だと、思う?」
これは自分自身への質問でもあると、わたしは理解している。
「……あなたにとって、火星人の存在を信じるぐらいには、困難な想定ではあります」
わたしは思わず吹き出してしまい、それを見てミュアルトゥファもまた、笑ったようだった。
「それがわたしをごまかす方便ではないと証明する根拠があると嬉しいけど」
「葛葉さん。そんなものがあったら、わたしたちはこんな剣呑な会話をする必要はなかったでしょう」
「そこをなんとか」
「ない袖は振れません」
「……それ、プリセットだったの?」
「いいえ。『暴れん坊将軍』で覚えました」
「火星映画を観てたんじゃなかったんかい」
「気分転換にと思って選んだら、面白くて。……でも、そうですね」
唇を指先でなぞりながら、ミュアルトゥファは思案する。
「仮にわたしがアリカさんが目的で接触したなら、葛葉さんとは絶対出会わないように細心の注意を払っていたはずです」
なるほど。アリカにコンタクトが取りたければ、一対一が望ましい。わたしというお邪魔虫を、万が一にも輪の中には入れようとしないだろう。
ああ、うさんくさい女。心底安心した。
「ミュアルトゥファ。あなたが善人じゃないって分かって、ほっとしてる」
「不思議なことを言うんですね」
口を尖らせているが、ミュアルトゥファは笑いをこらえ切れていなかった。
「ねえ、コンビニ行かない? いい加減、病人が寝てる近くでだらだら話してるのもなんだし」
「どうでしょう。深夜でも、人目はありますよね」
「公園で自転車の練習してた人が言う?」
「市街地に出たらカメラに写ることもあるでしょう。記録に残るのは、ちょっと」
「なんのための魔法だ。冷蔵庫にアリカの飲みさしがあるでしょ」
あるものは使わなければもったいない。この国の精神文化を覚えてもらおうと、わたしは冷蔵庫を開けた。
「……あれ? 減ってる?」
密閉容器のエーテルが、最後に見た時に比べて目減りしている。黙ってまた飲んだのか、アリカ。意地汚いやつだ。
「いつの間に。わたしも気付きませんでした」
ミュアルトゥファの声には戸惑いの色があった。これは芝居ではないだろう。ミュアルトゥファにも内緒で飲んだのか、アリカ。ますます卑しいやつだ。
「もともとあなたのものなんだし、無駄に飲まれる前に使っちゃえば」
わたしの言葉に少し考える素振りを見せて、
「……そうですね。ちょっとぐらい、文化交流をしてみたいです」
ミュアルトゥファは頷いた。
わたしたちは深夜営業のコンビニで立ち読みをし、アイスを買い、駐車場の前でしゃがんで食べた。レジ袋の中にはリンゴが入っている。ウサギを作ってアリカに食べさせよう、月ならぬ火星のウサギだ、とわたしが言ったのにミュアルトゥファはきょとんとした顔をした。わたしは、古来人々が月のクレーターをウサギやカニに見立てた話を、実物を眺めながらしようと思って天を仰いだ。新月だったので、がっくりとうなだれる。
きっとコンビニの店員には、田舎の頭の悪い、そしてかわいい女子高生二人に見えていたことだろう。
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