第26話 嘘も方便、立場が入れ替わったでチュウ~。
俯く素振りを不思議そうに見つめ、制約という意味深な内容に耳を傾ける
すると――、これに痺れを切らせたのか、
「――何だよ制約って、もったいぶらず早く言えよ!」
「ちゅぅ、いいのですか? お話しても」
「とにかく、事情を聞かねー事には、何も始まらないだろ」
「ちゅぅ、そうですね。では要点だけをかいつまんで、ご説明したいと思います」
「ちゅぅ、先ほど申しました制約。これには、天界で定められた規則というものがあって、秘密を洩らした者には容赦なく罰を下す。対象者には、こうした処分が課せられています」
「ばっ、罰?」
「ちゅぅ。といっても、肉体に苦痛を与えるような体罰ではありません。ただ…………」
「たっ、ただ、何だよ?」
「ちゅぅ。それよりも先ず、なぜ僕が他言無用と念を押していたのか? この意味をもう一度、思い出してもらえませんか」
「意味? 確か……お前が危険に遭わないよう、意図的に計画されていた。そんな内容だったと思うが?」
「ちゅぅ、その通りです。つまり二人の秘密がバレてしまえば、少なからず僕の身も危険に晒されてしまう。そうならないための、制約ということですね」
これに思わず生唾を飲み込む
「ちょっ、ちょっと待ってくれよ! そんな話、俺は何も聞いていないぞ」
「ちゅぅ、当然です。他言無用といえば、普通は誰にも言わないでしょう。しかし、父さんはあっさりと話してしまった。なので、残念ですが処罰は仕方ありません」
「しっ、仕方がない? ――とっ、とにかくだな、俺に課せられた罰って、一体なんなんだ?」
「ちゅぅ、それはですね。一人に秘密を漏らすごとに、一年の寿命を失うことになる。加えて、僕に対する暴言も減点。よって、マイナスが一定値を達した時点で、もう一年追加となります」
この説明に思わず唖然とする
「寿命を失うだって? そんな馬鹿な話があるか! っていうか、学校じゃあるまいし、減点って何様のつもりだよ!」
「ちゅぅ? 今のは、僕に対しての暴言ですか?」
「あっ、いや……これは暴言じゃなくて。天界にも素晴らしいシステムがあるんだなぁーと、感心していたんだよ。はは……ははは……」
「ちゅぅ、まあいいでしょう。最初に説明しなかった僕も悪いので、今の言葉もなかったことにします」
乾いた笑いで状況を誤魔化し、何とかその場を取り繕うことに成功する
「んっ? いま……言葉もって、言わなかったか? それって、つまり……」
「ちゅぅ、お察しの通りです。今回ばかりは目をつぶり、天界には報告いたしません。なので、寿命を奪うことは無効とします」
「ほっ、本当か!」
「ちゅぅ。但し、1つだけ条件があります。加えて、これについての余計な詮索はしない。これが僕からの提案すべき決定事項です」
安堵の表情を浮かべる
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