第21話 あなた頭は大丈夫?
「何も…………いないわよ?」
「あれ? どこに行った、あの野郎」
(ちゅぅ……どこに行ったじゃないよ、話が違うじゃないか)
秘密であると念を押していたにも拘らず、
よって、本人同士が自然に意識し合わない限り、
「おかしいなぁ……? ついさっきまで、ここにいたんだぜ」
「ここにいた?」
「ああ、これぐらいの小さなネズミがな」
「あのさぁ、
身振り手振りで状況を説明し、ネズミの大きさを表現してみせる
「んっ、そうだけど?」
「えっと……確かにね、学年トップを維持するのは大変だと思うわ。でもね、偶には頭も休めないと駄目よ」
「それって、どういう意味だ?」
「どういう意味って…………つまり、あれよ、あれ」
「あれ?」
「ほら、
いまいち場の雰囲気を理解していないのだろう。
「気分転換って言ってもなぁ……俺のいくとこっていったら、最近見つけた喫茶店しかないぞ」
「喫茶店…………?」
「なんだ、知ってるのか?」
「いっ、いいえ、何も知らないわ」
(ちゅぅ? どうしたんだ母さんは、なんか動揺してるみたいだけど)
問いかけられた言葉に対して、
というのも、二人が通う学校の近くに喫茶店はなく、わざわざ遠出をしなければ辿り着くことは出来なかった。加えて、場所が霊園前というだけあって、知っている者は限られていたからだ。
(ちゅぅ……これは何か隠しているな)
「そっ、その話はもういいから、喫茶店以外に行きたいところはないの? 海とか山とか、少し遠出をすればあるでしょ」
「う…………ん。特にないかな?」
(ちゅぅ、ないのかよ! 父さんのことは話で聞いていたけど、どんだけ陰キャラなんだ? なんか、だんだん母さんが気の毒に思えきたよ……)
「じゃあさぁ、
「海水浴かぁ? まあ、どうしてもって言うなら、俺は別にいいけど。ただ、日に焼けるのがなぁ……」
(ちゅぅ。何だよ、日に焼けるのが嫌って? せっかく母さんが誘ってくれてるというのに、まるで妄想好きの女子だな)
裾から少しばかり頭を覗かせた
「そのことだったら、心配しなくても大丈夫よ」
「大丈夫? っていうか、今やってるバイトはどうすんだ?」
「今のバイトはね、夏休みの期間だけ休みをもらうつもり。だって、海水浴の方が高いんだもん」
「高い?」
「ふふっ、何でもないわ。到着してからのお楽しみよ」
「そっ、そうかぁ…………」
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