第20話 これって、無理ゲーじゃないのか?
想いは同じであるというのに、すぐに正反対なことを口にしてしまう。それはまるで、好きな子に『ブスやゲス』と言っているような子供の喧嘩。どちらも負けず嫌いであるため、仲直りをする気配など全くなかった。
とはいえ、夫婦喧嘩は犬も食わないだけあって、こうした口論は一時的なもの。暫くすれば、二人の仲は元通りにはなるのだが……。けれど、今の関係では何も変わらず、行く末は決まっていた。というのも、この先に待ち構えるものは、
だからといって、必要以上に結びつける意図とはなにか。たしかに、回避はできないものの、いずれ結婚するのは分かりきっていた。しかしながら、
なぜなら、高校時代の間柄というのは、幼馴染から進展はなく親友同士のまま。お互い好意は抱いていたが、別々の相手と付き合っていたらしい。よって、
このような事から、幼馴染ということもあり、すぐに打ち解け意気投合。これにより、酒が入っていたこともあるのか、過去を懐かしむように心の内を明かす。こうして、初めて知り得たお互いの気持ち。二人の距離は徐々に縮まり、めでたくゴールインとなる。
ゆえに、晩婚ではあったものの、家族三人で幸せな家庭を築いていた。ところが、運命とは皮肉なもので、時に残酷な導きを
だが、二人の様子を窺えば、のんきに口喧嘩。まさに、知らぬが仏とは、この事をいっているのであろう……。
「じゃあ、なにか。
「当たり前じゃない!
「無視って、 それは
「はあ? 何が私の勘違いだと言うのよ!」
(ちゅぅ……今の関係を結びつけるのって、無理ゲーじゃないのか?)
二人のいがみ合いを見ながら、
「いや、だからだなぁ……」
「なに? よく聞こえないわ、ハッキリ言いなさいよ!」
「ハッキリって、言われてもなぁ……
「信じるも信じないも、言わなきゃ分からないでしょ!」
「だったら話すけど。さっきはな、
「こいつ?」
(ちゅぅ――⁉ それ言っちゃ駄目だろう)
(ちゅぅ……父さん以外の人とは、秘密だって言ったよな。――ったく、どんだけ情けないんだよ)
ネズミと会話をしていたことは、第三者に知られないように約束を交わしていたはず。にもかかわらず、
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