第22話 最後に感じた母親の温もり…………。
こうして、
よって、これを聞いていた
「ちゅぅ、さすが母さん。そこで僕が父さんの背中を押せば、万事解決じゃないか。そうしたら…………ふふっ、ふふふっ」
会話を盗み聞きしていた
「んっ? いま、気持ち悪い声がしなかったか?」
「そうねぇ、
「俺の足元?」
「ええ」
(ちゅぅ、しまった! つい嬉しくて、声がでちゃったよ)
不思議そうに首を傾げる
(ちゅぅ……まずいな)
そんな状況に驚く
なんとも可愛らしい光景であった……。
「なんだよ、姿を消したと思ったら、こんなとこに居たのか」
「わあぁー、なによこれ! 超可愛いじゃん」
ズボンの裾から飛び出したネズミを、両手で優しく包み込む
「ふふっ、可愛い」
「ちゅぅ…………」
本来ならば、嬉しいはずであろう母親の柔らかな温もり。けれど、
ゆえに、未来で起きた出来事を思い出す
またしても、
「そうそう、こいつがさっき言ってた、例の話していたネズミ」
「この子が? なるほど…………ね」
愛おしく見つめる眼差し。優しく語りかける声。
「ちゅぅぅぅぅぅ」
これにより、突然にも高鳴る胸の鼓動。息子であると告白したいが、今は溢れ出る想いを抑えるべき。こう考えた
「んっ、どうした? ウンチでも出るのか?」
「なに言ってんのよ。
「違うのか?」
「当たり前でしょ。この子はね、撫でられて喜んでいるのよ」
種類によっても異なるが、ネズミとは一般的に撫でられるのが好きな動物。嬉しい時は、体を震わせて感情を表現するという。
「ネズミが喜ぶ? 本当は
「はあ? 今度いったら、ぶっ飛ばすわよ。っていうか、この子、ネズミじゃなくてハムスターよ」
「ハムスター?」
「ええ。顔が丸くて、頬袋があるでしょ。けど、なんでこんなとこに居るのかしら? 日本に野生のハムスターなんて、生息していないはずだけど……」
野生のハムスターとは、ユーラシア大陸のみに存在する動物。よって、環境的に日本で生きていくには困難。このように、
「それだったら、直接こいつに聞いてみたらいいんじゃないのか」
「直接? …………それもそうね」
(ちゅぅ……この世界に来たばかりだというのに、僕の目的もこれまでなのか…………)
万事休すとばかりに、緊張した面持ちで覚悟を決める
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