🐭二章 奇妙な珍道中、奇想天外な作戦が幕を開ける。
第18話 天国と地獄
こうして、メッセージをゆっくりと伝え終わる
ところが、こうした内容を傍で聞いていた
「ちょっと、いいか。さっきの
(ちゅぅ……噓だろ? 父さんって、本当に頭が良かったのか。確かに言ったよな、メッセージの言葉だって。にしても、どれだけ鈍いんだよ。普通は分かるってもんだろ)
さすが、鈍感・コミュ障・陰キャ、この三原則を全て兼ね備えた存在。なんとも予想を遥かに上回る、がっかりした答えが返ってきた。これでは、
そもそも、
「んっ、どうした? 顔色が悪そうだけど、大丈夫か?」
「ちゅぅ。僕のことでしたら、どうぞお構いなく。至って健康なので、大・丈・夫です‼」
「んっ、なに怒ってんだ? やっぱり俺、気に障るようなことでも言ったのか?」
(ちゅぅ……ダメだこりゃ。父さんだったら、意味を読み解けると思ったんだけど……。もしかしたら、これは長期戦になるかも知れないな)
こうして二人がやり取りをしている
「――さて、私は誰でしょう!」
「はぁ……またお前かよ」
その人物というのは、肩まで伸びた綺麗な黒髪の女子高生。身長は155センチと小柄ではあるも、スタイルは良く可愛いらしい顔立ちをしていた。
「お前じゃないでしょ。私は誰でしょうか、って聞いてんの」
「――ったく。こんな事するのって、アホの
「アホって失礼よね。これでも私は、学年順位は2番目なのよ」
「2番目って、自慢することじゃないだろ。トップの俺とは、10点も離れてるんだぜ」
この学校での順位というのは、1位から最下位までの得点が張り出される仕組みになっていた。しかし、こうした制度に問題がないかといえば嘘になる。というのも、これには学年全ての生徒が対象とされ、クラス等級・総合点・名前といった事細かな内容が掲載されるからだ。
けれども、学生にとっては重要な情報であり、自分の状態を知ることで目標を立てやすくなる。加えて、個々の能力を高めるために、ランクアップ制度というのが存在した。このシステムを簡単に説明するならば、上位40名までを区切ったAからEまでの選別。
等級ごとの扱い方も様々で、上位のクラスには手厚い待遇が約束された。しかも、トップともなれば、
一方で、最下位であるE判定を受ければ、休憩はおろか夏休みまでも無いという事実。天国と地獄とはよく言ったものだ。ゆえに、このランク者に与えられたものは、青春という文字ではなく勉学という二文字であった…………。
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