第15話 素直じゃないんだから……。
未来の世情を知っていた
これにより、気にいった相手がいれば、いいねをするだけで双方のやり取りは成立。余計な手間が省けるだけでなく、自分に合った理想の恋人が探し出せる。従って、新たな恋を求める者達にとっては、最高のツールであるに違いない。
この便利なものを開発したのが、言わずと知れた
こうした状況の中、呆然と佇む
「う、うるさい。こっちは恋愛初心者なんだぞ!」
「ちゅぅ、はいはい。そんなに怒鳴らなくても、見ていれば分かりますよ」
(ちゅぅ、だからこそ……だからこそ、未来を変えなくちゃいけないんだ)
「――で、どうなんだ! 決まってるのか、決まってないのか!」
「ちゅぅ、だから大きな声をしないでくださいよ。小さい耳ですが、ちゃんと聞こえてはいますから」
「おっ、おう、そうだったな。つい興奮してしまって、悪い悪い」
「ちゅぅ、では改めて言いますね。
「俺の、相手は……」
「ちゅぅ――、パンパカパーン! 喜んで下さい、すでにお相手は決まっています」
「えっ、噓だろう…………」
「ちゅぅ? おや、どうしました。あまり嬉しくないようですが?」
喜びを分かち合おうと、盛り上げるよう高らかに宣言してみせる
「当たり前だ!
「ちゅぅ……
思わず心の声が漏れ出てしまう
「いや、今のはなんでもない。こっちの話だから気にするな」
「ちゅ、ちゅ、ちゅ。なるほど、そういうことでしたか」
小さな掌を口元にあて、クスッと可愛らしく微笑んで魅せるネズミ。つぶらな瞳で笑う表情は、なんとも愛らしく抱きしめたくなるような素振り。けれど、ここで忘れてはならないのが、中身はれっきとした人間。精神のみ転送された、未来の
「はあ? なにがおかしいんだよ!」
「ちゅぅ、そうじゃありません。おかしいのではなく、嬉しいのです。だって、
「晩婚? あっち系? さっきから、なに言ってんだお前」
(ちゅぅ、ヤバ! あまりにも嬉しくて、また余計なことを言っちゃったよ)
「ていうか、好きな奴はいないって、さっきも言っただろ。まあ……気になる奴なら、いないわけでもないが……」
「ちゅぅ、それが
どうやら、
「ちが――、あいつはただの幼馴染。すっ、好きとか、そんなんじゃない」
「ちゅぅ、でしたら安心してください。相手が決まっているといったのは冗談。なので、あくまでも好意を抱いていなければ、二人の恋は実りません。それを離れないように、確固たる絆として結びつけるのが僕の役目です」
「そっ、そっかぁ。なっ、なら良かったよ……」
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