その4.『連想』を用いてネタを展開させる
前回はテーマからアイデアを出すための勉強法と、ネタをアイデアに展開するための手法『置換』『誇張』『逆転』『連想』を紹介。そして連想を除く3項目について説明しました。
今回は展開手法の4つ目『連想』について解説。ちなみに内容は、自分の創作に生かせるよう大百科のやり方に自己流を付け加えたものになります。
もっとも、手法自体は前に紹介しておりまして。
『その2.作品のテーマを無理矢理にでもひり出すには』で用いた手法こそが、連想の基本となります。
ただ、『テーマ』だったら漠然としていていいと思いますが、アイデアとして用いるときにはもっと具体的な内容であったほうがいいでしょう。
そこで用いるのが、前に挙げた「置換・誇張・逆転」。
こいつで、連想されたワードから具体的なアイデアへと展開させていくのです。
例えば前回の落とし穴のネタの場合、連想による展開は以下のように。
○「落とし穴」から「罠」「仕掛け」「待ち伏せ」を連想。
○これらを置換・誇張・逆転して「ゴジラみたいな害獣の襲来に対して、ピタゴラスイッチみたいな遠大な国家プロジェクト級落とし穴計画で待ち伏せるが、しょぼい理由で頓挫」
もちろん連想展開において置換・誇張・逆転全部を使う必要はなく、どれか1つだけでも構いません。
ちなみに、前に上げた王道RPGでの連想ワードをアイデアとして展開させる場合。
例えば以下のようになります。
例1)
○ 連想から出てきた「ドワーフと仲の悪いエルフ」というのは普通っぽい。そこで逆転して「ドワーフと仲の良いエルフ」というのを考えてみる。
○ それはドワーフに限らず、別種族と分け隔てのないエルフなのではないだろうか。
○ さらに誇張してみると、それはモンスターとも仲良くできる、超博愛主義者かもしれない。
例2)
○ 「エルフ->美しい」はやはり普通なので、美しいものとは無縁のものに置換してみる。
○ 上げられたキーワードの中では「ゴブリン」が該当しそう。なので「美しいゴブリン」とはどんな物なのかを想像。
○ 例えばゴブリンとエルフの間に生まれたハーフ。それはエルフの美しさを持ちながら、ゴブリン達の価値観の中では逆転してやはり種族の中で「醜い」存在なのかも。
○ ゴブリン達が「一族の中で一番醜い存在」だとウワサしていたので、どんな化け物が出てくるかと思ったら、実はとんでもない美形だった。みたいなネタを展開できるかも知れない。
例3)
○ 「不老長寿のエルフ」を誇張して、人類の有史以来現代まで存在するエルフというのを考えてみる。
○ そこから「各地を旅するエルフ」が思い浮かぶ。
○ そこを逆転して敢えて1カ所に留まるエルフを想像。
○ だけど森に住んでいて留まっているのはエルフとして平凡。なので、例えばワードの『城』を取り上げ、「人間の王国の黎明期から、一つの城に留まっているエルフ」というのを想像してみる。
○ そういうエルフが王様や神様や魔王みたいな存在として座しているのは自然な流れかも知れないが、ある意味当たり前っぽいので、逆転して普通の亜人としてのスタンスを崩していないエルフというのを想像してみる。
etc...
最初はポンポンとアイデアは出ないと思います。そういうときは全てキーワードと展開を総当たりで組み合わせてみていろいろ考えるのも良いかなと。
例えば「ドワーフと仲の悪いエルフ」について逆転だけではなく誇張や置換をした場合を考えてみたり、「美しいエルフ」を誇張や逆転で展開させてみたり、など。
個人感では、まず連想の流れを突き崩す方向性が考えやすいです。
例えば「王道RPG」とそこから連想される「剣」や「魔法」というワードには、常識的な繋がりであるわけで。この常識の連鎖を疑い、崩していくことを考えると。
だいたい逆転を考えてみると使いやすいアイデアが出やすいと思います。
置換は、連想時に浮かんだ別のワードに置換してみるのが単語の相性がよく考えやすいかと。ただ関係した辞書などでランダムに引いた単語に置き換えてみるのもあり。
誇張は考えやすく、それでいて思いも寄らないネタに発展する可能性もままあります。
こんな感じで、面白いネタにできるか思考実験を日々繰り返していけば慣れていき、やがてポンポンとアイデアが出てくるようになると思います。
ちなみに、展開の手法は「置換」「誇張」「逆転」「連想」だけではなく、他にもあると思われます。今回挙がった4つはあくまでもとっかかり。この4つを発展させたりオリジナルの展開法を発見したりすることによって自分らしさが出て、アイデアにより磨きがかかってくるかと。
次回は、勉強法としての「観察」に関して、私論的な補足を入れたいと思います。
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