その3.アイデアを出すための勉強法とネタの展開

 前回までは『作品にはアイデアが必要で、アイデアを出すにはテーマが必要』という内容を書かせていただきました。今回は『テーマからアイデアを出すにはどうすればいいか』というあたりの話になります。


 全百科の主人公も「テーマが決まってもアイデアが出てこない」ことに悩みます。それに対して講師は「日頃の勉強が足りないから出てこないんだ」と、一刀両断w


 このあたり一般的なHowTo本だと、具体的な方法にあまり踏み込まないものが少なくないわけでして。


 ですが全百科では、アイデアを出せるようにするために普段どう振る舞うべきかという所を、項目としてかなり具体的に紹介しています。


 それが「観察」「発見」「記録」「蓄積」「展開」の5項目。



○ 「観察」

 これは言葉から連想される通り『人や物や出来事を、興味を持って観察する』です。もっとも私見としては、そこまでいかなくても『話のネタになりそうなことはないか、いつも意識する』『普段生活していて面白い出来事に出会ったら、それを気にとめておく』『他者の創作物を見たときに思ったこと感じたことがあったら覚えておく』くらいの温度感でも構わないかな、と。


 ちなみに自分の場合、出来事というより不特定のキャラクターのセリフや教訓めいた思想が浮かんでくることが結構ありまして。「劣等スキル持ちで転生者学園を追放~」では色々盛り込みました。ていうか、レン絡みで大放出してますw


 また後述の『記録』とダブるところもありますが、それらに遭遇したら即メモをとるとよいでしょう。その媒体はメモ帳でもスマホでもなんでもOK。ただできれば、あとからメモに補足を入れやすく、簡単に整理して見返すことができるものにしたほうがいいです。



○ 「発見」

 観察でネタになりそうな面白い出来事に出くわしたら『それがなぜ起きたのか』『なぜそれを面白いと思ったのか』この2つを考察します。その中でなにか面白さの理屈やパターンなどが発見できれば、それは作品を作る上での財産に。



○ 「記録」

 観察で得たネタと、それに対しておこなった考察を記録していきます。記録していく中で発見があった場合はそれも記録。


 『観察』でメモをとっている方でしたら、メモに補足・追記していく感じでも構いません。


 そんな中で、観察したときは面白いと思ってもあとで思い返すとさほど、というものなどもあるかもしれません。そういうところも考察・記録していくといいです。



○ 「蓄積」

 「観察」「発見」「記録」を繰り返しおこない、蓄積していきます。


 具体的な流れとしては、「観察」した時点で可能なら「発見」「記録」も一連の作業としてその場で実行したほうがいいでしょう。特に「観察」と「記録」の間が空くと、漏れが出てきたり習慣として身につきにくくなったりします。



○ 「展開」

 蓄積された物をたまに読み返し、作品で使うにはどうすればいいか考えます。




 とりあえず一通り解説しました。

 繰り返しますが、小学生向けのHowTo本でこの内容w


 おそらく「観察」から「蓄積」までは(継続するモチベーションさえ保てれば)大体の人にとって難しい話ではないでしょう。ですが「展開」に関しては、殆どの人が具体的にどうやればいいかわからず、つまずくと思います。


 ていうか、始めたばかりの時点で自分の蓄積をあっさり展開させて物語に使うことができるなら、そもそもアイデアが出ないことに悩むこともないだろうとw


 この点も全百科では触れられてまして。展開に関して基本的な4つの手法「置換」「誇張」「逆転」「連想」が紹介されています。


○ 「置換」 … 出来事の要素になっている人物や物を他の何かに置き換えます。

○ 「誇張」 … 出来事の要素を誇張します。

○ 「逆転」 … 出来事の要素や立場などを逆転させます。

○ 「連想」 … 出来事の要素からワードを連想し、それと「置換」「誇張」「逆転」を組み合わせます。


 例えば、「落とし穴に落ちた人がいて面白かった」というネタがあったとして。


 落とし穴に落ちた被害者と加害者を入れ替え「落とし穴をしかけたのに、しかけた本人が落ちた」というふうにするのが「置換」。


「落とし穴に落ちたら地球の裏側まで落下した」というふうにオーバーな表現にするのが「誇張」。


「落とし穴に落ちた所で車が突っ込んできて、被害者は車に引かれずにむしろ助かった」と、予想される結果と逆の流れにするのが「逆転」。


 となります。



「連想」は、前回説明させて頂きました「あるキーワードから連想されるワードを列挙して、それらを組み合わせたり、さらに連想を繰り返したりする」手法とだいたい同じもので、今回はそれで蓄積されたネタを展開させます。


 他の3つと比べてかなり複雑で高度なので、具体的な話は次回に持ち越します。

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