31 神様って・・それ?

〜〜〜〜♬




・・・・




ジャンジャジャジャジャーン♬



ーーフゥフゥ!!♬




やたら陽気な音楽とノリノリの掛け声が聞こえ、ゆっくりと俺の意識は覚醒していく。


そしてボヤッ〜と見えてきたのは、よくテレビで見たことあるような・・所謂夜のお店名物?のシャンパンタワーというヤツだった。




「 ・・・・えっ?何でシャンパンタワー?? 」



「 ヘイヘ〜イ!♬YOU!やっと起きたぁ〜?


グッモ〜ニン!!ハローハロー!


目覚めの一発いっとくぅ〜? 」




突然隣から聞こえた声に、パッ!!と声がした方へ顔を向けると、そこには襟足が長いイケてる髪型をしたド金髪お兄さんが、足を組んでソファーにダラシなく座っていた。



どうやら俺はそのお兄さんが座っている長いソファーの隣に横たわっていた様で、ゆっくりと起き上がり周りを見回すと、目の前には先日見えたシャンパンタワー。


そしてその周りはーーーーーー何もない真っ白な世界であった。




「 ・・・・・。 」



驚きすぎて固まる俺に、マイペースにグラスを差し出してくるお兄さん。


それを震えながら受け取りつつ、そのお兄さんをジッと観察する。



白いスーツに中は紫色のシャツ。


やたら派手な外見をした・・多分年齢は20代前後か、もしくはもっと若いかもしれない。



ジロジロと不躾に見つめているにも関わらず、お兄さんはバチ〜ン☆!とウインクをしながら、「 イッキ、イッキイッキ♬カッコいい〜!!♬ 」と歌?を歌いながら手を叩く。



?????



全く状況が分からなかったが、とりあえず ” 人に勧められたモノは全て頂くべし! ” な貧乏根性をフルに活動し、シャンパンをグイ〜!と飲み干した。


すると、そのホストの様な派手な男は、わーーっ!と騒ぎながら、俺に激しく拍手を贈る。



「 いや〜!中々言い飲みっぷりだねぇ〜!イシさん。


そしてそしてぇ〜この度はお努めお疲れ様っしたーーーー!


御礼に地球に帰った際は、今よりスーパーグットな転職先と超可愛い女の子からの告白、それに宝くじの一等当選をプレゼントしてあげるよ!


これからは人が羨む様な幸せな人生が、YOUを待っている!


人生大逆転っしょ〜! 」



イエ〜イ!!


陽気な声と共にその場で突然飛び上がったお兄さんを見ながら、ジワジワと今の状況を理解していった。



「 も・・もしかしてなんですけど・・


あなたは神様なんですか・・? 」



そう口にしつつも ” いやいや、こんなホストちっくな男が神なわけ・・ ” 


ーーと、内心否定していたが、あっさりと「 そうっすよ〜! 」と答えられてしまう。


その答えが頭にしっかり到達するまで一瞬の間が空き、そしてーーーー



「 そっ・・そうっすか〜・・? 」



とりあえず相手のノリに合わせて答えてみた。



 " ーーーじゃなくてっ! "



しかし直ぐに心の中でツッコミを入れて、自身もグビグビと美味しそうにシャンパンを飲むそのお兄さんを見ながら、恐る恐る尋ねる。



「 え〜と・・?ほ、ホントに神様??


・・神様ってホストみたいな感じなんだ・・・



・・・・・


あれ?!でも、神託とやらではおじいさんみたいな言い方してたじゃないですか。


・・・やっぱり偽物・・? 」



ジト〜〜ッ・・と睨む俺に、神様と名乗るお兄さんは、プププーーーッ!と笑う。



「 え〜?だってその方が威厳あっていいっしょ?


ちょっと皆の幻想を壊さない様に頑張っちゃってるわけ!


俺って超優しいからさ! 」



「 そ・・そうですか・・ 」



ポカンとしながらそう答えると、徐々に思い出すのは勝手にプレゼントされたことに対する不満と怒り。


俺は頭に湯気をだしながら、神様?に向かって叫んだ。



「 いやいや!全然優しくなんてな〜い!


よくも俺をプレゼントしましたね!


謝罪を要求します!


そもそも誘拐じゃないですか!こんなの! 」




「 ごめんごめ〜ん。


でもさ〜?俺だってちゃんと選んで送ったんだよ?


イシさん言ってたじゃん。


誰かの役に立てたのかなってさ!


だから役立って貰おうかなって。 」




「 たっ、たしかに言いましたけど・・ 」



召喚された時の自分を思い出し、少しだけしんみり・・


そしてえらくヒカリ君に嫌われてしまった事も同時に思い出し、ズキーーン!!と胸が痛んだ。



「 ・・でも俺は結局何にも役立ちませんでした。


力も魔力もなくて、なんか険しい道のお散歩くらいで終わってしまったし・・


なによりヒカリ君には最後、凄く嫌われてしまった・・。 」




ズズーン・・と沈んでいく心と、服の物理的な重みが限界だったので、そのままソファーに沈む。


そんな俺を見下ろした神様兄さんは・・複雑そうに頭を掻いた。



「 あ、あのね、イシさん・・


役に立つっていうか、ちょっと立ち過ぎちゃったのが問題でね?


その〜・・ちょっとまずいかなって思ったから、イシさんを一度こっちに避難させてね・・? 」



しどろもどろにフォローしようとしてくれる神様兄さんに、ジーン・・と胸が震える。



「 慰めてくれてありがとうございます。


でも、俺、大丈夫ですから!


なんと言っても仕事では、とんでもクレーマー達と毎日戦ってましたのでー!


こんな事は日常茶飯事なんで! 」



ハハハッ!!と笑いながらお礼を言うと、やはり神様兄さんは複雑な顔をしながら「 あ〜・・ 」とか「 うぅ〜・・ 」とか?


何かを言おうと口を開け閉めしている。


気まずい空気が漂っては申し訳ない!と、その空気を察知し、俺は即座に違う話題を振った。


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