第48話 ジャージ姿の七海くん
登場人物
来栖 七海のクラスの担任教師(♀)
七海 悩める中学二年生
私の名前はクルス、来栖と書いてクルスと読みます。
大学を卒業した去年から、この男子校の教師になったばかりの新米教師です。
二年目の今年から受け持つことになった中学二年生のクラスは、仲が良いくて本当に良い子たちばかりです。
最初は担任なんて不安だったけど、なんとか一学期を無事に終えることができました。
ただ一つ気になることもあります。
期末テストを境にクラスの雰囲気が少し変わったように感じられるのです。
クラスが同じ目標に向かって団結しているような、それでいて互いをライバル視しているような、そんな鬼気迫る空気が教室を満たしていました。
その結果、うちのクラスだけ成績が爆上がりしました。
クラスの平均点は学年でトップ、二年生全体の総合順位の上位を私のクラスの生徒がしめていました。
みんなが突然やる気になった理由は分かりません。
あの熱を巻き起こした原因は一体どこにあるのでしょうか。
もしかして私の指導?
いえ、そんな訳ありません。ないのです。
だって私の指導はマニュアル通りで、生徒たちとの接し方もマニュアルに沿ったものです。
特別なことはなにもしていない。
仮に凡庸なマニュアル通りの指導をして、これだけ成績が上がるのなら、この学校は日本で有数のトップ進学校になっているはずです。
不思議で奇妙な出来事、新米の私には分からない事だらけです。
しかし図らずも私のボーナスは二割増しになりました。
全部みんなのおかげです。
2ー2の生徒たちには感謝しかありません。
そして迎えた夏休み期間中の登校日、何事もなくカリキュラムをこなして生徒たちを見送った後、忘れ物を取りに教室に戻った私が見たのは一人で残るジャージ姿の七海くんの姿でした。
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