第45話 アンニュイな感じがたまらない

登場人物


 和泉いずみ 見た目は俺様系イケメンだけど常識人、1班の班長

 七海ななみ 見た目は中性的な少年

 委員長 七海のクラスの委員長、メガネ

 山田 6班の班長、クズ

 小島 2班の班長、アニメ好き

 真田 3班の班長、シスコン



 俺の名前はイズミ、和泉と書いてイズミと読む。


「これより第二十五次臨時円卓会議をはじめる」

 委員長は机の上に乗せた手を重ねた。メガネの奥の鋭い眼がギラリと光る。


「あれ? 前回から跳んでない? まさかオレっち、時空を超えちまったのか? てかよ、他のナンバーズ(班長)はどうした?」


 2班の班長、アニメ好きの小島が意気揚々と言った。


「ていうか登校日に班長会議ってなんだよ、早く帰らせろよメンドクセー」真田が小島を無視して不満をもらす。


「すまんなみんな、しかし和泉から相談があり、今回の問題は俺も見過ごせないと思ったから臨時の円卓会議の開催に踏み切った」


「で? 議題はなんだよ? とっとと終わらせようぜメンドクセー」


「うむ、議題は二つ、もちろん七海のことだ」


「やっぱり七海か、もう円卓じゃなくて次回から七海会議でいんじゃね?」


「ダメだ。そこは譲れない」と真田の提案を小島が拒否する。


「なんでこだわる……。まあいい、一つ目はなんだ」


「お前たちも今日登校してきた七海の姿を見ていると思うが、すでに他のクラスで『謎の美少女を見た』と噂になっている」


「だろうな、男子校の敷地内を女子が歩いていたんだから」真田が言った。


「てかよ、七海のヤツむっちゃ可愛くなってたな? この夏で女を磨いたか?」茶化すように小島がケラケラと笑う。


「うむ、実に見事だった。あのアンニュイな感じがたまらない、あの気だるげな眼で見下されながら顔を踏まれたいものだ」


「……ん?」と俺は聞き返す。

「え……」真田がドン引きしている。

「……は?」山田はポカンと口を半開きにした。

「……マジきも」ぼそりと小島が呟いた。


 


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